TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

石井隆:名美と村木のいる風景

 石井隆監督の新作『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』が発表されて、想像以上の反響を呼んでいるらしい。このブログへのアクセスが急激に増えたのには驚いたものだ。

 しかし、石井ファンはなぜに“名美と村木の物語”にこだわるのだろうか。
 
 以前、石井隆ファンで親交のあるT氏が、劇画における“名美と村木の物語”を探ってみたところ、180篇近い石井劇画の中で“名美と村木の物語”と云える作品(二人が物語に揃い踏みしたもの)は11作品(“川島哲郎”を含めるとプラス1作品)だったことが判った。
 これは、決して石井劇画において“名美と村木の物語”が絶対的なものではないと云うことに他ならない。T氏は石井ワールドの多層性の面白さだと云う。

 石井氏を劇画家として見続けてきたファンは、“名美と村木の物語”というより、“名美物語”を追いかけていたつもりで “村木”は常に傍観者として存在していた。
 そのひとつひとつの作品においての“名美”と“村木”の関係があまりに純粋で、切なく、潔く、哀しく、妖しく、そして、どれだけ美しいものかは周知の事柄であり、その濃厚さがいつまでもあとを引くがために、1979年の映画『天使のはらわた 赤い教室』の頃から“名美と村木の物語”と惹句が用いられたのではないだろうか。

 映画においての“名美と村木の物語”を列記してみると………

天使のはらわた 赤い教室
天使のはらわた 名美
天使のはらわた 赤い淫画
『少女木馬責め』
『ルージュ』
ラブホテル
『天使のはらわた 赤い眩暈』
『ヌードの夜』
『夜がまた来る』
天使のはらわた 赤い閃光


 “名美”あるいは“村木”のどちらかが不在の場合を除いてこの10作品が“名美と村木の物語”で、“哲郎”名の『女高生 天使にはらわた』と、名美と村木が夫婦として登場した『月下の蘭』と『ちぎれた愛の殺人』を入れれば13作品となる。劇画時代の数と比べてみても、スクリーンのなかで“村木”が“名美”を探し彷徨う場が出来上がってしまった以上、劇画をリアルタイムで読んでいない石井映画のファン共々、“名美と村木の物語”が石井ワールドの核としてとらえられても不思議ではないのかもしれない。

 前回の『人が人を愛することのどうしようもなさ』が石井ワールドの集大成的作品だったにも関わらず、“村木”というキャラクターを登場させなかった石井監督は、今回、『ヌードの夜』の〈続編〉という形で、姿形ある“名美”は登場させない(であろう)“村木の物語”をどう紡いでくれたのだろうか、興味は尽きない。

 さて、久しく過去の石井作品を見ていなかったので、10月の新作公開まで、あらためてドップリと石井ワールドに浸ることにするかな。

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