TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「さらば友よ」*ジャン・エルマン

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ADIEU L'AMI
監督:ジャン・エルマン
脚本:セバスチャン・ジャプリゾ、ジャン・エルマン
撮影:ジャン・ジャック・タルベス
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
出演:アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、オルガ・ジョルジュ=ピコ、ブリジット・フォッセイ、ベルナール・フレッソン、マリアナ・ファルク

☆☆☆☆★ 1968年/フランス/115分

    ◇

 これまでに何度も観ている大好きなクライム・サスペンスで、日本初公開は1972年だった。
 フランス映画伝統のフィルム・ノワールの粋さと、アメリカン・ハードボイルド・タッチを見事に融合させ、男同士の友情と絆が描かれた名作である。

 アルジェリア戦争から帰還した軍医ディノ・バラン(アラン・ドロン)と、外人部隊を歩き渡り戦争を商売にしてきたアメイカ人の軍曹フランツ・プロップ(ブロンソン)が、ひょんな事から女に頼まれ広告会社の地下金庫に横領した証券を戻す仕事を引き受ける。もともとは関係のないプロップは、金の匂いを嗅ぎつけバランにまとわりついていた。
 金庫の中身が2億フランの現金だと知り、いがみ合い反発し合うふたりだったが、苦心の末に開いた金庫はからっぽで、まして、ふたりは金庫室に閉じ込められてしまう。
 夜を徹して金庫室から脱出したふたりだが、目の前には警備員一人の死体が転がっていた。
 絶体絶命のピンチに陥ったふたり。これは、話をもちかけた女の罠だったのか!?

    ◇

 脚本は、推理小説家セバスチャン・ジャプリゾと監督ジャン・エルマン。二転三転するドラマは、役名とアダ名がキーワードになっていたりと、まさしく一級の推理サスペンスに組み立てられている。

 金庫室に閉じ込められ、罵り合い、殴り合うなかで生まれた奇妙な友情のふたり。対照的な男ふたりの配役は絶妙で、企画したアラン・ドロンがチャールズ・ブロンソンを共演者に選んだのだが、後半、ドロンは完全にブロンソンに喰われてしまう。

 殺し以外の悪事は何でもやる、ならず者のチャールズ・ブロンソン。
 ニタニタと薄ら笑いをし、ドロンにつきまとい、悪知恵にたけ、腕っぷしにかけても人一倍の無骨な男。
 『荒野の七人』('60)や『大脱走』('63)『特攻大作戦』('67)など、バイプレイヤーとして地味ではあるが個性を発揮してきた男くさいブロンソンの魅力が満載で、この作品によって一躍国際的大スターの仲間入りとなり、70年代は一大ブロンソン・ブ-ムであった。

 「イェ~ッ」が口癖のブロンソンにはいろいろ見せ場がある。当時この映画を観たひと、誰もが真似をしたであろうゲーム(中身があふれるほど入ったコップに5枚のコインを入れる賭け)とか、「敵と友を見分けるのは難しい。根っこは同じようなものだ」などと格好いい台詞を吐くのだ。
 朝方ビルから逃げ出すところで、ヒゲを剃りながら悠然とエレベーターを待つ姿も最高だ!

 ドロンに金庫破りの話を持ちかけるオルガ・ジョルジュ=ピコや、会社の医務室でアルバイトをする女子大生のブリジット・フォッセイ、ブロンソンが好色紳士たちから金を巻き上げるときの相棒になる娼婦マリアナ・ファルク、ほかにもブロンソンの愛人の看護婦など、男ふたりに絡む幾人かの女たちも魅力的だ。

 ふたりを追いつめるパリ警察のメルーチ警部を演じるベルナール・フレッソンも味わい深い。刑事という職業に徹しながら、ふたりの友情に羨望の眼差しを覗かせる人間味あるキャラクターになっている。

 しかし何はともあれ、アラン・ドロンの一番格好よかった時期の映画。
 女に対する色気をふんだんに漂わせ、曰くのある過去を引きずる陰を持ったインテリぶりと、引き受けた仕事は最後までやり遂げる律儀さが、クールで惚れ惚れするアラン・ドロンである。
 ウサン臭い女の話を受けるワケも、男の“約束”という説得力がある行動。

 そう、この映画の根幹は“約束”なのだ。
 自分の命より大事な“約束”なのだ。


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 「アデュー、ラミ」

 ビルから脱出した朝、ドロンとブロンソンがカフェで交わす最後の会話。
 「もう二度と会わない赤の他人。お前は俺を知らない。約束をしろ」とドロン。
 ブロンソンは「イヤだね。オレの勝手さ」とは云いながら、ドロンの眼光鋭い眼差しにうなずき「さらば、友よ」と乾杯する。

 タバコの火を挟んでお互いの心が一瞬かよい合うラストシーンも、この乾杯があるからこそ伝説の名シーンとなる。

 そして「イェェェェ~ッ!」 最高の雄叫びを!


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Comment

ちゃーすけ says... "かっこいい映画でした"
ダンディとはこういうことか、と最初に見た時に思いました。
輝くばかりの美形のドロンに対して、美しい男という形容詞ではないブロンソン。
しかし、そのブロンソンには美しいではなく、粋!という形容詞があてはまるようでした。

この時期のアラン・ドロンは、フランス映画の神のようでしたね。
そしてブロンソンも!
2010.08.27 23:01 | URL | #a2H6GHBU [edit]
mickmac says... "Re: かっこいい映画でした"
ちゃーすけさん

>ダンディとはこういうことか、と最初に見た時に思いました。

この作品に限らずカッコいいのはフレンチ・ノワールで、「ダンディ」というものを教わったのがフランス映画でしたよね。

>この時期のアラン・ドロンは、フランス映画の神のようでしたね。

後追いで「冒険者たち」「太陽がいっぱい」「山猫」「地下室のメロディ」「太陽はひとりぼっち」を観たのですが、「あの胸にもういちど」からはリアルタイムで見始めましたね。
「サムライ」「ボルサリーノ」「仁義」「レッド・サン」「帰らざる夜明け」「リスボン特急」「ビッグガン「個人生活」「ル・ジタン」「友よ静かに死ね」「チェイサー」「ゾロ」「スコルピオ」「暗黒街のふたり」「高校教師」………………
こうして云えるだけでも、70年代まではほとんど観ていますよ。

ブロンソンはこのあと「雨の訪問者」という素敵なサスペンスがありました。
2010.08.28 00:26 | URL | #kuX..F9k [edit]
蟷螂の斧 says... "逃げるブロンソン"
すると警部の強烈なパンチ!
ヘナヘナと倒れるブロンソン。
あの場面。今でも覚えています。
中一の時にテレビで見ました。
他には若い女性が全裸になってお人形さんの真似をさせられる。
中学生にとっては強烈でしたね(苦笑)。

mickmacさん。
今年はいろいろありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。
2012.12.31 10:42 | URL | #8E6Z4hqk [edit]
mickmac says... "Re: 逃げるブロンソン"
それまで脇役で光っていたブロンソン。
ヒーローは色男だけではないことを見せつけた苦労人でした。

蟷螂の斧さん
いつも見ていただいてありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
2012.12.31 18:11 | URL | #- [edit]

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