TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

リメイク「死刑台のエレベーター」*緒方明監督作品



監督:緒方明
原作:ノエル・カレフ
脚本:木田薫子
音楽:山本友樹
ギター演奏:渡辺香津美
出演:吉瀬美智子、阿部寛、北川景子、玉山鉄二、平泉成、りょう、笹野高史、熊谷真美、田中哲司、柄本明、津川雅彦

☆ 2010年/角川映画/111分

    ◇

 1957年に製作された名匠ルイ・マル監督のデビュー作を、世界で初めてリメイクした日本映画。舞台は現代の日本。ジャンヌ・モローとモーリス・ロネに代わるのは吉瀬美智子と阿部寛。
 オープニングの顔のアップとセリフ、最後のモノローグと女のアップまで、完璧にオリジナルのコピーを目指した作品だ。が、如何に……。

 コピーするにも、50年代のフランスを現代の日本に置き換えることで問題点はいくつもあり、携帯電話が普及した現代で連絡がとれないシチュエーションをどうするかに始まり、日本で銃器をどうやって手配するのかとか、エレベーターが止まるためにオフィスビル全体の電源を切らなくてはならない状況は何かとか……それらの辻褄合わせと、当時のフランス映画独特のスタイリッシュなムードを、リメイクとしてどんな風に料理するのか興味大ありで鑑賞した。
 
 横浜を舞台に、銃器や携帯電話は見事にクリアし、オフィスビルも古い建築物で解決したことになる。
 しかし残念ながら、それらを解決するために施した脚色に問題がある。
 何が酷いかって、説明台詞だらけになったことだ。余計な台詞も多すぎる。後半になるにつれて実にウザったく、いい加減にして欲しいと思った。
 ビルを全館停電にする理由から阿部寛の過去を語る友人のクダ、ラストに繋がるライカのカメラを現像するための写真師の台詞とか………。
 どうしてこうも喋りまくり、言い訳がましく説明しなくちゃならないのか。オリジナルで説明しきれない箇所を納得させないと気がすまないのだろうか。映画って、そんなにきちんと説明しきれなくてもいいと思う。まぁ、全てを説明しないことには納得しない観客が多いのは確かだが。

 オリジナルの良さは、寡黙で極力台詞を削ったところだ。女の焦燥感や、若者の無軌道ぶりに言葉はじゃま。これではオリジナルの芳醇な香りが台無し。
 オリジナルのクールな画面は、加えてマイルス・デイヴィスのインプロヴィゼーションの演奏とキャメラの三位一体が創りだした傑作なのだ。
 ストーリー自体は取るに足らない平凡な話であり、穴だらけの完全犯罪なのだから、結局オリジナルへの敬意と批評と云いながら、筋立てだけをコピーしたものでしかなく、ルイ・マル監督の若さと荒削りなところがスタイリッシュな映画だったものが、ただのちょっと格好いい2時間サスペンス・ドラマ程度になっちまっている。
 オリジナルで印象的だったシーンを真っ先にタイトルバックで見せてしまうことが、もはやTVドラマではないか。

 ラスト、女の顔のアップとモノローグがフェイドアウトされる最高の場面では、悪しき邦画劇伴のとどめの一発を喰らい、ただただ閉口するばかり。あの音楽の入れ方はないだろう。せめて、静かに無音で終えるくらいのセンスはないのか。

 オリジナルのカメラアングルやセリフにこだわるより、もっと大胆に脚色した方が潔かっただろう。

 北川景子の可愛らしさと、吉瀬美智子のクールビューティーな佇まい、そして、りょうの叫びに☆ひとつである。

 ちなみに、左側に座っていた同年代の男性客は中盤からときどき寝息をたて、右側のやはり同年代の夫婦はときどき不満そうにツッコミをいれ、そして途中退場者が1名いたというのが現実である。

★「死刑台のエレベーター」*ルイ・マル★


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Comment

ちゃーすけ says... "なるほど、です"
そうなんですよ、私も50年代のフランスをどうやって、現代の日本に置き換えているのかと興味津々でした。
オリジナルの方の犯罪だって、完璧じゃない。
でもそんなこと、突っ込む気になれない映画でしたから。

むむむ、でも、これからまた楽しみに見れます。
ありがとうございます。
2010.10.11 23:10 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: なるほど、です"
ちゃーすけさん

映画を観る前にココにお誘いしてしまい申し訳ありません。

オリジナルは、スリラーであってもそれだけの映画ではないですからね。
完璧コピーを目指すって、そこんとこを考えなくては………。
まぁ、でも、
ぼくの感じ方に惑わさせず観てくだされ(無理かな?……笑)。
今度は、ちゃーすけさんの感じ方を読ませてください。
2010.10.12 00:12 | URL | #- [edit]

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