TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「レイ」*テイラー・ハックフォード



Ray
監督:テイラー・ハックフォード
出演:ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、レジーナ・キング
   リチャード・シフ、シャロン・ウォレン、カーティス・アームストロング

☆☆☆☆ 2004/アメリカ/152分

    ◇

 冒頭、鍵盤を叩く指から奏でられる「ホワッド・アイ・セイ」のフレーズに心踊らされ、続くアトランタの色鮮やかな風景と、木からぶら下げられた色とりどりなガラスビンの幻想的な画面が目に焼きつく。このガラスビンの色彩とそれらが触れ合う音こそ、レイの原風景となり彼の音楽の源となっているのではないだろうか。

“ソウル・ミュージック”という音楽はレイ・チャールズによって創りだされた、という事実にあらためて気づかされる。ゴスペル(神への讃歌)とブルース(男女の愛の歌)を融合させることで黒人音楽を変革したレイの偉大な功績なのだ。当時こんなことが物議を呼んだとは、今では考えられない。
 そして、レイの音楽は彼の魂(ソウル)そのものだったこと、生きてきた人生そのものだったということ。結婚する妻への喜びの歌「ハレルヤ、アイ・ラヴ・ハー・ソー」。最初の愛人へ捧げたのが「メリー・アン」。ふたりめの愛人との別離では「旅立てジャック」。「アンチェイン・マイ・ハート」はこころの叫び。そして、故郷への郷愁を唄う「ジョージア・オン・マイ・マインド」。今まで聴き親しんできた曲もあらためてその背景を知ると、こんなにも純粋で素直な歌だったのだと驚き、力強くピアノを叩く彼の姿に感動する。

 レイの生涯は、7才にして弟の死と失明そして貧困と差別と、あまりにも過酷な運命を背負うことからはじまっている。労働者階級の人間が這い上がる(金持ちになる)には、ギャングになるかエンターティナー(スポーツや音楽)になるかのどちらかで、音楽に関して生まれ持っての“天才”だったレイにしても、神と悪魔の狭間をゆく苦悩の旅をつづけたようだ。母親の厳しい教育がレイの根本にありながら、弟の死というトラウマから悪魔(麻薬)に身を売ることにもなるが、レイは悲劇(差別・離別・中毒など)も音楽への糧にするという意思の強さで乗り越えている。

 映画は、レイに扮するジェイミー・フォックスがとても素晴らしい。レイ本人を見ているような錯覚におちいるほど迫真の演技だ。
 そして、レイに関わる4人の女性たちの演技も見逃せない。特に母親役のシャロン・ウォレン。アトランタの美しい風景の中で、凛として輝く女性像を力強く見せてくれる。
 レイの音楽スタイルを確立する弱小レコード会社(アトランティック)の重役とのエピソードは、レイを取り巻く人々のなかでも一段と魅力的だ。スピリッツ感あふれるレコーディング風景は非常に生々しく、ステージでの演奏シーンよりもドキドキする。鍵盤の一音が鳴るたびに自然と身体がスウィングする、何度でも観たくなる映画だ。

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Comment

ひろっち says... "なかなか"
こんにちは、いかがお過ごしですか?
想像以上に話題が豊富なので、意外にも驚きつつある私でございます。
レイ・チャールズは結構好きな歌手なものですから、そういう生い立ちだったのかあと今さら知ったような感じで面白く読ませてもらったよー。
まぁでも、ブログも一生懸命でよろしいのですが、Y'sのほうの活動も忘れないでくだされ……(笑)。
2005.02.12 11:22 | URL | #5Vrd59AE [edit]

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