TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「雨のしのび逢い」ピーター・ブルック

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Moderato Cantabile
監督:ピーター・ブルック
原作:マルグリット・デュラス
脚本:マルグリット・デュラス、ジェラール・ジャルロ
撮影:アルマン・ティラール
音楽:アントン・ディアベリ
出演:ジャンヌ・モロー、ジャン・ポール・ベルモンド、ディディエ・オートパン

☆☆☆ 1960年/フランス/105分/B&W

    ◇

 単調な生活の流れのなかに生じた心の亀裂と、愛と孤独の哀しみを描いたメロドラマで、憑かれたように彷徨う女の本質を体現したジャンヌ・モローはカンヌ映画祭女優賞を受賞している。

  ボルドーに近いプレの町。製鉄所の社長夫人アンヌ(ジャンヌ・モロー)は、一人息子のピアノレッスンのために教師のアパートへ通っている。息子の教育だけを生き甲斐に、無理矢理に息子に練習をさせている日々だ。今日弾いているのは、ディアベリのソナチネ。

 突然、階下から女の引き裂くような悲鳴が聞こえてきた。一階のカフェ(ビリヤード台もあるバーでもある)で、男が若い女性を殺したのだ。アンヌは、男が横たわる女を愛おしく愛撫しているところを、野次馬に混じり目撃しショックを受ける。狂おしいほど激しい恋の末路の現場が脳裏から離れない。

 大きな製鉄所を経営する夫と結婚して8年のアンヌ。この事件で、ソナチネの曲想のように単調な生活を送っていたアンヌの心に、何かがはじまろうとしていた。

 殺人のあった場所のカフェに惹かれるアンヌは、そこで若い工員のショーヴァン(ジャン・ポール・ベルモンド)に出会う。
 アンヌが彼に問いかけることは「相手を殺すほどの恋愛とは何か」。
 毎日、毎日、カフェで、森で、岸辺で、アンヌはショーヴァンに逢い、殺人の経緯を聞く。

 「なぜ、彼は彼女を殺したの?」「女が望んだのかもな」

 ショーヴァンは、殺人事件を空想の話としても語りながら、いつしか自分たちのことを語り始めていた。
 そして、アンヌはショーヴァンの愛をなくしては生きられないことを悟る。

 しかし、ブルジョアの妻と若い工員ではあまりに階級の差が違い過ぎ、恋の終わりがくる。

 「今日で7日目だ」「夜が7回ね」「愛し合えない、そんな関係もある」

 その日、街を出ると決めたショーヴァンが告げた。
 「あなたが死んでくれればいい」
 アンヌは「私はもう死んでいる」と、殺された女に似た大きな悲鳴を上げ、号泣する。

 そして、生ける屍となったアンヌは、元の単調な生活に戻っていくのだった。

    ◇

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 家にあったサントラ盤はよく耳にしていたのだが、映画を観るのは今回が初めてだった。
 映画の全編に流れる穏やかなソナチネ。
 ジャンヌ・モローの虚ろな顔と、ときどきインサートされる森や庭、岸辺の風景カットが印象的だ。

 映画の原題となる「モデラ-ト・カンタービレ」“穏やかに、歌うように”とはまったく異質な音響として、“女の絶叫”がオープニングとエンディングに響き渡る。この演出効果も光っている。

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