TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「スケアクロウ」*ジェリー・シャッツバーグ

1973-16_スケアクロウ
SCARECROW
監督:ジェリー・シャッツバーグ
脚本:ギャリー・マイケル・ホワイト
音楽:フレッド・マイロー
出演:ジーン・ハックマン、アル・パチーノ、ドロシー・トリスタン、アイリーン・ブレナン、リチャード・リンチ

☆☆☆☆ 1973年/アメリカ/113分

    ◇

 アウトローな人間が主人公なアメリカン・ニューシネマにおいて、この作品は、ジーン・ハックマンとアル・パチーノの力演に魂を揺さぶられる人間ドラマとなっている。
 '73年のカンヌ映画祭のグランプリを獲ったロードムービーの大傑作。


 暴行傷害の罪で刑期を終え刑務所から出てきたマックス(ジーン・ハックマン)は、洗車屋を始めるためにピッツバーグへ向う途中。
 長い船乗りの生活から足を洗ったライオン(アル・パチーノ)は、置き去りにしたままの妻と一度も会ったことのない子供に会うためにデトロイトを目指している。子供は男の子なのか女の子なのかさえ知らない。
 神経質で喧嘩っ早いマックスと、陽気で人なつっこいライオンという正反対の性格のふたりだが、ヒッチハイクの途中で出会い意気投合し、旅の道連れとなる。
 まずは、マックスのたった一人の肉親である妹コリー(ドロシー・トリスタン)を訪ね、コリーと同居している女友達と4人で盛大に飲み食いをするが、町の連中と大喧嘩になってしまう。マックスとライオンは留置場に入れられ、30日間の強制労働を科せられた。ライオンがホモの男に襲われ、マックスが助けたりする日々が過ぎ刑期を終え、また旅に出る。
 たびたびハメをはずすマックスと、それを案じるライオン。純粋で心優しいライオンに、マックスは次第に影響を受けるようになってきた。
 デトロイトに着いたふたり。ライオンは勇んで家の前の公衆電話から妻アニーに電話をかける。しかし、再婚していたアニーは5歳になる男の子をかまいながら必死に嘘をつく。
 「子供は出産前に死んだわ。階段で転んだの。生まれていれば男の子だったでしょう。洗礼も受けていないので、あの子は天国へも行けないわ」
 ショックに打ちのめされるライオン。これまで片時も離さなかった子供へのプレゼントを、公衆電話に置いたまま歩き出す。
 心配そうなマックスに笑顔を見せるライオン。しかし、ライオンの精神はおかしくなっていた。
 誰にも心を許さなかったマックスは、開業資金をすべてライオンの入院費にあてることを決意する。永遠に友達と一緒にいると心に誓ったのだった。

    ◇

 オープニングの出会いは印象的。そして、それぞれが孤独を抱えている男の哀しさを分かち合い、心を解放してゆく過程と友情を高める結末には、当時観たときから何度でも涙腺が緩むのである。

 スケア=脅かす、クロウ=カラスで「案山子」という意味だが、「かかし」の意味合いとしては「見かけ倒し」とか「みすぼらしい人」にも使われる言葉で、ほかにも一本足でじっとしていることから「無駄骨を知らずに一生懸命努力する者」にも使われる。
 映画の中ではアル・パチーノ扮するライオンが「カラスにまで馬鹿にされているが、そこに立てた人のために頑張っているので、カラスも同情してその領分には入らないようにしている」と云っている。それは、人を信じ、人を笑わせながら上手く生きてゆくことが、人間の大切な生き方だと云っているようだ。
 だから、人を信じることができず粗暴で人と争うことで自分をガードしていたジーン・ハックマン扮するマックスが、ライオンに感化されていく過程を見事に演じ、ラストの感動シーンが生みだされる。
 名作中の名作だ。

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