TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「新 女囚さそり 701号」*小平裕監督作品



監督:小平裕
原作:篠原とおる
脚本:鴨井達比古
音楽:平尾昌晃
主題歌:「あいつの残影(かげ)」多岐川裕美
挿入歌&エンディング:「そしていまでは冬が好き」多岐川裕美
出演:多岐川裕美、夏 夕介、范文雀、中谷一郎、山本麟一、衣麻遼子、叶 優子、高村ルナ、根岸とし江、紺野洋子、小林稔侍、浅香光代、金子信雄

☆☆☆ 1976年/東映/88分

    ◇

 梶芽衣子の『さそり』4作が終了してから4年、新シリーズの松島ナミには『聖獣学園』('74)で主役デビューした当時新進女優だった多岐川裕美が抜擢された。


 女子大生の松島ナミ(多岐川裕美)の姉の妙子(范文雀)は、法務政務次官の三浦衆議院議員(中谷一郎)の秘書。その三浦代議士は政治献金を巡って騒然とする世情のなか、灰色高官として疑惑の渦中にいた。
 ある日、ナミと婚約者の小坂(夏夕介)の目の前で妙子が何者かに連れ去られてしまった。ナミが姉から託されたのは1本のカセットテープ。そこには政府がひっくり返るほどの陰謀が録音されていた。
 数日後、テープを交換に姉の居所を三浦に問い正すナミは、そこで姉が野党の国会議員の慰めものの道具として利用されていることを知らされる。
 テープが恋人の小坂が持っていることを知った三浦は、口封じのためにナミを犯し妙子を殺害。財力と権力に寝返った小坂の証言で、ナミは姉殺害の罪を着せられ女子刑務所に送られてしまう。
 その日からナミは、姉の復讐を誓い“さそり”へと変身していく。
 やがて千紗という女囚(根岸とし江)が入所してくる。千紗が三浦の差し金と見抜いていたナミは、罠と知りながら千紗の助けで脱走を成功させ、復讐の修羅の道を歩むのだった……。

    ◇

 伊藤俊也監督版(『女囚701号/さそり』『女囚さそり 第41雑居房』『女囚さそり 701号怨み節』)が奇抜でホラー趣味の極地だっただけに、本作はかなりインパクトに欠けるまともなB級映画になっているのだが、篠原とおる劇画にはお馴染みのデブキャラの老名主(浅香光代)の執拗なリンチや、真っ赤な口紅を塗りたくる悪趣味的芝居や、ナミとの格闘で火だるまになる浅香光代も、刑務所所長の山本麟一がナミの攻撃で左目を潰されるのも、原作はもちろん、梶芽衣子の『さそり』第1作を踏襲し、更に、極彩の血糊画面や悪辣な奴らが白塗りでイメージされたりと、前シリーズの助監督をしていた小平裕監督が伊藤俊也監督vs梶芽衣子の『さそり』にリスペクトしているのが感じられ、それなりに成功はしている。

 黒のコートを翻し裏地の豹柄模様をなびかせる多岐川裕美が、国会議事堂を背景に憎き中谷一郎を刺殺するラストシーンは、『女囚701号/さそり』で日の丸がなびくシーンに重なる面白さで、多岐川裕美の歌う「そしていまでは冬が好き」(デビューシングル「あいつの残影(かげ)」のB面)が拙い歌唱ではあるが効果的である。
 因にオープニングに流れる「あいつの残影(かげ)」はフォーク調の平尾歌謡曲で、まるで歌謡映画のような幕開け。

 多岐川裕美は前年公開の『仁義の墓場』で演じた薄幸の情婦役が哀しいまでに印象深いものがあり、梶芽衣子の後を継いでどうなんだと思ったものだが、思ったより悪くなかった。こうして見直してみても、彼女の大人の落ち着きとクールに発せられる眼光は、唯一の梶芽衣子後継者だったろうに。
 美人なのがイイ。だから、この1本で降板したのは実に惜しかった。ただし、台詞回しの優しさが“さそり”としては難があるのだが。

 あっという間に殺される小林稔侍とともに、ちょっとしか顔を出さない贅沢な役回りの范文雀も、やはり美しくイイねぇ。

 ナミの刺客として登場する根岸とし江(現・季衣)は本作が映画デビューで、つかこうへいの舞台『ストリッパー物語』で注目されたあとだけに、その面構えも態度も堂に入った存在感。

 さて、カメラテストを兼ねて秘書役としてワンシーンに登場(当然クレジットはされていない)する夏樹陽子が、晴れて三代目“さそり”を受け継いでいく。


★仁義の墓場★


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Comment

aj says... "はじめまして。"
はじめまして!
もし宜しければ相互リンクして頂けますと幸いです。

突然の申請で申し訳ございませんが、是非ご検討下さい。
当方、主に映画やアニメブログになります。

タイトル
【ジャンル別映画・時々深夜アニメ】30歳A型独男の「今日はな~に観よっかなぁ~」

URL
http://ajfour.blog.fc2.com/

宜しくお願い申し上げます。
2011.12.26 20:12 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: はじめまして。"
aj さん はじめまして

ご覧の通り、このブログは映画専門ではなく、音楽・小説諸々とごった煮です。
映画も、どちらかと云えば邦画(それも70~80年代中心)趣味になってきています(笑)。
お口(目)に合うか判りませんが、リンクの件はいっこうに構いませんよ。
2011.12.27 12:55 | URL | #- [edit]
ちゃーすけ says... "来年もよろしくお願いします"
今年はいろいろお世話になりました。
温かい言葉もかけていただき、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
来年がmicmacさんにとって、良い年になりますように。
2011.12.31 23:59 | URL | #a2H6GHBU [edit]

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