TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

ひとりぼっちの朝の鎮魂歌「情歌抄」李礼仙



 根津甚八のアルバムを聴いてきた流れで、李礼仙(現・李麗仙)のアルバムも紹介しておこう。

 状況劇場の看板女優だった李礼仙。
 残念ながら状況劇場の芝居を見る機会はなかったのだが、1971年頃名画座で観た大島渚監督の『新宿泥棒日記』('69)で状況劇場の様子を知ることはできた。
 映画は、新宿を舞台に横尾忠則と横山リエを狂言回しにしてセミドキュメンタリータッチでSEXを語る、いかにも当時のATGらしい実験的な映画だった。
 売り出し中の状況劇場の面々(唐十郎、大久保鷹、四谷シモン、不破万作、李礼仙ら)が、本人として登場するのだが、訳の判らない本編よりも彼らたちの存在の方が印象に残っている。
 インパクトある女優として認識したのが『女囚さそり けもの部屋』('74)での怪演と、圧倒的な存在感と鬼気迫る演技で目を見張った『任侠外伝 玄界灘』('76)の母娘二役。
 『ニワトリはハダシだ』('04)も良かったし、テレビのヴァラエテイ出演としては1999年に名古屋CBCテレビで製作・放送された『スジナシ』で、鶴瓶との台本無し即興芝居のラストで見せた沈黙の演技は実に見応えがあった傑作のひとつ。

 さて、このアルバムは1979年にリリースされたファーストアルバムで、2003年にCDで復刻化されている。
 夜明けの新宿裏通りの様々な情景を、独特の低い声で鮮やかに歌うやさぐれ歌謡の傑作として名高い逸品だ。


SIDE A
01. クレシェンド (作曲:クニ河内)
02. 淋しい新宿 (作詞:岡本おさみ/作曲:長谷川きよし)
03. 逢瀬 (作詞/作曲:加藤登紀子)
04. 眠れない夜は (作詞:岡本おさみ/作曲:山本幸三郎)
05. よどんで街角 (作詞:唐十郎/作曲:桜井順)
06. 無花果 (作詞:唐十郎/作曲:山本幸三郎)
07. 青の伝説 (作詞:唐十郎/作曲:山本幸三郎)

SIDE B
01. 気まぐれ女 (作詞:岡本おさみ/作曲:長谷川きよし)
02. 雨上り (作詞/作曲:加藤登紀子)
03. 櫻貝心中 (作詞:唐十郎/作曲:山本幸三郎)
04. ジュクに風が吹く (作詞:唐十郎/作曲:桜井順)
05. デ・クレシェンド (作曲:クニ河内)

 娼婦の朝より もっと淋しいよ 新宿 ~  〈淋しい新宿より〉

 クニ河内のオープニング曲にはじまり、岡本おさみ、加藤登紀子、そして唐十郎の世界を、李礼仙がまるで一人芝居をしているかのように、憂いを漂わせながら歌っている。心地よく耳に残るメロディと歌声なのである。

 どんよりした日常が、ふわぁ~と流れ、そして、70年代の空気が鮮烈に甦るトリップ感にあふれ、陰気な情景だが、李礼仙の芯のある強い声に身をまかせていれば、やさぐれ女の不幸な感じはない。


★任侠外伝 玄界灘★
★ニワトリはハダシだ★

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