TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「トプカピ」*ジュールズ・ダッシン

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TOPKAPI
監督:ジュールズ・ダッシン
原作:エリック・アンブラー
脚本:モンヤ・ダニシェウスキー
撮影:アンリ・アルカン
音楽:マノス・ハジダキス
出演:メリナ・メルクーリ、マクシミリアン・シェル、ピーター・ユスティノフ、ロバート・モーリー、エイキム・タミロフ、ギルス・セガール、ジェス・ハーン

☆☆☆★  1964年/アメリカ/120分

    ◇

 1960年代、世界中でスパイ映画とお洒落な犯罪映画が流行し、この作品のあとでは同じような女泥棒と相棒のコンビが大活躍の『唇からナイフ』('66)や、泥棒映画の金字塔『黄金の七人』('65)など数々の傑作が生み出されている。
 本作も軽妙洒脱な泥棒映画の傑作として記憶に残る作品である。この映画でバックギャモンというゲームを知り、トルコ軍楽を初めて耳にした。

 天才的女盗賊エリザベス(メリナ・メルクーリ)は、次ぎなる獲物としてイスタンブールのトプカピ宮殿博物館に展示されている“世界一のエメラルド4つ”が嵌め込まれた宝剣を狙っていた。パリにいる愛人ウォルター(マクシミリアン・シェル)に連絡し、早速仲間を集めることにする。今回は、発明狂の英国貴族ページ(ロバート・モーリー)、聾唖の軽業師ジュリオ(ギルス・セガール)、怪力のフィッシャー(ジェス・ハーン)ら犯罪歴のない専門分野にたけた素人たちを選んだ。そこにもう一人、ギリシャでインチキ観光ガイドをしている英国人シンプソン(ピーター・ユスティノフ)が加わることになり、いよいよ6人はイスタンブールに乗り込むのだが…………。

    ◇

 映画は、幻想的な色使いでエリザベスが観客に語りかけるかたちで始まり、エリザベスらの行動が描かれていくが、シンプソンが登場してからは彼の行動と視点でストーリーがコミカルさを増し進行。そしてクライマックスは、スリリングなサスペンスに仕上がっている。

 厳重に保管された宝剣を盗み出す奇想天外な方法は、三十数年後にブライアン・デ・パルマの『ミッション・インポッシブル』において引用されたあの有名なアイデアである。『ミッション・インポッシブル』の原型となるTV『スパイ大作戦』('66年~)の当初の脚本が犯罪集団を想定していたというのだから、各分野のエキスパートを集めて任務遂行する型が、本作から始まったといってもあながち間違いではないのかもしれない。

 イスタンブ-ルの夕闇の美しさからクライマックスに至る演出は、灯台のサーチライトを使ったスリリングなシーン(『大脱走』('63)の興奮が甦える)や、無音状態(現実音)とクローズアップ多用で生まれる緊迫感が最高潮となる。

 このスリリングなシーンで観客に緊張と緩和を与えるのが、マヌケで高所恐怖症の男を絶妙に演じるピーター・ユスティノフ。コメディをなんなくこなす英国人俳優の彼は、このユーモアあふれるキャラクターで2度目のアカデミー助演男優賞を受賞している。後年はエルキュール・ポアロが当り役となった。

 「銃は強力な武器にはなるが、それに勝てるのは頭脳だ。銃を使うより芸樹的だ。」
 オシャレな泥棒映画の鉄則は美学を持った色男がいること。ウォルターを演じるマクシミリアン・シェルはオーストリアの俳優で、彼もまた『ニュールンベルグ裁判』('61)でアカデミー主演男優賞に輝いている名優である。

 そして、なんと言ってもメリナ・メルクーリ。『唇からナイフ』のモニカヴィッティや『黄金の七人』のロッサナ・ポデスタのようなセクシー・シーンはないけれど、40代半ばの美しさと、ハスキーな声と大きく鋭い瞳で見つめられれば、誰もが「あなたの指示に従います」と服従の徒となる貫禄がある。
 監督のジュールズ・ダッシンの夫人であり、『日曜はダメよ!』('60)では陽気な娼婦を演じてカンヌ国際映画賞女優賞を得たギリシャ出身の国際派女優。後に、祖父と父親につづいてギリシャの政治家となり、文化大臣にまでなったのは有名。

 さて、この手の映画の定石通りに意外な結末を迎えたあと…………

 「名案があるの」
 「オー、ノー!やめてくれ!」
 「クレムリンにあるロマノフ王朝の宝石よ」
 Here They Go Again…………

 舞台のカーテンコールの如く、6人が集まる終り方もまたお洒落なのだ。


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