TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

原田芳雄、追想 そして、曽根中生、語る



 『映画芸樹 2011年秋号』は芳雄さんの特集。
 追悼じゃない、追想……。

《座談会》 石橋連司・佐藤浩市・阪本順治
~その広々とした人格の間に

《インタビュー》 桃井かおり
~どんなに不様なときでも生きるほうを選択させてくれた
 芳雄は、そういう人魂だった

《座談会》 宇崎竜童・山崎ハコ・早坂紗知・大木雄高
~芳雄さんにありがとうって言おう

《対談》 森崎 東・近藤昭二
~本気で死んだと言ってくれ

《追悼文》
内田裕也  献杯!
小野武彦  兄貴、偉いよ
柄本 明  ヨシオさんのこと
田辺泰志  永遠のアンチヒーロー
黒崎 博  他者への敬意に満ちている人
森本佑司  「熊野」と感応した役者

《論考》
原田芳雄、その軌跡を辿る  上野昂志

《原田芳雄全映画 1968~2011》



 「仕事を遊ぶ」ことで仲間を増やしていった芳雄さんの「遊び仲間」が語る“原田芳雄像”からは、やっぱり、唯一無二の俳優であり、シンガーであり、人間芳雄の凄さ、素晴らしさ、カッコよさしか見えてこない。あらためて、失ったものの大きさを実感してしまう文章の数々。
 原田芳雄を愛するすべての映画ファンと、すべての音楽ファンが読むべき本だと思う。

 荒井晴彦氏のインタビューで、朋友・桃井かおりは今まで語ったことのない真情を吐露している。
 「デビューで蓮司さんと一緒で、次に『赤い鳥逃げた?』で芳雄さんと一緒で、その後、クマちゃん(神代辰巳)に移行しているから、普通には育たない(笑)」などと、自らを野生の女優と云う桃井かおり。彼女の中心にあったものが原田芳雄という大きく太い柱だったことは自明の理であり、彼女の言葉ひとつひとつに原田芳雄に捧げる愛情の深さが表出していて、読み終えたときは心の揺さぶりが大きくて涙が滲んでくる。

 いま桃井かおりは仕事の拠点をアメリカ西海岸に移して、外国人映画作家と映画に携わっている。文中で語っているように、芳雄さんも桃井かおりも台本どおりにやらない俳優。ショーケンもそうだけど、台詞を巧く覚えるだけの役者じゃなくて身体で台詞を生む役者は、いまの日本映画では使いづらいんだろうな。
 パキさん(藤田敏八)も、クマさんも、黒木(和雄)氏も、優作も、芳雄さんもいない。なんだかひとり、ポツンと残されてしまった感覚が、ぼくらファンにも大きく伝わってくるインタビューだった。

 内田裕也御大のあふれる愛情、俳優座一期後輩の小野武彦さんのやさしさ、柄本明さんの羨望と嫉妬に再び涙が浮かぶ次第………。
 松田優作と夏目雅子と芳雄さんのアクション喜劇や、蓮司さんとコンビの喜劇など芳雄さんに向けてホンを書いていたという田辺泰志氏(清水邦夫氏とともに『竜馬暗殺』の脚本を執筆)も、大きな夢で遊んでいたのだなぁと感慨。
 
 ブルーズ・シンガーでもあった芳雄さんに共鳴した宇崎竜童さんと山崎ハコ嬢の想いも素敵だな。芳雄バンドでサックスを吹いていた早坂紗知さん、プロデューサーの大木雄高氏、ホント、有り難うですね。

 告知として、待ち遠しかった森崎東監督の映画『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』が来年の1月21日にDVD発売される模様。
 そうだよ いつでも、また会えるんだ。



 そして、再来した曽根中生を気心知れた荒井晴彦氏がインタビュー。これも必読。
 相米慎二や池田敏春を育てたと言っても過言ではない天才・曽根中生氏。言っちゃ悪いが『映画秘宝』や『キネマ旬報』のインタビューより、断然読み甲斐のある座談会である。
 映画しかなかった中生氏が映画に叩きのめされ、突然映画と決別しなければならなかった事情を淡々と語る、浦島太郎が海辺に戻って来たような曽根中生氏。
 新しく情熱を傾けるものに出会い、映画に冷めていることには少し残念で寂しいな。
 
    ◇

映画芸樹 2011年秋号
【編集プロダクション映芸】
定価 1,500円

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Comment

ひまわり says... ""
こんばんは!本当どの雑誌より読み応えがありました。桃井かおりさんの藤田敏八監督のくだりには思わず涙が…。荒井さんの曽根監督への語りが、なんだか微笑ましく思いました!
2011.11.01 19:32 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: タイトルなし"
ひまわりさん
レスの前に記事を書いてしましたが、読み応えのある談話でしたね。
それにしても曽根中生さんの自己嫌悪の深さには驚きました。

桃井かおり嬢の役者たる幹の部分の話、なるほど、と。
こんなこと云える女優は、やっぱ桃井さんしか………。
2011.11.01 20:17 | URL | #- [edit]
ひまわり says... ""
曽根監督は映画に誠実に向き合っていたからこそ、辞めざるを得なかったんだと思います。今回は驚かされましたが、次は新作で驚かせて頂きたいです!
2011.11.01 21:46 | URL | #- [edit]

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