TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「女タクシードライバーの事件日誌 1」

本文は、閉鎖中の余貴美子非公式応援サイト「Y's Passion」に綴ってきた余貴美子出演作品レヴューを再録・加筆修正したものです。敬称略。

~殺意の交差点~
脚本:坂上かつえ
演出:猪崎宣昭
出演:余貴美子、根岸季衣、かとうかずこ、淡路恵子、中島ひろ子、北村総一郎、斉藤洋介、山田辰夫、佐藤二朗、酒井敏也、伊藤洋三郎、翁 華栄、村田雄浩、田中健

初回放映:2003年9月10日/TBS「月曜ミステリー劇場」


 タクシーの運転手になって4年になる衿子(余貴美子)。人員削減で退職に追込まれた男性(山田辰夫)や、離婚したばかりの女性を乗せ、様々な乗客の人生の一端を垣間見る生活である。
  衿子の同僚の甲田(酒井敏也)がタクシーを残したまま失踪し、同じく同僚の近藤(佐藤二朗)は、自分達のタクシーに甲田の写真を掲示し、乗客達から何等かの情報を得ようと課長の大城(北村総一郎)に提案する。というのも、甲田の妻の慶子(中島ひろ子)は妊娠したばかりで甲田が失踪する理由は無かったからだった。大城や弁護士志望の運転手らは難色を示すが、多くの運転手が賛同し、タクシーの車内に尋ね人として甲田の写真を掲示することになった。しかし、なかなか成果は上がらなかった。
  一方、池袋のホテルでペットショップに勤務する柳本(翁 華栄)が刺殺される事件が発生し、 北池袋署の田辺(伊藤洋三郎)が部下の刑事と共に捜査を開始していた。その事件と甲田の失踪が関連している疑いが浮上し、更に柳本と一緒にホテルにいた女性を衿子が乗せていた可能性が強まる。衿子は亡き夫(田中健)の後輩で新聞記者の宮本(村田雄浩)と共にその女性を探し始め、駅の売店で働く渡辺民子(根岸季衣)であることを突止める。
 だが、民子は柳本と一緒にいた女では無かった。そのことを慶子に伝えに行った衿子は、勤務先の保育園を辞めさせられることになるかも知れないと慶子から聞かされる。保育園の理事長夫人の日暮加奈子(かとうかずこ)は慶子に同情していたのだが、理事長の母である雅子(淡路恵子)は警察沙汰になった慶子が留まるのを許さなかったのだ。
 甲田の足取りを追ってDPE店の店員を訪ねた衿子は、柳本が現像を依頼していたままになっていた写真を発見する。写真に写っていた女は加奈子だった。たまたま街で知合った男と関係を持った後、複数の男と行きずりの関係を持つようになり、ある日、声を掛けてきた男を振った直後、柳本と知合っていた。そして、加奈子が供述した場所で、絞殺された甲田の死体が発見された………………。

    ◇

 ドラマのテ-マとして流れているのは、映画『昼顔』的心象風景。
 カトリーヌ・ドヌーヴ主演の名作を持ち出して、“倦怠”“欺瞞”“軽蔑”と退廃社会への警鐘で味付けしながら、社会の中で生きる女性の絶望感を描いている。

 ここ数年、少しコミカルな役が多くなった余貴美子の新しいキャラクター“春成衿子”は、ベージュの麻のジャケットとジーンズに、細めのサングラスと愛車の赤いミニクーパー。
 ハードボイルドな主人公にハマるクールな姿は、素敵にカッコ良い。

 メインになる事件より、衿子と民子のくだりが素晴らしい。民子の言葉ひとつひとつに対して無言で応える衿子の表情のやるせなさと、カーステレオから流れるちあきなおみの【ルージュ】が情感を盛り上げる。

 ♪口をきくのがうまくなりました  ルージュひくたびわかります
  つくり笑いがうまくなりました  ルージュひくたびわかります
  あの人追いかけてくり返すひと違い  いつか泣き慣れて………♪
                      (中島みゆき詩・曲)

 切なく、心に残るこの曲は、衿子の部屋のシーンでもう一度使われる。

 民子の話から事件の犯人が想像できてしまっても、なんら不満は残らない。ハードボイルド・ドラマ(小説・映画)に必要なのは複雑なストーリーではなく、ひとつの事件によって様々な人生が浮き彫りになる人間模様に魅力があるのだから、それぞれの登場人物の個性が鍵を握ることになる。
 根岸季衣演じる民子の存在感がヒロイン衿子以上にあることで、このドラマは高い水準を保てたといえるだろう。

 ラストになって初めて、春成衿子の笑顔が見られる。
 「明日? そんな先のことはわからないわ」
 このハードボイルド小説で有名なフレーズがクールにスタイリッシュに似合う余貴美子。キャスリーン・ターナーが演じたV.I ウォーシャースキーを想像したほど、カッコいい。

    ◇

★女タクシードライバーの事件日誌2/作られた目撃者★
★女タクシードライバーの事件日誌3/届かなかった手紙★
★女タクシードライバーの事件日誌4/殺意を運ぶ紙ヒコーキ★





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Comment

ちゃーすけ says... "サマータイムブルース"
これ、良いドラマでしたね。
それで、そうですね!
昔、NHKで、V.I ウォーシャースキーを日本に置き換えたドラマを放送していました。
その時は桃井かおりさんが「御手洗」という苗字を「みたらい!」としょっちゅう訂正していましたが、今なら余さんですね!
キャスリーン・ターナーが演じると知った時は、映画の公開が待ち遠しかったです。
2010.12.03 00:01 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: サマータイムブルース"
おおっ! ちゃーすけさん 

「サマータイムブルース」ときましたか!
キャシーの映画は面白かったですねぇ。

ところで、桃井かおりの「みたらい!」ってとこ、何となくうろ覚えがあるのですが、何のドラマだったのか全然思い出せません。
タイトルや共演者を教えてください。
そのドラマの原作、サラ・パレツキーだったのですか………。
2010.12.03 23:45 | URL | #- [edit]
ちゃーすけ says... "女にも7人の敵"
もしかして、これでしょうか。
「女にも7人の敵」。
http://www.youtube.com/watch?v=mqiDAlOkdBo

松坂慶子さんじゃないですかー!
桃井さんとかいって、本当に失礼。
何と言うひどい記憶違い。
こういうのが俳優さん怒らせるんですよね。

何でしょう、「女検事 霞夕子」と混同してたんでしょうか。
キャラクター全然、違いますよね。
すみません。
2010.12.05 00:02 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: 女にも7人の敵"
ちゃーすけさん

「女にも7人の敵」ですか…………
このドラマは見ていませんでした。

>松坂慶子さんじゃないですかー!
桃井さんとかいって、本当に失礼。
何と言うひどい記憶違い。

ぼくも、「うろ覚えある」なんて言っていい加減ですね(笑)。失礼しました。

しかし、松坂慶子さんのパンツスーツ姿はカッコいいですねぇ。
いまでは絶対に見られませんもん(爆)。

桃井かおりさんには「女がいちばん似合う職業」という、松田優作の代わりに演じたハードボイルド映画がありましたね。
2010.12.06 10:39 | URL | #- [edit]
ちゃーすけ says... ""
いえいえ、何となくあの「みたらい!」が印象に残るんですよね。
「あの、ウォススキーさん」
「ウォーシャースキー」
どうせまた、ウオッチスキーとかもっとひどい間違え方されるに違いない…という、あのあたりのくだりが蘇ってきて。

「女がいちばん似合う職業」!
もしかしてこれと記憶がごっちゃになっていたのかもしれません。
…いや、そんなはずないかな。
女だってハードボイルド!というイメージが共通していたのかもしれないです。
でも今なら、余さんしかいません!
2010.12.07 15:18 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: タイトルなし"
ちゃーすけさん

ハードボイルド的な女刑事ものって、ハマる女優が案外いるようでいないのですよ。
乃南アサさんの音道シリーズも、木村佳乃さんよりは天海さんの方がどれだけキマっていたことか。
先日放送された、竹内結子さんが主演した「ストロベリーナイト」は久々にカッコいい女刑事で、SPで続編を観たいと思ったものです。

余さんも警察ドラマではキャリアエリート扱いされてしまうので(笑)、やはりクールな女探偵がいいですよね!
以前、「橘京子」っていう元演歌歌手で今は探偵っていうドラマがシリーズ化されなかったのが惜しいです。石橋蓮司さんとのコンビが良かった!
2010.12.08 12:59 | URL | #- [edit]
ちゃーすけ says... ""
「凍える牙」で疾走する姿が天海さん、カッコよかったですよね。
そのせいか、木村さんには正直、違和感ありました。

余さんと石橋蓮司さんのコンビ、これはファンとしてはぜひ、復活してほしいです。
2時間サスペンスで余さん主演の消費者相談センターの調査員、「騙す女騙される女」ってありましたが、大好きでした。
2010.12.09 23:41 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: タイトルなし"
ちゃーすけさん 

> 余さんと石橋蓮司さんのコンビ、これはファンとしてはぜひ、復活してほしいです。

「橘京子の調査報告書」の記事をアップしときましたが、石橋さんとの共演が、ありそうでないのですよ。

> 2時間サスペンスで余さん主演の消費者相談センターの調査員、「騙す女騙される女」ってありましたが、大好きでした。

このシリーズの1~2作は竹下景子さんでした。2作目に生瀬勝久さんと夫婦役で出演した余さんが、3作目からレギュラーになったんですね。
このシリーズも全作、良いですね。
2010.12.11 00:32 | URL | #- [edit]
村石太レディ says... "ドラマ同好会(名前検討中 坂上かつえ 脚本家"
夜間中学(中村トオル出演) を再放送で見て。坂上かつえ という 脚本家を 知りました。
おもしろい 脚本家ですね。
2012.02.01 20:52 | URL | #v3SjL5OE [edit]
mickmac says... "Re: ドラマ同好会(名前検討中 坂上かつえ 脚本家"
>村石太レディさん

坂上かつえさんは2時間ドラマの女王とも言われ、その作品の多さと質の高さでサスペンスものに定評のあるベテランの脚本家です。
「え、この作品も……」と思いますよ。
2012.02.02 12:13 | URL | #- [edit]

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