TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「美しい夏キリシマ」*黒木和雄監督作品



A Boy's Summer in 1945
監督:黒木和雄
脚本:松田正隆、黒木和雄
出演:柄本佑、小田エリカ、原田芳雄、石田えり、香川照之、左時枝、中島ひろ子、宮下順子、寺島進、牧瀬里穂

☆☆☆☆★ 2002年/日本/118分

    ◇

 日本には風化させてはいけないものとして、語り継がれなくてはならないものとして、8月の夏がある。

 異常だった風景を原体験として持つ黒木和雄監督が、宮崎で過ごした少年時代を自分自身の“戦争”へのレクイエムとして描いたこの映画は、日本映画史に残る名作と云ってもいい。

 1945年8月。九州・宮崎の農村を舞台に、時代に魂昂らせる男たちと日常をやさしく生きる女たち。そんな彼らを見ながら自分の居場所を見つけられない少年の姿。
 日本の敗北が決定的だったあの時期、戦場とは無縁のところにいたひとびとのこころの中には、誰もが簡単には答えられない何かがあったはず。それが正しいとか卑しいとかと判断するのではなく、作品は優しく温かく見守るように丹念に描かれている。

 戦時下とは思えない静かな日常と美しい風景の中だからこそ、戦争の悲惨さが浮き彫りになり、伝えなければならない事がしっかりと写しだされる。
 この映画に、爆撃や戦闘の映像は一切ない。

 そして、その静かな語り口の中で演じられる俳優陣の素晴らしさ。
 石田えりの人間くささ、香川照之の狡猾さ、寺島進の優しさ、中島ひろ子の柔順さ……
 みんな、みんな切なくて素敵だ。

 こころの中にいつまでも残る作品です。

スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/78-af5189ec