TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「キッスで殺せ[完全版]」*ロバート・アルドリッチ



KISS ME DEADLY
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ミッキー・スピレーン
脚本:A・I・ベゼリデス
撮影:アーネスト・ラズロ
音楽:フランク・デヴォール
挿入歌:マディ・コムフォート、ナット・キング・コール
出演:ラルフ・ミーカー、アルバート・デッカー、ポール・スチュアート、クロリス・リーチマン、マキシン・クーパー、ギャビー・ロジャース

☆☆☆  1955年/アメリカ/107分/B&W

    ◇

 セックス&ヴァイオレンスを扇情的に描写した《通俗的ハードボイルド》の旗手ミッキー・スピレーンの“探偵マイク・ハマー”シリーズが原作で、ロバート・アルドリッチ監督のB級カルト映画として名を残している。

 深夜のハイウェイをドライブしていた私立探偵のマイク・ハマー(ラルフ・ミーカー)は、クリスティーナ(クロリス・リーチマン)と名乗る謎の女性をピックアップする。直後、3人の男たちに襲われクリスティーナは殺され、ハマーも重傷を負ってしまう。
 背後に複雑な事件が潜んでいるのを感じたハマーは、クリスティーナが最後に言い残した「私を忘れないで」の謎を解きながら、《パンドラの箱》をめぐる巨大な陰謀に巻き込まれていく………。

    ◇

 原作(「燃える接吻」)からタイトルだけを受け継ぎ新たなストーリーに作り上げられた本作は、いわゆるパルプ・マガジンの謎と暴力描写の体裁は整っているが、代わりにハードボイルドに必要な女たちに難点がある。
 ハマーの秘書であり恋人のヴェルダ(マキシン・クーパー)をはじめ、ハマーを取り巻く女たちはいっぱいいるのに、肝心のヴェルダからして美人でないのが痛いし、要となる悪女のギャビー・ロジャースに全然魅力がない。

 でも、何かしらこの作品に惹かれる…………。
 それは、核心となる《パンドラの箱》の正体がプルトニウムだという実にもって不気味なオチもそうだが、全編に流れる不可解さではないだろうか。ストーリーとして難解で、説明が足りない箇所も多々あるのだが、映像的カットに見るべきものが多い。

 裸足で逃げて来るクロリス・リーチマンの足もとのアップから始まるオープニングは、ノワール映画の雰囲気が満点。そして、タイトルロールが画面の上から流れてくるという斬新さで一気に惹き込まれる。
 ギャビー・ロジャース登場シーンのカメラ位置も面白いし、謎の男(アルバート・デッカー)を終始足もとの靴だけカメラが追っていくのにも引きつけられる。
 そして、[完全版]において数カットが追加された異様なラストの鮮烈さ。
 これぞB級カルトの味わいなのだ。

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