TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

映画チケットで辿る邦画マイベストテン[1984年]

1984-06_Wの悲劇
1.Wの悲劇
監督:澤井信一郎
出演:薬師丸ひろ子、三田佳子
☆☆☆☆ 初見1984年12月/角川・東映

 原作はとうに読んでいた。その原作自体を劇中劇にして、バックステージものに仕立てた大胆さとその構成の見事なこと。
 薬師丸ひろ子主演映画のベスト3の1本に間違いはない。
 失礼ながら、併映作は遠慮させていただき『Wの悲劇』だけで劇場を出てきた。


1984-03_お葬式
2.お葬式
監督:伊丹十三
出演:山崎努、宮本信子、菅井きん
☆☆☆☆ 初見1984年11月/ATG

 20歳の頃に読んだ伊丹十三のエッセイ「女たちよ!」をマイ・バイブルに、「ヨーロッパ退屈日記」や「再び女たちよ!」など伊丹イズムに信奉していた。
 俳優としても「修羅雪姫/怨み恋歌」の黒焦げにされる思想家や「悪霊島」でのアメリカ帰りの大金持ちなどかなり個性的だったが、1983年には「細雪」「家族ゲーム」でキネマ旬報助演男優賞を獲っているからね。
 そして、満を持しての映画監督デビュー。淡々と描かれるなかでの“儀式”の奥深さを知り、細部描写の充実度に感動を覚えた本作が、各映画賞を総なめしたのは当然のことだったろう。

 
1984-05_麻雀放浪記
3.麻雀放浪記
監督:和田誠
出演:真田広之、大竹しのぶ、加賀まりこ、鹿賀丈史、高品格
☆☆☆☆ 初見1984年10月/角川・東映

 イラストレイター和田誠の映画演出第1作目であるハードボイルドな映画で、脇の人物にいたる細部の描写は、伊丹十三氏と同じく初めての演出とは思えないほどの老練さと安定感を感じさせてくれた傑作だ。
 長いこと多くの日活映画で個性的な敵役を演じてきた高品格が、この年の各映画賞で最優秀助演男優賞を獲得したのも嬉しいニュースだった。
  

tokimeki-ni-shisu_flyer.jpg『AGAIN~アゲイン』と同時上映だっため掲載写真はチラシ
4.ときめきに死す
監督:森田芳光
原作:丸山健二
出演:沢田研二、杉浦直樹、樋口可南子
☆☆☆☆ 初見1984年2月/にっかつ、ヘラルドエース

 原作は丸山健二。当初、この小説の映画化権は内田裕也が自分で製作するために持っていたのだが、原作に惚れ込んだ沢田研二が裕也氏に懇願し、前年『家族ゲーム』で一躍脚光を浴びた森田芳光を指名して映像化した作品だ。

 森田芳光監督の才能あふれる傑作なのだが、“賛否両論”を呼んだ。以後の作品群を見ていけば実に森田芳光らしいのだが、時代が才能に追いついていなかったのだろう。
 沢田研二と杉浦直樹の哲学的な台詞を、ふたりが朗読のように会話するのが当時としてはとても斬新で面白く、北野武の映画やジム・ジャームッシュの作品が評価されるよりもっと前に、この作品が創られていたことで森田芳光の才能を定めたい。
 音楽担当の塩村修が紡ぎ出すメロディも、この会話やスタイリッシュな映像に緊張感を漂わせ、不思議な空気を生み出している。サウンドトラック盤がCD化されないのが残念である。


1984-02_海燕ジョーの奇跡
5.海燕ジョーの奇跡
監督:藤田敏八
音楽:宇崎竜童
出演:時任三郎、藤谷美和子、原田芳雄、三船敏郎
☆☆☆☆ 初見1984年5月/三船プロ・松竹

 80年代に入って中年主役の映画が目立った藤田敏八が、久々に若者にスポットを当てた。どこかしら70年代の空気を漂わせた青春群像だ。
 原田芳雄や三船敏郎の役どころは絶妙であり、藤谷美和子が可愛い時である。


6.人魚伝説


1984-04_メイン・テーマ
7.メイン・テーマ
監督:森田芳光
出演:薬師丸ひろ子
☆☆☆★ 初見1984年7月/角川・東映

 原作は片岡義男。80年代特有のライト感覚瑞々しく、全編、森田芳光のマジック〈遊び〉に満ちたストーリーと映像に変わった。一般評価はかなり酷いものだったと記憶するが、空っぽの時代に弾んだアイドル薬師丸ひろ子に意味がある。
 角川映画のサントラは、この映画が一番好きかな。 
 因みに、併映の原田知世主演の映画も最後まで鑑賞した。


1984-07_すかんぴんウォーク
8.すかんぴんウォーク
監督:大森一樹
出演:吉川晃司、山田辰夫、鹿取容子、蟹江敬三、原田芳雄、平田満、宍戸錠
☆☆☆★ 初見1984年3月/東宝

 吉川晃司のデビュー作品は、吉川晃司(役者)、山田辰夫(シンガー)、鹿取容子(アイドル)らの青春群像劇。監督大森一樹、脚本が丸山昇一。主題歌『モニカ』の作曲はNOBODY。80年代の愛すべき奴らだな。
 故・山田辰夫が大阪映画祭最優秀助演男優賞を獲っているし、脇を固める蟹江敬三、原田芳雄、平田満らの描写もしっかりしている。

 同時上映はアニメ『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』。この2本立ては何?ってなもので、吉川晃司を見ただけで劇場をあとにした。


1984-01_アゲイン
9.AGAIN〈アゲイン〉


10.チ・ン・ピ・ラ
監督:川島透
出演:柴田恭平、ジョニー大倉、石田えり、高樹沙耶
☆☆☆★ 初見1984年12月/東宝

1983年『竜二』で急逝した金子正次の遺稿脚本を朋友・川島透が大幅に手を加えて映像化したアウトロー映画だ。
 遺稿の暗さをハッピーエンドに変えた川島透の演出がポップだったはずなのだが、いま観ると何とも気恥ずかしいだろう。バカ騒ぎ的80年代の軽さである。

    ◇

 たまたま、この年のマイ ベストテンのうち7点(8作品)が前売券購入だったので、コレクション提示することができたわけで、1984年は邦画大作と言われるものもいっぱい公開された。
 松本清張原作の『彩り河』や、五社英雄監督『北の蛍』のような重厚作品。ふたたび『細雪』を狙ったかのような絢爛豪華な女優陣共演(京マチ子、松阪慶子ら)の『化粧』や、吉永小百合と大原麗子共演の『おはん』といった女優映画。深作欣二監督『上海バンスキング』、夏目雅子『瀬戸内少年野球団』、吉永小百合初の汚れ役『天国の駅』、初の劇場版『必殺!』といった話題作があるのだが、ヘソ曲がりには文芸ものや豪華さをあまり謳われすぎると遠慮したくなるきらいがある。食傷気味でもあり以後、大作映画は暫く観ないようになる。
 ロマンポルノも中原俊監督、石井隆脚本の『奇妙な果実』くらいしか観ていないか……。

 そんなわけで、1984年当時10本選んだものは、薬師丸ひろ子と新進監督などの小品ばかりになったわけだ。
 

 

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