TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「Long Good-bye」浅川マキ 



「Long Good-bye」

 2010年1月17日(日)、赤い橋を渡って逝ってしまった“孤高のシンガー”浅川マキ。彼女の追悼オフィシャル・ベストアルバムが発売された。

 初代プロデューサー寺本幸司氏を中心に気心知れたスタッフたちが集結し、浅川マキの遺志を最大限尊重した選曲とリマスタリングが施されている。70年代中心の選曲は初CD化音源10曲を含めた全32曲。2枚組で3,300円という安価だ。

 これまでマキの美学ともいえる数多くの作品は過去に一度CD化(東芝“音蔵シリーズ”)されたにも関わらず、彼女の徹底したクオリティへのこだわりからすぐに廃盤となり、過去の作品に触れる集約的アルバムとして発表された“DARKNESS” シリーズや『CD10枚組BOX自選作品集』は高額商品の部類のため、手軽に浅川マキの歌声を聴くことはできない状態であったため、この価格は浅川マキの意思を幅広い世代に聴き継いでいってもらいたい表れだろう。流行とは関係のないところで歌われる浅川マキの「歌」を、次の世代の耳にも届いてほしい。
 加えて、デビュー当時から彼女を撮り続けてきたカメラマン田村仁氏の未発表写真が満載のブックレット(32頁)も魅力的だ。

    ◇
 
DISC.1
01.夜が明けたら 「浅川マキの世界」より/1970
02.ちっちゃな時から 「MAKI LIVE」より/1972 ※初CD化
03.赤い橋 「MAKI LIVE」より /1972 ※初CD化
04.放し飼い 「こぼれる黄金の砂」より/1987
05.あなたなしで 「灯ともし頃」より/1976
06.ガソリン・アレイ 「MAKI LIVE」より/1972
07.それはスポットライトではない 「浅川マキ ライヴ 夜」より/1978 ※初CD化
08.かもめ 「浅川マキの世界」より/1970
09.裏窓 「裏窓」より/ 1973
10.淋しさには名前がない 「浅川マキの世界」より/1970
11.少年 「MAKI LIVE」より/1972 ※初CD化
12.にぎわい 「MAKI LIVE」より/1972
13.セント・ジェームス病院 「裏窓」より/1973
14.こころ隠して 「CAT NAP」より/1982
15.こんな風に過ぎて行くのなら 「こんな風に過ぎて行くのなら」より/1996
16.マイ・マン 「マイ・マン」より/1982

DISC.2
01.TOO MUCH MYSTERY 「寂しい日々」より/1978 ※初CD化
02.コントロール 「WHO’S KNOCKING ON MY DOOR」より/1983 ※初CD化
03.めくら花 「浅川マキ II」より/1971
04.ふしあわせという名の猫 「浅川マキの世界」より/1970
05.ナイロン・カバーリング 「寂しい日々」より/1978 ※初CD化
06.If I’m on the late side 「流れを渡る」より/1977 ※初CD化
07.大砂塵 「Blue Spirit Blues」より/1972 ※初CD化
08.Blue Spirit Blues 「Blue Spirit Blues」より/1972 ※初CD化
09.ちょっと長い関係のブルース 「マイ・マン」より/1982
10.POSSESSION OBSESSION 「アメリカの夜」より/1986
11.アメリカの夜 「アメリカの夜」より/1986
12.朝日樓(朝日のあたる家) 「MAKI LIVE」より/1972 ※初CD化
13.あの娘がくれたブルース 「Blue Spirit Blues」より/ 1972
14.暗い日曜日 「寂しい日々」より/1978 ※初CD化
15.ジンハウス・ブルース 「浅川マキ II」より/1971
16.INTERLUDE 「闇のなかに置き去りにして」より/1998

    ◇

 ディスク1は比較的知られた作品が並べられディスク2はよりジャジーに、深く冷たく暗い空間を漂う楽曲が納められている。

 彼女が遺してくれたブルーズはどれも後世に伝えていかれるべき独特の世界観を持っている。ピンスポットだけの暗闇の中で、逆光線に浮かんだ彼女の妖気と凄み。それは、今回初CD化された「Blue Spirit Blues」「朝日樓(朝日のあたる家)」「暗い日曜日」などで味わえる。
 絶望という名の暗闇に溺れる心地よさと快感。浅川マキならではのブルーズだ。

 萩原信義のアコースティック・ギターを間奏に、ほとんど無伴奏で歌われる「朝日樓(朝日のあたる家)」。
 収録は新宿花園神社での録音(『浅川マキ II』)ではなく、『MAKI LIVE』としてリリースされた1971年12月31日新宿紀伊国屋ホールでの大晦日公演の模様である。

 「暗い日曜日」は1978年、山下洋輔のピアノ伴奏でスタジオ・レコーディングされたもの。この曲は1992年の文芸坐ル・ピリエでのライヴをCD化したもので既に聴くことができたが、渋谷穀のピアノをバックに歌ったものと聴き比べてみるのも一興である。
 浅川マキの歌声は本当に素晴らしい。
「暗い日曜日」はシャンソン歌手ダミアが歌ったことでポピュラーになった歌だが、自殺を誘発する歌詞としても有名。日本では岩谷時子の訳詞でシャンソンとして歌われてきたが、浅川マキの“日本語詩”が一番原曲に近いと云われる。

 1972年に発表された「Blue Spirit Blues」は、ギター奏者萩原信義とのブルーズ・アルバムのタイトル曲でもあり、黒人霊歌を彼女独自の世界に惹き入れた名曲。このアルバムには他に、ビリー・ホリディの名歌「奇妙な果実」も収録されており、アルバムとして『裏窓』('73)とともに愛聴盤だ。

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