TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「自殺への契約書」

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MARIE OCTOBRE
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ジャック・ロベール
脚色:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャック・ロベール
撮影:ロベール・ルフェヴル
出演:ダニエル・ダリュー、ベルナール・ブリエ、セルジュ・レジアニ、ポール・フランクール、リノ・ヴァンチュラ、ロベール・ダルバン、ポール・ムーリッス、ポール・ゲール、ダニエル・イベルネル、ノエル・ロクベール、ジャンヌ・フュジュ・ジル

☆☆☆★  1959年/フランス/99分/B&W

    ◇

 名匠ジュリアン・デュヴィヴィエの後期の傑作ミステリー。

 水に流す気? 彼は殺されたの。
 このままうやむやにしたら、お互いにもう友ではなく、容疑者よ。


 第二次世界大戦中にレジスタンス運動の闘士として戦った仲間10人が、終戦15年目にかつてのアジトに集められた。15年前のその日は、屋敷がゲシュタポに乗り込まれグループのリーダーだったカスティーユが射殺された日だった。
 ただ一人の女闘士マリー(ダニエル・ダリュー)が意外な事実を告白する。カスティーユの死は、実は仲間の裏切りによるものだったこと。そして、いまこそ、その裏切り者が罰せられないといけないと告げる。
 集まった10名のあいだで、裏切り者の究明が始まる………。

    ◇

 フランスの推理作家ジャック・ロベールの原作を、作者自身とデュヴィヴィエ監督が脚色した室内劇で、登場人物は集まった10人と屋敷に働く老家政婦の11人だけ。

 そのキャスティングが多彩。
 ロベール・アンリコ監督の大傑作『冒険者たち』('67)で強烈な印象を残したセルジュ・レジアニが、マリーを慕うルジェを演じる。気が弱く卑屈な感じが実に巧い。
 大好きなリノ・ヴァンチュラは、いかにも彼にお似合いな荒っぽい男を好演。
 そして、紅一点ダニエル・ダリューのクール・ビューティーな佇まい。彼女の作品は晩年に出演したフランソワ・オゾン監督の『8人の女たち』('02)しか見たことがないのだが、真相を暴くまで終始一貫した冷たさと非情さを見せる“無表情の美しさ”が素晴らしい。
 この他にも名優ベルナール・ブリエや、『悪魔のような女』('55)が印象的だったポール・ムーリッスなど、個性豊かな面々が顔を揃えている。

 ひとりひとりの嘘や思い違いが交差し次々と秘密が暴かれ、主人のマリーや老家政婦までが容疑者となる展開。その大広間だけで繰り広げられる緊迫シーンは、シドニー・ルメット監督の『十二人の怒れる男』に似たディスカッション・ドラマとして圧巻である。
 初見は60年代後半に見たテレビ放映で、とにかく容疑者が二転三転するストーリーに釘付けになった覚えがある。

 しかしこんなに面白いのに、デュヴィヴィエの作品としては戦前の名画の数々(映画史に残る『望郷』『我等の仲間』『地の果てを行く』等々)に比べて案外評価されていないようだ。DVD化もされない、忘れ去られた不遇の傑作と云える。


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Comment

シリウス says... "No title"
久しぶりです。

ジュリアン・デュヴィヴイエ
懐かしい名前が出ましたね。
ある年代から上の日本の知識層にものすごく人気があった監督だったようですね。
彼の後期の作品である「自殺への契約書」は観ていない。

「地の果てを行く」1935年 ジャン・ギャバン
「望郷」1937年 ジャン・ギャバン
「舞踏会の手帖」1937年 マリー・ベル
はリバイバルで観ている。

デュヴィヴィエの全盛期は、「商船テナシチー」から「舞踏会の手帖」までの四年間の作品だといわれている。
彼の傑作を支えている最大の存在は、彼が見いだした俳優ジャン・ギャバンであるといわれている。
2010.01.15 21:14 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: No title"
シリウスさん
お久しぶりです。

戦前の日本で、一番好まれる外国映画の監督となるのがデュヴィヴィエですよね。
叙情性が日本人と相性が合っていたのでしょうね。
ぼくの父親も何かにつけてはデュヴィヴィエ作品を見たり、話したりしていました。
その父親には、中学生の頃からなかば強制的にフランス映画を見せられ、シャンソンを聴かされていました(笑)。

ジャンギャバンは、リアルタイムで見はじめたのは『地下室のメロディ』あたりからですが、戦前の作品ではやっぱり『望郷〈ペペ・ル・モコ〉』がいいですね。
2010.01.16 16:29 | URL | #- [edit]

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