TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「竜馬を斬った男」*山下耕作監督作品



監督:山下耕作
原作:早乙女貢
脚本:中村努
撮影:森田富士郎
音楽:千野秀一
出演:萩原謙一、根津甚八、藤谷美和子、中村れい子、坂東八十助、佐藤慶、内藤武敏、島田陽子、本田博太郎、片桐竜次、岩尾正隆、大村崑、結城貢、早乙女貢

☆☆★ 1987年/松竹/109分

    ◇

 かつて、NHK大河ドラマ『勝海舟』でテロリスト「人斬り以蔵」を演じたショーケンが、今度は佐々木只三郎という佐幕派の暗殺者に惚れ込んで自らの手で企画・映画化を果たした作品。


 文久3年。旗本・佐々木家の養子となった元会津藩士の只三郎(萩原健一)は、老中・板倉伊賀守(内藤武敏)の命令で、かつて京都へ共に浪士隊を率いて行った清河八郎(岩尾正隆)を暗殺した。

 坂本竜馬(根津甚八)と出会ったのは、美しい妻八重(藤谷美和子)と祝言をあげて間もない頃だった。人を喰ったような惚けた男だと感じた。
 只三郎は八重を江戸に置いて京都見廻組組頭に着任し、新撰組が池田屋を急襲した夜、会津での幼馴染みで足軽の息子亀谷喜助(坂東八十助)に出会う。
 出自にコンプレックスのある喜助は、いつか世間を見返してやろうと、勤王の志士となって見廻組隊長の只三郎を付け狙っており、ある日、只三郎を襲い従者の惣兵衛(大村崑)を殺してしまう。喜助を追った只三郎は、寺の境内で夜鷹を見つけるが、それは、かつて只三郎の許嫁で喜助に寝取られたぬい(中村れい子)であり、その変わり果てた姿に只三郎は衝撃を受ける。

 ふとしたことで知り合った芸妓の小栄(島田陽子)と暮らすようになった只三郎は、勤王派から度々襲われるようになり、ある日、自分を襲った少年を斬ることで、職務への疑問を持ち始める。が、実兄の会津藩士・手代木直右衛門(佐藤慶)から幕府の大政奉還の意向を聞かされた只三郎は、失望感からますます勤王派の弾圧を厳しくするのだった。

 桂小五郎(本田博太郎)と西郷吉之助(結城貢)を仲立し薩長連合を実現させた、時代の寵児ともいえる坂本竜馬に強い嫉妬と憎悪を覚えた只三郎は、狂ったように竜馬を追い求め、慶応3年11月15日、中岡慎太郎(片桐竜次)とともに近江屋に逗留している竜馬を斬った。
 その後只三郎は鳥羽伏見の戦いに参戦し、瀕死の重傷を負い小屋の中で気を失っていた。そこに現れた喜助。只三郎に斬りかかるも、逆に只三郎の返り討ちとなり、深手を負って小屋を出て行った。
 ぬいが川端で喜助の死体を見つけ、傍らの小屋で血にまみれた只三郎の最期を看取ったのだった。

 八重が京都に着いたのは、只三郎の死から半月経った頃だった……。

    ◇

 ショーケンの直情型で変態的とも云える只三郎役は鬼気迫るものがあり、このキレ具合がショーケンを好きになるか嫌いになるかの境なんだろうが、ローソクの炎で燃やした書簡を喰うシーンなどはまさしくショーケンの焔技。
 30代後半相応の体躯とは云えしなやかさは健在でその体躯を活かした殺陣も冴え、ギラギラと躍動するショーケンの意気込みは評価できる作品で、艶やかなショーケンを眺めていればいいのかも。

 ショーケンを「格子越し」に横移動する絵面が何度も出てくるが、これは中々印象的で面白い。
 
 可愛らしいがカマトトぶりが嫌味な藤谷美和子と、美人だが背丈が高すぎる芸妓に違和感ありの島田陽子らスター女優にはまったく興味なく、殺伐としたシーンで麗しき色香を漂わす中村れい子が良かった。

 佐幕派であれ倒幕派であれ、時代に翻弄されたひとりの男の悲劇として見るのが妥当なのだろうが、只三郎を付けねらう喜助とのエピソードに引っ張られ過ぎて、竜馬を暗殺してからのシーンは余分な気がする。
 萩原の自叙伝『ショーケン』に記述もされているが、ショーケンの後ろ姿で終わって欲しかったな。
 ましてや、大ラスに映し出される現代の京都の風景なんて愚の骨頂。ショーケンの艶っぽい死に顔が脳裏からいっぺんに吹き飛んでしまう。

 映画は始めから終わりまでトラブルだらけ(『ショーケン』を読まれたし)で、興行的にも失敗に終わり大きな負債を抱えたショーケンなのだった。

★ショーケン★

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