TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

セクシーに、ブルージーに、歌い語る「火男」根津甚八



火男/根津甚八

 引退が惜しまれた根津甚八の、1982年にリリースされた4枚目のアルバム「火男」が30年ぶりに初CD化、紙ジャケット仕様(幅広帯付き)で発売された。
 これは根津自身がプロデュースし、サウンドプロデュースと全曲アレンジをザ・ハプニングス・フォーのチト河内が務めた、南フランス録音の日本初のレゲエ・アルバムとしてつとに有名なアルバムだ。

 アルバム・ジャケット写真は立木義浩。プロヴァンス鉄道の小さな駅ホームに、にこやかに立つ根津甚八と、ダブルジャケットの中面は煙草を銜え寛ぐショットが納められている。初版LPには大型ポスターも付録されていたのだが、今回の紙ジャケ仕様に封入されていなかったのが残念。

01. TAXI-DRIVER (作詞:クニ河内/作曲:篠原信彦)
02. MACHINE (作詞/作曲:BORO)
03. 野良犬 part II (作詞/作曲:泉谷しげる)
04. 南回帰船 (作詞:門谷憲二/作曲:大野克夫)
05. 火男~HIOTOKO (作詞:チト河内/作曲:石間秀機)
06. 宵待ち (作詞/作曲:チト河内)
07. 上海帰りのリル (作詞:東条寿三郎/作曲:渡久地政信)
08. GINKA (作詞/作曲:BORO)
09. ACTRESS (作詞:クニ河内/作曲:石間秀機)
10. しゃんそん〈bonus track〉 (作詞:吉田いつか/作曲:上田正樹)


 “シンガー”根津甚八のレゲエ歌謡として希有なサウンドを奏でるバンドメンバーは、石間秀機(guitar)、篠原信彦(piano)、クマ原田(bass)、チト河内(drums)、リチャード・ベイリー(drums)といった凄い布陣。
 当時としては、レゲエ・サウンドだけでフルアルバムを作るなんて革新的だったと思える。
 ドラムとベースによるグルーヴ感と、オフビートで刻まれるギターのカッティングが何ともカッコいいし、ブルージーにそしてアンニュイに歌う根津の、台詞のような歌い廻しが心地いい。まぁ、たしかに巧い歌い手ではないけどね………でも、色気があるのだ、色気が。
 原田芳雄や萩原健一、松田優作とも違う、役者の語り唄とでもいうか………、肉体から滲み出てくる心に沁みるナイーヴな声が魅力だ。
 芝居のワンシーンを観ているような感覚になる「GINKA」は、BORO の世界観がサイコーだよ。

 1982年1月にレコーディングされて5月にリリースされた本作。
 これまで何度も書いているのだが、1982年の邦画界は異色の男たちがしのぎを削った年。幼児誘拐犯の萩原健一をはじめ、シャブ中の立て籠り犯泉谷しげる、連続レイプ犯の内田裕也、銀行強盗の宇崎竜童、女性監禁犯のジョニー大倉………日本映画が凄かった年。
 そんな中で“役者”根津甚八が『さらば愛しき大地』でキネマ旬報最優秀男優賞と日本アカデミー賞優秀主演男優賞を獲得したのは、まさに根津甚八の絶好調ぶりを見せつけた感があったわけだ。

 レコード店でこのレコードを見かけた日、買ったのは内田裕也の「さらば愛しき女よ~Farewell,My Loveky」の方だったけど………。
 
 アルバム「Le Pierrot」('79)と「ファースト・コンサート」('80)もCD化してくれないか………


★さらば愛しき大地★

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