TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「マンハッタン」*ウディ・アレン

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MANHATTAN
監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
撮影:ゴードン・ウィリス
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、マイケル・マーフィ、マリエル・ヘミングウェイ、メリル・ストリープ、アン・バーン
☆☆☆☆☆ 1979年/アメリカ/96分/B&W

    ◇

 セントラル・パーク、摩天楼、クインズボロ・ブリッジ、エレインズ・レストラン(有名人御用達の高級店)、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、リゾーリ書店、ヘイデン・プラネタリウム、ロシアン・ティールーム、リトル・カーネギー・ホール………マンハッタンのあらゆる名所と華麗なガーシュウィンのメロディを背景に、ニューヨーカーたちの人間模様と、人生の哀歓を綴った大傑作である。


 2度の離婚歴がある中年の放送作家アイザック(ウディ・アレン)は、17歳の恋人トレイシー(マリエル・ヘミングウェイ)と付き合っている。現在の彼の最大の悩みは、レズビアンの元妻ジル(メリル・ストリープ)が暴露本を出版しようとしていること。
 アイザックの友人イエール(マイケル・マーフィ)は、12年の夫婦生活がありながら美人ジャーナリストのメリー(ダイアン・キートン)と不倫をしていると相談される。

 近代美術館でメリーを紹介されたアイザックだったが、インテリぶったメアリーの態度に第一印象は最悪。しかし、再びパーティで出会った時ふたりは意気投合する。
 日曜日、イエールにデートを断られたメリーはアイザックを誘う。ひと目惚れしていたアイザックは喜んでやってくる。セントラルパークを散歩中に雷雨に襲われ、ヘイデン・プラネタリウムに入って話すうちに益々親密になり、ふたりはメリーのアパートでベッドイン。
 妻(アン・バーン)を愛し別れる気のないイエールは、メリーにふたりの中を清算すると言い出し、メリーは嘆き悲しむ。アイザックはメリーを立ち直らせようと、映画と美術館巡りのデートに誘い、よせばいいのにトレイシーには別れ話を切り出した。

 しかし、アイザックとメリーの関係は一過性のもの。人生を誰にも邪魔されたくない現実派のメリーと、男女の関係に理想を求めるアイザックとは相容れるものがなく、メリーはやっぱりイエールを愛しているとアイザックに別れを宣言する。
 「好きになり別れて、好きになって夕食前にまた別れる。何て云う友達だ」とイエールを問いつめるアイザックは「神のつもりか? ぼくらは人間だ」とあしらわれる。
 トレイシーと別れたことを悔やむアイザックは、マンハッタンの街並みを走り抜き、彼女のアパートに向う。トレイシーは丁度、半年のロンドン留学に旅立つところだった。
 愛を告白するアイザック。しかし、トレイシーにはロンドン行を変える意思はなかった………。


    ◇

 ウディ・アレン映画の中では一番のお気に入り作品であり、ニューヨーク好きには堪らない映画だ。

 なんと云っても、夢の国のようにニューヨークを撮影したゴードン・ウィリスのモノクローム映像と、全編に流れるガーシュウィンの音楽の素晴らしさ。すぐにサウンドトラック盤を買い求めたのは云うまでもない。

 ウディ・アレンがクラリネット奏者としてプロ級なのは周知のこととして、その彼がニューヨークへの限りない愛を込めて「Rhapsody In Blue」をオープニングに流す粋なこと。
 真っ暗なスクリーンからマンハッタンの摩天楼がモノクロームで浮かび上がってくると、低いクラリネットの音色が響いてくる幕開け。
 朝から夜の時間が流れるニューヨークの街に、魔法が降り注ぐ至高の4分間である。

 朝まで語り明かしたアイザックとメリーのチャーミングなシーンには「Someone To Watch Over Me」が流れる。

 アイザックがビレッジから全速力で走るクライマックスと、ラストのアイザックとトレイシーとの会話……これもいい。
 「6ヶ月すれば戻ってくるわ」
 「半年は長い」
 「愛があれば大丈夫でしょ」
 「君は変わる。半年で別人になる」
 「経験を積めと云ったのはあなたよ」
 「いま、君が変わるのはイヤだ」
 「変わらない人もいるわ。……少しは人を信じなきゃ」

 別れの曲は「But Not For Me」。
 大人に変貌したトレイシーの成長に、半年経っても何も変わらないだろう中年男の哀感の顔で映画は終わる。この歳で再見すると、これもまたしみじみだな………

 アイザックとメリーがシネマ1で観る映画は、1962年に製作された稲垣浩監督の日本映画『忠臣蔵』。ネイティヴ・ニューヨーカーらしい選択かも……。


1980-04_マンハッタン

 我が名古屋には、テレビ塔を中心にしたエリアに1978年に開業したセントラルパークというファッション・プロムナードがあり、この映画の公開時は、そのセントラルパークが協賛というかたちで大々的に映画の宣伝がされていた。
 公開された劇場は名古屋ミリオン座で、カップルで入場の場合には同伴の女性ひとりが無料で鑑賞できるサービスを敷いていた。当時はなんとも太っ腹な特典だったんだなぁ。
 併映作はマーチン・スコセッシ監督の『ニューヨーク・ニューヨーク』('77)が再上映されていた。


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