TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ジーンズブルース 明日なき無頼派」*中島貞夫監督作品



監督:中島貞夫
脚本:中島貞夫、金子武郎
撮影:増田敏雄
音楽:井上忠夫
主題歌:「ジーンズぶるうす」梶芽衣子
出演:梶芽衣子、渡瀬恒彦、内田良平、室田日出男、川谷拓三、橘真紀(加納エリ子)、堀越陽子、山本麟一、曽根晴美、菅貫太郎

☆☆☆ 1974年/東映/91分

    ◇


 乱交パーティを開くバーの雇われママ聖子(梶芽衣子)は、退屈な毎日にウンザリし、ふらっと車で夜の町に飛び出していく。
 同じ頃、高利貸しの殺しを頼まれた殺し屋たちの手先になっているちんぴら次郎(渡瀬恒彦)は、自分の命の危険を悟り、殺しの報酬500万円を盗んで車で逃走する。
 郊外の十字路で、聖子と次郎の車が衝突。車が炎上するのを横目にふたりは、通りがかった車を盗み猛スピードで走り去る。
 次郎は、たったひとりの妹(堀越陽子)に金を渡すために日本海を目指すという。そんな次郎の思いやりに心を和ます聖子は、彼と共に旅を始めるのだった。
 一方、500万円を持ち逃げされ怒り心頭の殺し屋のボス本郷(内田良平)は、手先の早川(室田日出男)と石松(川谷拓三)、高利貸しの情婦マリー(橘真紀)らとふたりを執拗に追いかけていく。
 必死に逃げる聖子と次郎は途中、ハンター(曽根晴美)の猟銃を盗み、ガソリンスタンド強盗や田舎町の賭場荒らしをしながら故郷の丹後へと向かのだが………。
 
    ◇

 梶芽衣子の役名〈聖子〉は“せいこ”ではなく、“ひじりこ”と呼ぶ。
 こうして活字で〈聖子〉と見れば、“ひじりこ”と変わった読み方でも理解できるのだが、映画館で“ひじりこ”って聴いた時には何言っているのか全然分からなかった。変なところだけが印象に残っている。

 1974年は梶芽衣子出演作品を一番多く観た年だった。『野良猫ロック シリーズ5作品』('70~71)や『女囚さそり 701号怨み節』('73)『仁義なき戦い 広島死闘篇』('73)などを名画座で後追い鑑賞し、この年の封切り作品では『修羅雪姫 怨み恋歌』『無宿』に熱を上げ、『ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派』も期待を持って封切館に足を運んだのだが、作品としてはイマイチでがっかり感の強い作品だった。併映の『ワル・ネリカン同期生』(谷隼人のワル・シリーズ3作目)よりはぐっとマシだったのだが……。

 『女囚さそり』を払拭し次なるステップに踏み出そうとした梶芽衣子が、中島貞夫監督に提案したのが“和製ボニー&クライド”だったらしく、男と女の逃避行から最期には体制の権力に倒れる、ってものを作りたかったのだろうが、過剰な演技で能天気に笑わせる渡瀬恒彦とクールビューティな梶芽衣子が相容れることなく終わってしまっている。
 終幕で、瀕死でヒクヒクと苦しんでいる渡瀬(この演技は笑える)を楽にしてやるために、無情に射殺する女の哀しみはどこ空々しい。
 警官隊に囲まれるラスト、ライフルを持って抵抗する梶芽衣子の立ち姿は様になっているが、警官に額を撃ち抜かれるショットは稚拙でいただけない。

 始めから最後までハイテンションな内田良平。スタントなしで車に引きずられる吃音男の川谷拓三。インパクトある髪型の中古車屋の山本麟一。情夫に貢くために兄を騙すフテブテしい堀越陽子など、脇を固めるメンツは充実している。

 映画音楽を手掛けることが少なかった井上忠夫の劇伴は貴重であって、ここで聴かれるロックテイストあふれる曲群は最高にカッコいい。
 そして、映画公開と同時にリリースされた梶芽衣子が歌う主題歌「ジーンズぶるうす」も井上忠夫の傑作曲だが、当然映画はヴァージョンが違っており、冒頭、アコースティック・ギター1本で無常感を漂わせて唄う梶芽衣子の歌声にはシビれるばかりである。
これらの劇伴はCD「鉄砲玉の美学/中島貞夫の世界」で聴くことが出来る。

 作品の出来は中途半端な感じを受けたのだが、総じて梶芽衣子のカッコ良さだけは変わらないので嫌いな作品ではない。

ジーンズぶるうす



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