TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「インテリア」*ウディ・アレン



INTERIORS
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
撮影:ゴードン・ウィリス
出演:ダイアン・キートン、ジェラルディン・ペイジ、E・G・マーシャル、クリスティン・グリフィス、メリー・ベス・ハート、モーリン・スティプルトン、リチャード・ジョーダン、サム・ウォーターストン

☆☆☆☆ 1978年/アメリカ/93分

    ◇

 アカデミー賞受賞の『アニー・ホール』から一転して、I.ベルイマン・スタイルのシリアス・ドラマに挑戦した作品。
 アメリカの知的で裕福な家族の崩壊を上質な舞台劇のように展開させた人間ドラマで、両親や姉妹との情愛と断絶、男と女の孤独、死と生の謎、自我との葛藤、コンプレックスと反撥……人生の機微が、背景音楽を一切流さずに静かに、厳粛に描かれる。


 ロングアイランドに住む裕福な実業家アーサー(E・G・マーシャル)と、高名なインテリア・デザイナーの妻イヴ(ジェラルディン・ペイジ)とは結婚30年。ふたりの間には3人の娘たちがいる。
 長女のレナータ(ダイアン・キートン)は売れっ子詩人でイヴの芸術家気質を最も受け継ぎ、姉妹のなかで一番感受性が強い次女のジョーイ(メリー・ベス・ハート)は、作家ながら中々才能が開花せずレナータに強いライバル心を持っている。三女のフリン(クリスティン・グリフィス)は恵まれた容姿を生かしてハリウッドで女優をしているが中身がない。3人は、それぞれ夫や恋人との間で問題を抱えている。
 ある日、アーサーがイヴに別居をしたいと告げる。イヴの、自分の美意識と生き方で支配してきた生活に耐えられなくなり、これからは自分の生き方をしていきたいと言うのだ。
 心理的圧迫感を感じていたのは、程度の差はあるにしても娘たちも同じ思いだった。
 イヴは家を出て行った。

 アーサーがある女性を娘たちに紹介する。パール(モーリン・スティプルトン)と名乗る女性は、知的だが冷たいイヴとは対照的に、無教養ではあるが温かく人懐っこい女性だった。激しく父を非難するジョーイだが、レナータには父の気持ちが理解できる気がした。
 イヴとの離婚が成立し、アーサーとパールの結婚式。複雑な気持ちで列席する三姉妹。その夜、みんなが寝静まったころにイヴがそっとやって来た。ひとり起きていたジョーイは、母親に対して自分の思いを投げつけるのだった。自己満足のために家を支配してきたと痛烈に批判されたイヴは、その朝、冬の荒れた海に入っていくのだった………。

    ◇

 タイトルの「インテリア」が複数形の「INTERIORS」になっていることで、登場人物たちの内面を象徴していると云うのがわかるだろう。

 アーサーが「氷の宮殿」と評する自分たちが住む家は、白を貴重に余計なものはない整頓された室内で、そこに住む人間の心の空虚感と冷たさがひと目でわかる。 
 冬の曇天空と、海の波の色も…白に近く様々に美しいが、怖い色彩だ。

 ふたりのベテラン女優、ジェラルディン・ペイジの淡いブルーの衣装と、モーリン・スティプルトンが着用する深紅のドレスも実に象徴的だ。
 空虚な世界に暮らす我々には、“温もり”だけが救いだといっているのだろう。

 海を眺める三姉妹の、沈黙とカットアウト………強烈な印象を残す素晴らしいラストである。

 この『インテリア』は、ウディ・アレン映画としてはマイ・ベスト3の1本(ベスト1は『マンハッタン』で、ベスト2が『アニー・ホール』)で、初見時の1979年には『ディア・ハンター』と『エイリアン]を抑えてベスト1に上げたほど感銘を受けた作品であった。


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