TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「嫌われ松子の一生」山田 宗樹

 中谷美紀の主演で映画化が決まったので文庫本を購入。
 久しぶりに上下巻の本を一気に読み終えた。
 これは波瀾万丈に生きて行く女の一生ではなく、徹底して奈落に堕ちていく女性の話だ。
 しかし、嫌いになるほどのイヤな女がどんなものなのかと思い頁をめくれど、そこには哀しい女の姿しかなかった。

 東京の片隅で松子が殺された。親兄弟から勘当されていた松子に一面識もなかった甥の川尻笙は、嫌々ながらアパートを引き払う手続きを頼まれるのだが、一緒に行った恋人の明日香が妙に関心を持ったこともあり、笙は今までその存在すら知らなかった叔母の松子の過去に興味を持ちはじめる。
 53歳にしてひっそりと殺されなければならなかった松子の一生が、ミステリー仕立てで解き明かされていく。その半端じゃない女の堕落ぶりが安手なドラマ風になっていないのは、現在の笙の視点と過去の松子の視点で語られる構成など、作者の筆の巧さだろう。

★以下、転落内容に触れます。



 厳格な家庭で育ち中学校の教師をしていた美人で才媛な女性・松子が、ある事件をきっかけに転落をしていく。ひとの良さもいい加減にしろよ、って云ってやりたいほど生真面目な松子。自分の不幸に気付かないほどの愚かな女、松子。どんな境遇でも一生懸命に生きていく松子。愛に飢えていただけの女、松子。
 しかしその足跡は、人を信じ、男を愛し、男に裏切られ、友に見限られ、家族に捨てられることのくり返し。恋人に死なれ、トルコ嬢(松子の生きている70年代はこう呼んでいた)になり、シャブを打ち、ヒモを殺し、刑務所に入る……その度に、松子はひとつひとつ自分の人生を捨てていく。

 松子の愚かな行動には「何でそっちの方を選ぶの」って溜息が出てしまうけれど、それならそれでしっかり見届けてやろうじゃないかという気になるのだから、厄介だ。

 そして、松子が最期に掴んだ“幸福”に、泣ける。

 読み終わったあと、中島みゆきの歌を聴きたくなった。
 やさしい女 毒をんな エレーン………どの歌にも松子がいた。
 …………生きていてもいいですか………
 また、泣いた。どうしようもなく泣ける。

 中島哲也監督の映像版を早く観てみたい。
 きっと、もっとリアルな松子に会えるのだろう。
 
嫌われ松子の一生/山田 宗樹
【幻冬舎文庫】
上巻:定価 600円(税込)
下巻:定価 630円(税込)

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Comment

sui says... "はじめまして。"
私も先日読みました。
最初は、さぞかし嫌な女なのだろうかと思いました。
題名が強烈ですからね。
だけど、松子の独白がはじまった直後から、私の松子に対する誤解が解けました。
彼女は真面目すぎた故に、至極不器用な生き方しかできなかったんですよね。
それに、決して「嫌われ松子」ではなかったと思います。
彼女の死後もなお、甥や元恋人など愛してくれるヒトはいたのですから。
2005.07.14 02:25 | URL | #V8GNoOP. [edit]
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2005.07.14 11:46 | URL | #- [edit]
mickmac says... ">suiさん"
 はじめまして ようこそいらっしゃいました。

 人生での岐路で、どうしても過った方向を選んでしまう松子って少しイライラはするけれど、懸命に生きている姿があるから嫌な感じを受けないのですよね。

 松子と対照的に、明日香が自分の生き方をしっかり見つめ直して、颯爽と歩き出すのは好印象です。
 笙も、松子を知ったことで自分が何のために生きているのかを掴むわけで、最後のあの怒りと悔しさは読む者みんなの思いでしょう。
2005.07.15 14:03 | URL | #kuX..F9k [edit]
sui says... ""
レスありがとうございます。

笙は変わりましたよね。
はじめは軽薄な理系の大学生だったのに。
松子の人生を追跡していくにつれて彼女を理解し、自分の人生を考えるようになっていくのですから。

果たして笙は明日香とやり直すのでしょうか。
愛し合いながらも別れた龍と松子のようになって欲しくないと感じるのは、読む者が登場人物に感情移入しているから?
明日香のことに関しては悩んだままで終わってしまいましたが、龍 洋一の
「私を反面教師にして下さい(後略)」
という願いが通じて欲しいと思っちゃいました。

2005.07.17 03:29 | URL | #V8GNoOP. [edit]

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