TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「最も遠い銀河」白川 道



 2009年夏に上下巻の単行本で上梓された白川道の書き下ろしは、原稿用紙2500枚、文庫本にして4巻に分けられた。
 サクセスストーリーに友情と復讐劇、そして、メロドラマで味付けられたエンターテインメントな大長編だ。泣けるよ。
 
 北海道の小樽の海から若い女性の死体が上がった。その死体の首にはテッポウユリを象った銀のペンダントが残されていたが、身元不明のまま7年が過ぎ事件は迷宮と化していた。定年退職した元刑事の渡は、自分の娘の死と重ね合わせながら密かに事件を追っていた。
 新進気鋭の建築家・桐生晴之は、小樽の貧しい家庭に生まれ、同じ境遇に育った美里とともに上京していた。
 大学時代の親友が高名な賞を受賞した。裕福な家庭に生まれ育ったライバルに反して、名を売るほどの大きな仕事ができていない現実に焦る桐生。最愛の女性との約束、そして、その彼女を死に追いやった男への復讐心。激情を胸に秘め、成功を目指す桐生だった……。

    ◇

 気恥ずかしいくらいの浪漫と叙情。
 ひたすらロマンを描きつづける白川道の世界は、常に宿命と運命に翻弄される人間たちの物語で、そこで展開する命ぎりぎりの人生ゲームは、ある意味、実世界において波乱万丈な作家だからこそのリアリティとロマンティシズムなのだろう。

 登場人物の多いなかで、それぞれの人物描写がしっかり魅力的に描かれているので、サクサク読んでいるわりに読み応えを充分に感じることができる。

 成功への階段を上る若き建築家の過去。貧しかった時代に苦楽を共にした愛する女性の非業の死。そして、その死にまつわる闇。裕福な家庭に生まれ育ったライバルと、大富豪の孫娘。
 成功のために利用した人妻と、その夫である建築界の重鎮との確執。
 《世のなかは、昇る太陽によって輝くのです。沈む太陽によってではありません》

 不良時代の友との友情と、在日三世の女性との運命を分け合う再会。
 《光が生まれる朝は誰にも平等だ。だけど光が昇るにつれて世の中は不平等になってゆく。この世のなかはそのくり返しなのだ……》

 偶然が度重なるストーリ展開とラストのロマンティシズムが、想像通りに運ぶからって文句を言うなかれ。このメロドラマ性こそがエンタテイメントな世界。いわゆる大衆恋愛小説ハーレクインの男性版として、ここに白川道作品の面白さがある。
 好きな作品だなぁ。
 
   ◇

最も遠い銀河/白川 道
【幻冬舎文庫】
1・2・4:定価 760円(税込)
3:定価 630円(税込)

スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://teaforone.blog4.fc2.com/tb.php/644-7d413c8a