TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ファム・ファタール」*ブライアン・デ・パルマ

femmefatale_chirashi.jpg

FEMME FATALE
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ブライアン・デ・パルマ
編集:ビル・パンコウ
衣装:オリヴィエ・ベリオ
音楽:坂本龍一
出演:レベッカ・ローミン=ステイモス、アントニオ・バンデラス、ピーター・コヨーテ

☆☆☆☆ 2002年/アメリカ・フランス/115分

    ◇

 自分とそっくりな女性と入れ代わり新しい人生を歩もうとする女と、事件に巻き込まれ翻弄されるカメラマン。何が飛び出すのやら、驚きとトリックだらけのヒッチコック型サスペンスは、全編フランスを舞台にしたブライアン・デ・パルマ流フィルム・ノアールとなっている。


 舞台は華やかな各国のスターが入り交じるカンヌ国際映画祭。
 ロール・アッシュ(レベッカ・ローミン=ステイモス)は、ゲストの一人が身に付けている1,000万ドルの「蛇のビスチェ」の強奪に手を貸すが、相棒を裏切り「蛇のビスチェ」を持ってパリに高飛びする。パリで偶然に遭遇した自殺事件。その女が自分にそっくりなことでロールは女に成り代わりパリを発った。
 7年後、ロールはリリー・ワッツという名でアメリカ大使夫人に納まって、再びパリに戻って来た。そこで、元パパラッチのスペイン人の写真家ニコラス(アントニオ・バンデラス)が美しいロールに魅せられ、カメラを向けシャッターを押した。
 ロールの素性を探ろうとするニコラス。悪女の本性を表しニコラスに近づき誘惑するロール。だが、そこには驚きの運命がロールを待ち受けていた……。

    ◇

 ファム・ファタールものの古典的名作『深夜の告白』('44/ビリー・ワイルダー)のクライマックス・シーンがオープニングに映し出され、多分に、ここからデ・パルマ流の遊びが始まっていく。

 冒頭の15分間、本物のカンヌ国際映画祭会期中のレッドカーペットで撮影された強奪シーンは、流麗なカメラワークと、坂本龍一の音楽のパッキングが緊張感を高め、ゆったりと流れる“ボレロ”に昂揚することは間違いない。
 そして、本編の半分あたりでは、堂々とトリックを解く鍵が映される大胆さである。

 ヒロインとなるロールが平然と仲間を裏切り、身を隠し、出し抜く悪女ぶりと、幾度となく映されるフォト・コラージュや小さなトリックが仕掛けられ、その幾重にも張られた伏線が、ジグソーパズルの最後のワンピースの如く嵌ったところで、完全ノックアウトされる。
 使い古されたトリックも、これがデ・パルマ流儀。デ・パルマの仕掛けた罠は、掛かった後から効いてくるから堪らない。

 公開当時、評価は真っ二つだった。確かに“映画の夢”が醒めた観客からは「そりゃあ、ないよ」と怒る人もいた。醒めない“夢”を抱えたまま、今でも醒めてはいないのは、ヒッチコックの映画同様に“女優”と“トリック”にハマる快感が楽しいからだ。
 スプリットスクリーン(分割画面)やスローモーション、俯瞰カメラの多用など、デ・パルマ的緊張感に満ちた華麗なビジュアルで、映画芸術の粋を堪能しよう。
 デ・パルマ流儀「映画は遊び」は、映画でないとできない、映像のマジックなのだから。


スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/831-0823ade0