TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ビッグ・ガン」*ドゥッチョ・テッサリ



BIG GUNS
監督:ドゥッチョ・テッサリ
脚本:ウーゴ・リベラトーレ、フランコ・ベルッチ、ロベルト・ガンドゥス
撮影:シルバノ・イッポリティ
音楽:ジャンニ・フェリオ
タイトル歌:「逢いびき」オルネラ・ヴァノーニ
挿入歌:「愛であったら」ミーナ
出演:アラン・ドロン、リチャード・コンテ、カルラ・グラビーナ、ニコレッタ・アキアベッリ、マルク・ポレル、リノ・トロイージ、ジアンカーロ・スブラジア

☆☆☆ 1972年/イタリア/110分

    ◇

 マカロニ・ウェスタンのトップスター、ジュリアーノ・ジェンマを発掘し『続・荒野の1ドル銀貨』('66)で名を馳せたドゥッチョ・テッサリ監督の、B級活劇の味わいで趣向を凝らしたイタリア製犯罪映画の傑作で、70年代のアラン・ドロンの映画では結構好きな作品だ。

 ミラノを本拠地にしているマフィアの一員トニー・アルゼンタ(アラン・ドロン)は、息子の7回目の誕生日をきっかけに足を洗う決心をした。ボスのニック・グスト(リチャード・コンテ)に打ち明けた数日後、トニーの妻アンナ(ニコレッタ・アキアベッリ)と息子が彼の車に仕掛けられた爆弾で即死する。
 組織への復讐を誓ったトニーは、まずはパリを統括するボスを殺害し、つづいてコペンハーゲンの幹部を襲撃。目的を果たすも自らも負傷したトニーは、同郷のデンニーノ(ジアンカーロ・スブラジア)の友情に救われた。
 その頃、トニーを慕う弟分のドメニコ(マルク・ポレル)が惨殺され、トニーに情報をもたらしたサンドラ(カルラ・グラビーナ)が凄惨な暴行を受けていた。ミラノのもうひとりのボス・クチッタ(リノ・トロイージ)を射殺しサンドラを救ったトニーには、復讐の無意味さと心の虚しさだけが残っていた。疲れたトニーは、サンドラを連れて生まれ故郷のシチリアへ向う。
 そしてシチリアでは、ニック・グストとの和解が持ちかけられ、ニックの娘の結婚式にサンドラを含むトニー一家が招待された。
 荘厳な式が終わり、参列者が家路につくために散会するなか、友人デンニーノの車を見つけたトニーは晴れやかな笑みを見せて歩み寄るが、デンニーノの手に握られた拳銃から一発の銃声が発せられるのに時間はかからなかった………。

    ◇

 70年代最高にカッコいい美男スターのアラン・ドロンは、『サムライ』('67)の一匹狼の殺し屋ジェフ・コステロ以降、孤高の男の翳りに真価を見せる。

 イタリアン・ポップスの女性シンガー、オルネラ・ヴァノーニの1970年のヒット曲「逢いびき」をタイトル・バックに、ポマードで撫で付けた髪と長いもみあげで、ビシっと黒のスーツで決めたスタイルで殺しに出かけるドロン。
 敵対するボスの部屋に何事もないかのようにノックして入り一発で始末したあと、別の扉から現れた男の部下に対しても表情を変えず、フっと首を傾げながら射殺するドロン。寡黙な男の見せ場であるが、クールなイメージを強烈に見せるオープニングは一変して、妻子を失った男の狂気となる。復讐に熱く燃えながら、終始哀しい表情が焼き付くドロンに、共感を覚えるのは当然だろう。
 
 フレンチ・フィルム・ノワールとはひと味ちがうイタリアン・アクション独特の泥臭さは、復讐する男の宿命を哀しく見せるに効果的である。

 そして音楽も素晴らしい。
 カンツォーネ畑出身の作曲家ジャンニ・フェリオが手掛けたメロディは、まさに日本人好みのメロディライン。ジャンニ・フェリオの映画音楽では『荒野の一ドル銀貨』('65)も素晴らしい曲だったが、マカロニ・ウェスタンに限らず、イタリアン・ポップスは日本人の耳に相性がいいと思う。
 
 日本で知名度が低いジャンニ・フェリオだが、有名なところではダリダとアラン・ドロンの「甘い囁き」だろうか。日本でも中村晃子と細川俊之で大ヒットした「♪パローレ、パロレ、パローレ!♪」である。

 テーマ曲「トニーのテーマ」は、ハーモニカの哀愁感がたまらない。この曲は全編にわたって流れるのだが、特に素晴らしい箇所は、ミラノのボスを邸宅で射殺し、ブルーグレイの朝靄に煙るなかをサンドラを助けにマンションに戻るシーンだ。エレベーターのなかでの悲壮感いっぱいのドロンの表情に被さるハーモニカは、本作のなかで一番哀しい。

 主題曲と同様に流れるもうひとつのテーマ曲もグルーヴ感あふれるクールなスコアで、70年代流行のファンキー・ビートとして聴きモノ。

1973-07_ビッグガン





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Comment

ちゃーすけ says... "アラン・ドロン"
この頃のフランス映画の粋なこと、空しいこと。
アラン・ドロンの美貌がそれを引き立ててますね。
そして、いつもコメント、ありがとうございます。
2011.06.21 10:16 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: アラン・ドロン"
この頃の映画で、また語り合いたいと思います。
その日まで
こころ穏やかにお過ごしください。
2011.06.21 18:07 | URL | #- [edit]
蟷螂の斧 says... "あのラスト"
すごくいいです。
ハリウッド映画のように決してハッピーエンドで終わりません。
ああ言うラストの方が好きです。
2013.03.14 21:37 | URL | #HMPKSmtQ [edit]
mickmac says... "Re: あのラスト"
蟷螂の斧さん 

アラン・ドロンは何をやっても絵になる男ですから、このときの表情も素晴らしいです。
2013.03.15 16:07 | URL | #- [edit]

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