TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「快盗ルビイ」*和田誠監督作品

1988-01_怪盗ルビイ
監督:和田誠
原作:ヘンリイ・スレッサー「怪盗ルビイ・マーチンスン」
脚本:和田誠
音楽:八木正生
主題歌:「快盗ルビイ」小泉今日子
挿入歌:「たとえばフォーエバー」小泉今日子、真田広之
出演:小泉今日子、真田広之、水野久美

☆☆☆ 1988年/東宝/96分

    ◇

 デザイナーでありイラストレーターの和田誠がその多才ぶりを見せつけた映画作品第1作『麻雀放浪記』は、戦後混乱期を舞台に主人公の成長とアウトローに生きる男たちの生き様を描いたピカレスク・ロマンの大傑作であったが、本来の生業であるイラストレーションやショート・アニメーションの和田誠作品としては、本作のようにビリー・ワイルダー映画やハリウッド黄金期の映画を彷彿とさせる都会的で遊び心の効いたロマンティック映画の方が、いかにも和田誠の〈シネマワンダーランド〉らしくてほっとする感じだ。


 平凡なサラリーマンのボク、林徹(真田広之)は母親(水野久美)と二人暮らし。夏の終りのある朝、彼の住むマンションの部屋の真上にお洒落でチャーミングな女の子が引っ越してきた。
 彼女の名前は加藤留美(小泉今日子)。仇名は〈ルビイ〉。職業はフリーのスタイリストということだ。徹はすっかりルビイの虜になる。ある日、ルビイは驚くようなことを打ち明けた。
 「あなたにだけ本当のことを教えてあげる。わたしは、犯罪者よ」
 「どんな犯罪?」
 「とりあえずはドロボーね。サムシングがあるの。協力して!」
 ルビイの魅力以外に、引越しの最中にルビイの水着写真をポケットに入れていた徹は、後ろめたさもあり否応なくルビイの協力者になる……。

    ◇

 何度も天才的な犯罪計画をたてるルビイと、毎回断りきれない徹が実行役をするも、何度も何度も大失敗の繰り返しのシチュエーション・コメディ。

 公開当時の和田誠のコメントはこんなだった。
 「血の流れない犯罪映画であり、ベットシーンのない恋愛映画であり、コメディアンが出ないコメディ映画」

 ヘンリイ・スレッサーの原作を翻訳したものだけに(主人公の青年を少女に変更)、気の効いた台詞とお洒落でスタイリッシュな作品に仕上がり、見終わった後の心地よさは格別。

 なにより、小泉今日子のキュートでチャーミングな可愛らしさ。
 映画は決してアイドル・小泉今日子の姿ではなく、気の強いヒロイン像を22歳の等身大の小泉今日子がカッコよく演じるコメディエンヌとしてのKYON2を映しとっている。
 そして、KYON2に引っ張られ犯罪を犯してゆく気弱な青年を演じる真田広之のコメディアンぶりも新鮮だ。このシチュエーション・コメディは、ふたりのやりとりが絶妙。

 セット撮影を多用し、ミュージカル風に劇中で歌い踊るヒロインとヒーロー。
 和田誠のイラストレーションそのままに〈お楽しみ〉が一杯の映画は、出演者の顔ぶれにもひと工夫されており、公開前まで小泉今日子と真田広之、母親役の水野久美以外の出演者名は伏せられていた。
 まさに〈お楽しみはこれからだ〉といった遊び心に飛んだゲストは、岡田真澄、木の実ナナ、陣内孝則、富士真奈美、伊佐山ひろ子、高見恭子、吉田日出子、斉藤晴彦、秋野太作、名古屋章、天本英世、奥村公延ほか自由劇場のメンバー………エンディングのカーテンコールの〈お楽しみ〉も一興である。
 そんなこの映画のエッセンスは、後の三谷幸喜の映画に受け継がれているのだろう。


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