TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「禁猟区」乃南アサ



 迂闊だった。
 同業(ガイシャ)の隠密(インスペクター)に追われていたとは。
 監察官………
 それは刑事(プロ)を網にかけるプロ。  

 捜査情報が漏れている?
 刑事が立場を利用して金を動かしている?

 警察内部の犯罪を追う監察官はあくまで陰の存在。
 隠密行動を貫いて「密猟者」を狩り出してゆく。

 尾行される刑事は意外にも無防備。獣道に沿って仕掛けられた罠に気づきもしない。プロとしての自負が邪魔するのだろうか。

 監察チームの頭脳プレーを描く本邦初の警察インテリジェンス小説、ここに誕生!  “帯惹句より”

    ◇

 2010年は乃南アサの単行本が4冊発刊されたが、11月に出た『地のはてから』(上下巻)以外は連作短編集で、なかでも本作は、警視庁警務部人事一課つまり警察内部の犯罪を追う監察官の物語で、なかなか面白い題材を扱った傑作である。

 物語は、ふとしたことがきっかけで転落していく警察官の様子と、若い女性監察員沼尻いくみの視点から顛末が語られ、監察対象となる人物造形もしっかりしているからシリアスな人間ドラマが展開していく。
 
禁猟区
 かつて補導した少年に再会した生活安全課の女性警察官。彼がホストになっていたことで、ホスト遊びの泥沼に嵌り込み、そして………。

免疫力
 組織犯罪対策課の刑事が、不治の病の息子に効いた健康食品を馴染みの組長に紹介したことで、組のシノギの一端を担うことになってしまう……。

秋霖
 時効まで1ヶ月になった殺人事件を追う老練な刑事は、捜査当初からクロと睨んでいた男に対し、情報リークと偽の証拠品で揺さぶりをかけようと画策する………。

見つめないで
 引っ越したばかりの女性監察員沼尻いくみのマンションにストーカーの魔手……。


 音道貴子シリーズにつづく新たな女性警察官を主人公にしたものとして、次なる物語も読みたい。

    ◇

禁猟区/乃南アサ
【新潮社】
定価 1,400円(税別)
2010年8月初版

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