TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

テケレッツのパッ「四角いジャングルで唄う」唐十郎

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 根津甚八、李礼仙の歌と続いたら、大トリは唐十郎……

 これは1973年2月8日後楽園ホールでの状況劇場の劇中歌リサイタルの実況録音盤で、自主制作(制作はキング・ベルウッドレコード)として発売された伝説のレコードである。歌詞カードの代りに当日の台本(シリアルナンバー付)がセットされていた。
 横尾忠則や金子國義と同じように状況劇場の公演ポスターを手掛けていた合田佐和子の、異界の妖艶さがスケッチされたジャケット画も素晴らしく、それもまた貴重な逸品となっている。

 昔は、合田佐和子をはじめ、横尾忠則や金子國義、宇野亜喜良、そして佐伯俊男……シュールでエロティックで不気味で幻想的なイラストに取り憑かれていたっけな。

 このイベント、後楽園ホールの特設リングで唐十郎、大久保鷹、不破万作、四谷シモン、李礼仙ら状況劇場の奇優たちが歌い演じた一夜の饗宴で、レコードはその模様を妖しく伝えてくれる。状況劇場の生の芝居を見られなかっぼくの、雰囲気だけだが感じることが出来た宝物のひとつだ。


SIDE A
01. 吸血姫のテーマ (唄:唐十郎)
02. ミドリのおばさんの唄 (唄:唐十郎+全員)
03. けつねうどん (唄:四谷シモン)
04. さすらいの唄 (唄:唐十郎)
05. 怒れる乙女 (唄:唐十郎)
06. お銀の唄 (唄:四谷シモン)

SIDE B
01. 犬殺しの唄 (唄:唐十郎)
02. あの人に会ったら (唄:唐十郎)
03. とらわれの姫 (唄:李礼仙)
04. オテナの塔 (唄:唐十郎)
05. 愛の床屋 (唄:唐十郎)
06. ほおづきの唄 (唄:李礼仙)
07. 月がかげれば (唄:唐十郎)
08. 時はゆくゆく (唄:唐十郎)
09. ジョン・シルバーの合唱 (唄:唐十郎+全員)
作詞:唐十郎/作曲:小室等(「お銀の唄」C.VALERY)

 

 「1970年初夏、キングレコードより発売した『愛の床屋』はなぜか放送禁止になりました。どうして放送禁止になったのか、その理由は定かではありませんが、おそらく床屋組合から横やりが入ったと言われてるみたいです。(会場爆笑) 唄が愛の床屋なら結果も愛の成り行きです」

 この口上で放送禁止曲「愛の床屋」が唄われるが、この曲が収録されているのも幻のレコードと言われる所以か。
 1970年6月に発売されたシングル盤「さすらいの唄」のB面曲が「愛の床屋」だった。

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 「床屋」という表現、今は職業差別に繋がるらしく放送禁止用語だという。「八百屋」も「魚屋」もダメらしい。馬鹿げた言葉狩りである。仕事で普通に「印刷屋さん」とか「紙屋さん」と使っているけど、「さん」付けすればいいらしい。

 もちろん「愛の床屋」がこのタイトルだけで放送禁止になったわけではない。
 ラジオの深夜放送だったのか、映画『新宿泥棒日記』の劇中だったのか、一度だけ公に聴いた覚えがあるのだが、まぁ、歌詞の過激なこと。


 俺は長いこと床屋をしていた 新宿三丁目の伊勢丹裏で
 俺のカカァは客引きだった なに不自由ない暮らしだった
 雲ひとるない日曜日がくると 綺麗な身なりで着こなして
 ふたりで招くご婦人方を 楽しく首はねしたものだった

 俺は長いこと床屋をしていた 腕は確かな品川仕込み
 元はといえば屠殺人 品川無宿の荒くれよ
 豚の睾丸くりぬくように 罪なき者を罪あるように
 罪ある者は断頭台 死人は火鉢の灰にする

 ごらんよ ごらん カミソリが舞う
 ごらんよ ごらん 首が飛ぶ
 ごらんよ ごらん 愛の行き過ぎ

 こんなでは当然この曲の復刻はありえないし、この貴重なLP音源のCD化も絶対にないだろう。

 根津甚八が絶賛した四谷シモン18番の「お銀の唄」も聴き逃せない。

 うちが貧しかったので 小さい頃から油屋奉公
 寺子屋にも通えず 年に一度のほおずき市に行けるだけ
 油屋のおかみさんはいじわるで 
 あたしが旦那と何かありゃしないかと
 年がら年中 びくびくで
 ほうき持っちゃ ジロリ 
 ごはんよそっちゃ ジロリ
 旦那の顔見ちゃ ジロリ…………

 台本3頁の長い、なが~い歌詞を、切々と哀しみ込めて唄うシモン氏の歌も貴重だ。





    ◆

 ここでひとつ懺悔……
 40年近く前、東京でいろいろお世話になっていたHさんへ
 Hさんの部屋でこのレコードを聴かせてもらったときにお借りしたモノ、返したつもりで「持っていない」と言い張りましたが、翌々年、東京を離れ帰名したおりに見つけました。そのまま大事に書庫に入れて今に至っています
 Hさん、ごめんなさい。

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