TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「藁の楯」*三池崇史監督作品

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監督:三池崇史
原作:木内一裕
脚本:林民夫
音楽:遠藤浩二
出演:大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、本田博太郎、高橋和也、余貴美子、藤原竜也、山崎努

☆☆☆★ 2013年/ワーナー・ブラザース/125分

    ◇

 面白い。
 ありえない荒唐無稽なストーリー展開だが、ハリウッド映画にも引けをとらないパワフルなサスペンス・アクションとして十二分に楽しめるエンターテインメント大作だった。


 8年前に少女への暴行殺人で服役したものの、出所したばかりにまたも少女暴行殺人を犯した清丸国秀(藤原竜也)。全国指名手配され警察の捜査がつづくが、行方はわからないまま。そんなある日、全国紙の朝刊各紙に清丸の顔写真と「この男を殺してください。謝礼として10億年お支払いします」という見開き全面広告が掲載された。
 広告主は日本の財界を牛耳る大富豪の蜷川隆興(山崎努)。「誰の目にも明らかな“人間のクズ”を殺せば10億円が手に入る」と日本中が殺気立った。
 福岡に潜伏していた清丸は信頼していた友人に殺されかけ、否応無しに警察に出頭してきた。しかしそれで、清丸の賞金首の有効が終わったわけではなかった。留置場のなかでも、警察病院の中でも命を狙われる存在になっただけだった。
 警視庁は清丸を東京へ移送するために特別チームを編成。警視庁警備部警護課SPから銘苅一基(大沢たかお)と白岩篤子(松嶋菜々子)、警視庁刑事部捜査一課から奥村武(岸谷五朗)と神箸正貴(永山絢斗)、福岡県警から関谷賢示(伊武雅刀)の精鋭5人。しかし日本を縦断する大規模な護送計画は、さらなる最悪の事態を引き起こすことになった………。

    ◇

 ストーリーはシンプル。護送車による高速道路通行や、新幹線、自動車による一般陸路などを利用して、5人がひとりの人間を目的地まで運ぶだけの単純明快なものだが、身内も信用できない存在になってくることからサスペンスが生みだされていく。

 冒頭、清丸が犯したという事件は描かれることなく、本題の指名手配と警護シーンへのスピーディな展開と、5人の警護チームのなかでは銘苅の妻が何らかの事故で亡くなっていることを示唆するだけで、ほかの4人のことは順次、言動だけで性格付けがされ人間性が表出されていく構成もすっきりしていていい。

 各所に甘い設定が見受けられるものの、序盤の高速道路上でのダイナミックなカーアクションや新幹線の中での銃撃戦などが好例を示すように、この手の作品は力づくで突っ走ることが正解である。
 台湾での新幹線撮影を見ていると、『新幹線大爆破』のリメイクを見てみたいと思ってしまった。

 5人各人が、幼い少女を惨殺した正真正銘のクズを命がけで護ることへの自問自答。護る価値があるのか。護るだけの大義があるのか。殺されるべきなのか。殺すべきなのか。その末、誰もが全員傷ついてゆく様は、観ていて本当に痛々しい。
 そしてラストの清丸の一言は、5人が貫いた職務とプライドへの返答としてはあまりに残酷なものだ。

 理性と希望を象徴する銘苅が、蜷川と対峙する最後の場面は設定が緩過ぎる感があるが、山崎努の狂気は遺憾なく発散される。

 人間的感情が欠落した性的倒錯者の清丸を演じる藤原竜也は出色。あの顔から放たれる邪悪さは半端なく凄い。

 殺伐とした人間たちのなかで、“良心”を灯すのが余貴美子。彼女のドラマの当たり役さながらに人への優しさと情の深いタクシードライバーは、ファンとして嬉しいキャスティングだ。
 本田博太郎も好きな役者。銘苅の上司というだけでなく、彼らしい見せ場も充分にあり楽しめた。

 序盤とクライマックスのシーンは、名古屋の官庁街の大通りを全面封鎖してのロケだろう。見覚えのある、多分あの地区で撮影がされたのだろうと見当がつく大通りだ。そう云えば、あの辺りは『ストロベリーナイト〜インビジブルレイン』も撮影されたところ。大沢たかおはふたたび名古屋で熱演してくれたわけだ………。

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