TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

63分50秒のACID MUSIC! PLAY IT LOUD、小泉今日子

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KOIZUMI IN THE HOUSE/小泉今日子

 1989年にリリースされた小泉今日子流ハウスミュージック。
 近田春夫をプロデューサーに迎え、ピチカート・ファイヴの小西康陽らと当時の最先端サウンドに真っ向から取り組んだ革新的意欲作であった。(既にCD時代にあったので歌謡曲のレコードとしては異例の収録時間になっている)
 アルバムは、ファンクなダンス・ミュージックのなかで小泉今日子のクールでセクシーな声が過激に誘発し合い、芸能人・小泉今日子の架空の日常生活が物語られる構成。
 淫靡に毒を吐く小泉今日子ここに在り。


SIDE A
01. Fade Out (作詞/作曲:近田春夫)
02. 好奇心7000 (作詞/作曲:近田春夫)
03. STAND UP (作詞/作曲:近田春夫)
04. マイクロWAVE (作詞/作曲:井上ヨシマサ)

SIDE B
01. CDJ (作詞/作曲:小西康陽)
02. Kyon Kyonはフツー (作詞/作曲:井上ヨシマサ)
03. 集中できない〈bonus track〉 (作詞/作曲:近田春夫)
04. 音楽〈bonus track〉 (作詞/作曲:近田春夫)
05. 男の子はみんな (作詞/作曲:小西康陽)
06. 水のルージュ(Break "ACID" Beats MIX) (作詞:松本隆/作曲:筒美京平)



 オープニングを飾る近田春夫作詞作曲の“アシッド・ハウス歌謡”の名曲「Fade Out」は、憂いと官能……セクシーな小泉今日子の歌声にぎゅっとハートを掴まれること必至。 
 かつて近田春夫は、自身がプロデュースした平山みきの「ドライマティニ」(1982年のアルバム『鬼ヶ島』に収録)という歌で、地下2階のナイトクラブで踊りもせずフロアを眺める女を登場させ、男の視線を一気に集め、おしゃべりは沢山だから名前も身の上も聞かない約束なら「今夜愛してあげる」と、男を誘う情景を創った。
 バブル絶頂期の本作では、ディスコで待つ友人との約束を破って男と夜のハイウェイをぶっ飛ばし、軀も心もスリルを求める大人の小泉今日子を、甘美な下心いっぱいに夜の街へと放り出すのである。 

 ファンキーに歌う「好奇心7000」は、アイドル小泉今日子が芸能界の楽屋裏を暴露する態の架空の手記。ある意味、虚像の姿を装った「なんてったってアイドル」の仮面を引っ剥がしたウラ歌で、芸能界を茶化す近田と小泉が爽快だ。

 官能度の高い「STAND UP」では、「あなたのオフィスで 私の部屋で 人目をさけて 朝まで抱いて」と秘密の匂いを漂わせたかと思うと、そのあと「この頃 そう言うのバカバカしくなったわ」と男をスポイルする。そして高らかに「おもちゃになんてさせないわ 言いなりになんてならないわ」と、うそぶくのである。

 ………私はフツー らしく生きる 私はフツー………
 「Kyon Kyonはフツー」も「なんてったってアイドル」のアンサーソングとして自虐ネタに邁進する。
 
 ……気になるウワサ 尾ひれがついて 私の耳のまわり 虫になって囁きつづける……
 女の子のイライラを爆発させる「集中できない」

 ……こんなこと 毎日してたら死んじゃう……
 そっと囁いて終わる「音楽」は元タイトルを「麻薬」と名付けられ、強烈な邪悪性が見え隠れする。 
 そして、大ヒット曲「水のルージュ」を木っ端みじんに粉砕してKYON2ワールドの完結である。

 小泉今日子は自分自身の糧として、常に新しいことに興味を持ちチャレンジしてきた。それはときに過激性を帯びていたりもしたが、本作では実像の小泉今日子を吐露したかのような実録性で、“成熟した女”を浮かび上がらせたのであろう。
 いま、30歳40歳と歳を重ねてきた小泉今日子は“ありのまま”の“しぶとさ”で、女優として、歌手として、その輝きを魅せつづけている。

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