TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「新宿25時〜殺〈バラ〉すまで追え」*長谷和夫監督作品

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監督:長谷和夫
脚本:宮川一郎、長谷和夫
撮影:丸山恵司
音楽:鏑木創
主題歌:「新宿サタデー・ナイト」青江三奈
挿入歌:「新宿25時」香山美子
出演:天知茂 香山美子、原千佐子、青江三奈、園江梨子、梅津栄、広川太一郎、川津祐介、佐藤充

☆☆☆ 1969年/松竹/91分/B&W

    ◇

 眉間に皺、ギョロリと睨むその顔から、ニヒルな渋さを漂わせていたスター天知茂。「座頭市物語」の平手造酒役も忘れられないが、70年代少し前からはハードボイルドのスターとして知られる。リアルタイムで見ていたのはTVに移ってからの天知茂。生島治郎原作の「非常のライセンス」の会田刑事はその代表作だったし、明智小五郎も天知茂の当たり役だ。
 この作品は、天知茂のクールでニヒルな魅力を全編に漂わせたモノクロのハードボイルド映画だ。

 
 激しい雨が降りしきる新宿の路地。安バーの前に佇む男。ホステスの呼び込みにも応えず、ただ雨に打たれている男、天知茂。
 そこに青江三奈の「新宿サタデーナイト」が流れ、キャスティングが映され,銃声が響いて、タイトル「新宿25時」。叫ぶ女とマンションの床に転ぶ死体。マンションの部屋の中を行き交う刑事や鑑識官らの姿にスタッフの名前が重なる………。
 タイトル・クレジットには明記されていないが、本作はウィリアム P.マッギヴァーンの「ビッグ・ヒート」が原作だ。
 
 マッギヴァーンは戦後に登場したアメリカのハードボイルド作家のひとりで、40年代から60年代にかけて悪徳警官ものや私立探偵もののミステリで名を馳せ、後期は社会派作家としてもベストセラーを輩出していた。映画化された作品も多く、1975年に発表された『ナイト・オブ・ザ・ジャグラー』は、1979年にロバート・バトラー監督によって映像化され、原作をかなり脚色されはしたが、ニューヨーク・オールロケで緊迫の誘拐サスペンスが描き出されており、好きな作品だ。因に、日本語タイトルは『ジャグラー〜ニューヨーク25時』。“25時”だなんて、偶然なんだろうな。
 本作の原作も本国で映画化されており、フリッツ・ラング監督により『復讐は俺にまかせろ』('53)というフィルム・ノワールに仕上がっているようだ。


 死体は同僚刑事の安西で、発見者は妻の玲子(原千佐子)。上司の坂上課長刑事や安西未亡人は単なる自殺と決めつけるが、桧は何かきな臭いものを感じ、真実をあばこうと上司と対立する。
 ある日、桧は安西と関係があったクラブの女・梨花(富山真沙子)を調べたが、その直後彼女は何者かによって殺された。梨花を殺した赤松という男は、桧が追っている最中に殺し屋の天童(川津祐介)に撃ち殺されてしまう。
 さらに、桧を狙って車に仕掛けられた爆弾によって桧の妻(園江梨子)が死亡。桧は復讐を誓い警察を辞職し、ひとりで事件解明のために修羅の道を突き進む……。

 桧はまず、梨花の勤めていたクラブ・カトレアの経営者の大滝(佐藤充)に迫る。桧を軽くあしらった大滝だったが実は、売春と密輪など悪事のばれることを恐れていた。
 情婦・さとみ(香山美子)は男らしい桧に惹かれ、嫉妬した大滝はさとみの顔に熱湯をかけ火傷を負わせ、さとみは桧のマンションに逃げ込むのだった。そして病院に入院したさとみは桧に、大滝のところで坂上課長刑事を見たと告げる。
 桧は大滝と坂上の関係をつきとめ、安西が遺書を残していると確信。早速未亡人の玲子を訪れたが、そこには坂上が居た。実は玲子は、その遺書に書かれた坂上と大滝たちとの汚職の事実をネタに大滝を強請っていたのだ。桧の鬼のような形相に、玲子は遺書が隠されたロッカーの鍵を渡すのだった。
 この時の天知茂の形相が、般若のように見えてきて本当に怖い。

 事件は白日のもとに曝け出されたが、桧にとっては大滝への復讐が残っていた。大滝を追って軽井沢に向った桧は、大滝の銃撃にあうが、ふたりを追って来たさとみの猟銃が大滝を倒し、また、さとみも大滝の銃に倒れるのだった……。

    ◇

 社会派ハードボイルドの態を成したシンプルなストーリーに目新しさはないにしろ、カーチェイスや銃撃戦など娯楽としての見せ場はちゃんと用意されている。

 『仁義なき戦い』の梅宮辰夫ばりに眉毛を剃り、不気味な風貌のスナイパー川津祐介がいい。
 この人、ぼくらの世代には『ザ・ガードマン』と『スパイキャッチャーJ3』でお馴染みだ。特に『J3』の壇俊介役は、子供ながらスポーツカーを格好良く乗り回す姿に憧れを持ったし、『ワイルド7』の草波隊長役もクールでかっこいい俳優としての存在だった。
 本作では敵役。天知茂との海辺での対決や、浄水場跡地を開発中の西新宿から東口の雑踏のなかでの天知茂と川津祐介の追跡シーンもスリリングだ。

 トルコ嬢からクラブ歌手になった情婦役の香山美子は美しく、彼女が劇中で歌う「新宿25時」にはグルーヴの効いたやさぐれ感に聴き惚れてしまう。当時シングル盤の発売はなかったようだが、ウルトラ・ヴァイヴからHotwax traxとしてリリースされたサントラCD『反逆の旅〜殺すまで追え 新宿25時』には、その貴重な劇判歌唱が収録されている。

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Comment

根保孝栄・石塚邦男 says... "日本映画は・・・"
六十年代、相当に観たはずなんですが、ほとんど作品の記憶ありませんね。

v-8日本映画の現代物の感覚があまり好きになれなかったんでしょうか。洋画専門でしたね。時代劇は好きでしたが、東映のワンパターンはうんざりでした。黒澤は好きで何度観てもあきないのは、今もです。
2014.06.24 02:35 | URL | #u3MRTyDc [edit]
mickmac says... "Re: 日本映画は・・・"
>根保孝栄・石塚邦男さん

ぼくよりかなりご年配の方だと推測いたします。
60年代は日本映画の斜陽のはじまりですよね。
洋画専門になってゆくのも頷ける時代背景でしょうか………。
2014.06.24 14:38 | URL | #- [edit]

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