TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

片意地張って生きてゆく女たち、「あゝブルース」内藤やす子

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One Last Night

side A
01. 熱砂
02. 寝た子を起こす子守唄
03. 猫と女
04. 絶望×絶望
05. あゝブルース

side B
01. レイジーレディブルース
02. ダウンタウン・エンジェル
03. 家なき子に出逢ったら
04. 影の栖(すみか)
05. 言い訳



 1970年代に於ける内等やす子×宇崎竜童のコンビネーションは、1979年の年末にリリースされたラジオシティでの第2作目で完結。
 『サタデークィーン』同様、再び全曲が宇崎竜童&阿木燿子コンビによるロック&ブルージーな曲群で網羅されている。アレンジには後藤次利、馬飼野康二、ジェイク・H・コンセプション、矢野誠らを迎え、バックに大村憲司、吉野藤丸、村上“ポンタ”秀一、林立夫、松原正樹、斎藤ノブらトップミュージシャンを従えての堂々たるロッククィーンぶりである。

 内藤やす子はデビュー前、クラブやディスコの専属バンドのフロントヴォーカルで、ライヴハウスやビアガーデンなどではダウンタウン・ブギウギ・バンドともステージを共にしていた。彼女がレコード・デビューする際には、実はバンドでの契約だったはずが提供されたのが歌謡曲「弟よ」だったわけで、そのためにバンドのメンバーは離れて行ったという。バンドがメジャーデビューするときのよくあるお話……。
 先にデビューしていた宇崎竜童とは「今度、演歌でデビューすることになっちゃった………いつかブルースを書いてよ」などという仲。
 「想い出ぼろぼろ」「私のいい人」「やさしさ尋ね人」とヒットを飛ばし、さて、内藤やす子の念願でもあったバンド形態でのロック&ブルース・アルバムということになる。


 「悲しさより 悔しい思いの方が 生きる力になる」と……女たちは言う

 他の女のところへ出かけて行く男の背中に、猫のように爪を立ててやることさえ面倒で、ひとりうずくまる女。
 愛することも、愛されることもへたな女。
 「猫と女」と梶芽衣子がオリジナルの「影の栖」のような暗い状況を、ファンキーなブラス・ロックに乗せて吹っ切るように歌う様がいい。

 ラグタイム調に、スウィンギーにピアノが跳ねる「絶望×絶望」は、“死んでやる”“殺したいよ”と物騒な言葉が飛び交う酒癖の悪い女の独言余で、「レイジーレディブルース」と同じ怠け女のひとりごと。

 その「レイジーレディブルース」は、桃井かおり企画・荒木一郎プロデュースの原田芳雄2ndアルバム『Lazy Lady Blues』('78)で歌われたダルでルーズな憂歌。原田芳雄の持ち歌になった典型的なブルース。元々は、桃井かおり主演のTVドラマ「祭りが終わったとき」(倉本聰脚本/宇崎竜童音楽)用に荒木一郎から発注されたものという。
 原田芳雄の歌唱と、ドラマでの桃井かおりのイメージが強いこのブルースを、内藤やす子はふたりに負けない憂いさで聴かせてくれる。

 豊島たづみがオリジナルの「寝た子を起こす子守唄」は、「とまどいトワイライト」('79)のB面に収録されていた。80年代には加藤登紀子と寺島まゆみ、90年代に小川範子がA面曲としてシングルリリースをしている。

 アルバムの白眉は「あゝブルース」。
 近年、梶芽衣子の歌唱も素晴らしいこのブルースを、ジャズのアレンジでブルージーに歌う内藤やす子のブルース・フィーリングは、オリジナルの宇崎竜童をも超えてるんじゃないだろか。
 艶っぽく、深く深く、甘やかな夜の底へ堕ちてゆく感じに酔ってしまう。

    ◇
内等やす子×宇崎竜童
★ないないづくし★
★サタデークィーン★
★やさしさ尋ね人★
    ◇
★「あいつの好きそなブルース」梶 芽衣子★

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Comment

路傍の石 says... "無題"
このアルバムは、6年前にmickmacさんが勧めてくれたことで入手して愛聴盤になった1枚です。そしてまた宇崎竜童のレイジーでロンサムな世界観が濃厚に表現された傑作アルバムでもあります(3rdアルバムで見られたピュアなジャズテイストも復活)。

傷口に塩を擦り込むような都会人の苛烈な孤独感を歌いあげる「寝た子を起こす子守唄」の静かな凄味に感動させられます。現代の豊かさが人々から奪ったのは、他人の痛みに温かな眼差しを向ける寛容の心だったのかもしれません。
2012.12.30 12:53 | URL | #3UG7ZRW. [edit]
mickmac says... "Re: 無題"
>路傍の石さん

>6年前にmickmacさんが勧めてくれたことで入手して愛聴盤になった1枚です。

6年前……そんなになりますか………時の早さを感じます(笑)
Hotwax誌で「影の栖」が梶芽衣子の方がオリジナルだったことを知り、アルバム『あかね雲』を探していましたっけ。
その梶芽衣子×宇崎竜童の重要な曲群もBOXで陽の目をみましたし、本当にもうそろそろ、内藤やす子×宇崎竜童にスポットを浴びせて欲しいですよね。
2012.12.31 01:29 | URL | #- [edit]

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