TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

俳優ショーケンが、映画を語る



 単行本ではなく新書版ということもあり、余程大きな書店でなければ平積みもされていないだろうから、この本の存在を知らない人には目につかないかもしれない。(かく言うぼくも、showken-funさんの情報で知った訳で………ありがとう)
 ショーケンファンでなくても、邦画やテレビを好きな人なら読んで損はない興味深い本なのでお勧めしよう。

 副題に[黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔]と付けられたように、ショーケンがこれまでに関わってきた日本映画の監督や俳優、そしてテレビで活躍したた頃の脚本家や俳優たちについて語っている(文芸評論家の絓 秀美とのインタビュー形式)ので、あらためて、役者でありクリエイターとしてのショーケンを感じることが出来る一冊である。

[第一章]黒澤明を経験するということ
[第二章]神代辰巳と共犯するということ
[第三章]1970年代の変わりゆく演技
[第四章]「映画監督」というこの異様なるもの
[第五章]「俳優」の誇りと無意識とさまざまな事情
[第六章]1960年代へ。さらには出自の源泉へ
 解説:百年の孤独を生きる、現代の「危険な才能」
    ~つかこうへい/神代辰巳/中上健次とショーケン
                  絓 秀美


    ◇

 ショーケンについて、倉本聰が披露した有名な逸話がある。
 
「かの才媛桃井かおり嬢が、「青春の蹉跌」という映画で、ショーケンこと萩原健一氏と初めて共演された時、その台本に「故郷に錦を飾る」というセリフがあった。かおり嬢、この錦という字が読めなくて、ショーケンに質問いたしました。ショーケン、いとも無造作に「ワタじゃねえか」と申しました。かおり嬢は中学から高校にかけて丁度英国留学しており、日本語に疎いのであります。
見かねた助監督にニシキと読むんだと教えられたかおり嬢、一寸ショーケンあんた何よ。ワタじゃないわよ。ニシキって読むのよ。この時ショーケン少しも騒がず、「ああ、ニシキワタって云うもんな」と泰然と答えたと申します。
字が読めないなどとゆめ云うなかれ、ここらが彼らの翔んでるところであります。」
 〈「新テレビ事情」(1980年刊行)より抜粋〉

 おバカタレント全盛の今とは違って、こんなエピソードが少し波紋になったりもした時代なのだが、この話のウラをブッちゃけるショーケン。

 轟夕起夫のインタビュー(『映画秘宝』)では口を濁していた市川崑監督とのことも、事細かに発言するショーケン。

 同時代の俳優として、いい役者だと意識した根津甚八の引退を残念がるショーケン。

 その根津甚八が演じた『さらば愛しき大地』のシャブ中の役が、最初はショーケンの予定だったなんて……。あの頃のショーケンでは、極限を越えてリアル過ぎて怖い。これは実現しなくて良かったかも。

 ショーケンのジュリー論は然もありなん話。

 これまで自伝『ショーケン』や雑誌『映画秘宝〈2010,MAY〉』で紹介した映画人たちとのエピソードに、さらに敬愛を込め、そして辛辣に、もっとディープに語っているから、面白い。

   ◇

日本映画[監督・俳優]論/萩原健一・絓 秀美
【ワニブックス[PLUS]新書】
定価 798円

★さらば愛しき大地★
★ショーケン★
★映画秘宝★


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