TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「カラスの親指」*伊藤匡史監督作品


監督:伊藤匡史
原作:道尾秀介
脚本:伊藤匡史
音楽:林祐介
出演:阿部寛,村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈、小柳友、ユースケ・サンタマリア、ベンガル、上田耕一、鶴見辰吾

☆☆☆★ 2012年/20世紀フォックス/160分

    ◇

 道尾秀介の同名小説の映画化で、物語にも俳優たちにも爽快にダマされる快感。見事なエンディングには、感動さえ生まれたエンターテインメントな作品だ。
 

 ベテランの詐欺師タケこと武沢竹夫(阿部寛)は、競馬場で見つけた客(ユースケ・サンタマリア)をカモに、少し間抜けな新米の相棒テツこと入川鉄巳(村上ショージ)に寸借詐欺の手ほどきをしていた。
 ある時、スリの腕が一人前の少女まひろ(能年玲奈)を助けたことから、彼女の姉で自由奔放なやひろ(石原さとみ)と恋人の貫太郎(小柳友)の3人がタケのところに転がり込んで来た。
 5人の奇妙な共同生活がはじまり疑似家族のような賑やかさになるが、実はが5人はそれぞれに哀しい過去を背負い不幸な生い立ちを抱えていた。
 タケは8年前に闇金業者ヒグチ(鶴見辰吾)の恨みを買い娘を火事で失い逃亡生活に、テツさんは多額の借金から妻に自殺され、美人姉妹もヒグチのせいで一家離散の悲惨な人生を送ってきていた。
 連帯感で結ばれた5人は、逃げている生活から脱するためにヒグチへの反撃を決意し、一世一代の大勝負をすることに……。彼らに一発大逆転の目はあるのか。

    ◇

 「カラス」はプロの詐欺師を指す隠語で、はて「親指」とは?
 
 親指(お父さん指)は、人差し指(お母さん指)、中指(お兄さん指)、薬指(お姉さん指)、小指(赤ちゃん指)と難なくくっつくけれど、人差し指は小指とだけ寄り添わない。でも、親指が人差し指を支えれば、難なく小指と寄り添うことができる。

 テツさんがタケに話すこのエピソードは原作でも深いいい話となっている。
 そう、これはコンゲームというよりも詐欺師たちの人情噺なのである。だから、エピローグにホロリとさせられるわけで、プロローグとエピローグの空に放たれた風船にも意味合いが生まれてくるというもの。

 序盤のコンゲームのスリリングさが影を潜め、ミステリーとしては致命傷になるご都合主義に陥っていたりするが、なるほど、幕が上がった瞬間からの伏線がそこら中に張られ、それらが、ラストには絶妙に回収されるという快感は充分に味わえる。
 伏線回収のための説明過多になったり、種明かしが少し雑だったかもしれないが……。

 キャスティングは微妙ながらいい感じである。こんなに弾けている石原さとみには初め気づかなかったし、台詞棒読みの村上ショージも朴訥としたおっちゃんとしてほのぼの。
 そして能年玲奈。ある意味“まひろ”が主役と言ってもいいような存在感。さすが「あまちゃん」のヒロインに抜擢されるはずだ。


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