TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

新・座頭市「祭りばやしに風車」

監督:田中徳三
脚本:石田芳子、田中利世、奥村利夫(勝新太郎)
原作:子母沢寛
撮影:牧浦地志
音楽:村井邦彦
製作:勝プロダクション/フジテレビ
出演:勝新太郎、石橋蓮司、萩尾みどり、守田学哉

初回放映:1979年9月17日 フジテレビ「新・座頭市」第3シーズン第20話

    ◇

 市は一宿一般の草鞋を脱いでいた一家の賭場で、鉄砲水の八(石橋蓮司)という賭場荒しの小指を落とし懲らしめた。逃げる八をさらに始末しようとやくざたちが後を追うが、市は落とし前は自分がつけたはずと八を助けて去って行った。

 数年後、風車売りの男に声を掛けられ男の家に招かれた市。男は堅気になった八で、女房(萩尾みどり)とつましくも楽しく暮らしていた。
 市も八もあの時の話はおくびにも出さず、三人で酒を酌み交わすのだった。八は慣れない行商のためか肩や背中を患い、女房は八のために市から按摩の手ほどきを受ける。

 そんなある日、八の前に昔の悪仲間が現れ、祭りの日、賭場の上がりを強奪するから八には騒ぎを起こしてくれと凄んできた。
 悩む八。自分の身体はボロボロだ。いつ死んでもいいような現状に、残った女房に幾ばくかの金がいると決断する。
 当日の朝、旅支度の市と八に行商を任された女房が町への街道を歩き別れていく。

 しばらくして、騒ぎを起こそうと出かけようとしていた八の前に、ふたたび市が現れる。

 「悪い了見 起こしちゃいけねぇよ。鉄砲水の八って名前は、島の鳥がどっかへ持ち去ってくれたんじゃなかったのか。青い空、きれいな海、おメエの身体を洗ってくれたんじゃなかったのかい。
 指切りのできねえおメエでも、約束は守らなくちゃな」

 市は八の鳩尾を殴り眠らせ賭場に向う。そして、悪党二人を誘い出して斬り、黙ってその地を去っていった。
 八が目を覚ました時、帰ってきた女房から町でふたりの男が斬られたことを聞かされる。

 町外れでは、鳥居の上に小石を乗せふたりの行く末を願う市の姿があった。

    ☆

 物語は、足を洗った男に昔の仲間が誘いをかけるといったよくあるパターンだが、出演者3人の芝居を噛み締めることが出来る秀作に仕上がっている。

 石橋蓮司の役は珍しく(笑)善人。市に助けられたことで目が覚め堅気になった男。子供らに風車や玩具を売っている街道に市が通りかかる。もちろん目明きの八は市と判るが、自分を名乗らないまま市を家に招き入れる。盲目の市の方は八とわかっているのか……。

 八の家の中で繰り広げられる約5分間の長回しの芝居は、市と八と女房の三人の心情が切なく織り込まれていて味わい深いシーンとなっている。
 萩尾みどりの台詞に被せるように石橋蓮司と勝新が割り込んでくるところを見ていると、このシーンはポイントになる台詞以外はアドリブのように見える。
 萩尾みどりが、勝新と石橋の自由さを戸惑いながらもちゃんと受けている様なのだ。

 この作品に限ってではないが、勝新がシナリオを現場で改変することは日常茶飯事で、完成台本から残るのはタイトルと役名だけだったと云う作品も数多くあったらしい。もちろん脚本家らとの軋轢は起きているのだろうが、勝新がワンマンであればあるほど勝新の天才ぶりは発揮されるわけだ。

 八は島帰りだと打ち明ける。鳥の声と自然の息吹と綺麗な海に身を洗われたと語る。八の市への恩義からくる礼の言葉。
 終幕、お互いあの時のことは何も言わないまま市が八に別れを告げるとき、そっと右手を撫でる。ふたりの心が通じ合っている証。いいシーンである。

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Comment

ちゃーすけ says... "蓮司さん"
石橋さん、この頃は悪役が多かったのですが、これはジーンと来るような良い役でしたね。
改めて、この人は良い役者さんなんだなあと思いました。
市とは本当の心の中にある言葉を言わないやり取りなのに、互いの心情が伝わって来ました。
2012.04.17 14:07 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: 蓮司さん"
>ちゃーすけさん

ご覧になってはいると思いますが「浪人街」での蓮司さんはカッコいいです。
朋友原田芳雄氏のアウトローぶりとは対照的に、とにかく蓮司さんはニヒルでクール。
そして勝新さんもふたりをたてながら、最後に見せ場をもっていく貫禄でした。

反対にカッコ悪い格好良さのオヤジが『われに撃つ用意あり』でした。
最近DVD化されたのが本当にうれしいです。
2012.04.17 18:07 | URL | #- [edit]

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