TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

あまぐも



 このビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』を模したアルバム・ジャケットは、ちあきなおみです。

 ちあきなおみの長い芸歴の中で一番の異色作が、この『あまぐも』(1978年1月発売)。
 団塊の世代の彼女が、同世代のシンガーソングライターたちのメッセージソングに連帯感を持ったのかどうか、とにかく表現がロックやポップやフォークの範疇を超えた強烈な作品群になっている。

 1977年、シングル『ルージュ』がヒット。
 アルバム『ルージュ』は、書き下ろしを含んだ中島みゆきのカバー作品集の趣きだったが、これが、ちあきなおみが中島みゆきを唄う最初で最後と云うのが、実に残念。みゆきの情念の世界観は、ちあきなおみが一番表現できたように思うのだが。

 さて、有名なのが友川かずき作詞作曲の『夜へ急ぐ人』でしょうか。
 1977年のNHK紅白歌合戦での怪演は、「気味の悪い歌でした」と司会者に云わせたほど……。

 パフォーマンスは別にして、このアルバムのB面すべてがその友川かずきの曲ばかりで、凄い。編曲はミッキー吉野が担当し(全曲ではない)ブレイク前のゴダイゴが演奏をしており、70年代のロック&フォーク色の強い作品。そして唄われる物語がこれまた情念の世界ばかり。浅川マキを彷佛とさせる世界、いや、まったく別のちあきワールドになっています。70年代初めの寺山修司や唐十郎のアングラ芝居の匂いも感じる。

 自分にこどもを生ませた男に恨み言をいうのもあきらめ、泣きやまないこどもが愛おしいが、この子に名前がない そんな自分にあいさつするひとも、どうせ善人面だと醒めた眼で世間に呟く 普通じゃない、普通じゃない、普通じゃない………と唄う『普通じゃない』

 場末で生きる、盛りを過ぎた女のひとりごちは『視角い故里』
 “今夜わたし ゆるいな わたし”の投げやりさが、いいです。

 この頃に歌われていた『朝日のあたる家』のライヴ録音が、2002年に発見されCD化された。
 オリジナルはアニマルズですが、日本語訳で唄い有名なのが浅川マキ。女郎宿の世界が見事に唄われていたこの浅川マキヴァージョンを、ちあきなおみが熱唱をしている。翌年に郷えい治氏(宍戸錠の実弟)と結婚をし芸能活動を休業したが、この当時、ちあきさん普通じゃない(笑)。

 でも、ぼくの好きな世界だったのが、この頃のちあきなおみでした。

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