TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

BSまるごと大全集 ちあきなおみ

 最近、またぞろ復帰話が出てきた山口百恵。しかし、百恵はファンの前でステージにマイクを置いたのだ。彼女の美学として、絶対にそれを裏切ることはないだろう。ファンも百恵の美学を望んでいる。
 そしてもうひとり、いつまでも復帰話が取り沙汰されるのがちあきなおみだ。
 ただし、彼女の場合は複雑だ。
 今回の秘蔵の映像から、“うた”のひとつ一つを演じ、“うた”に同化するちあきなおみの姿を見ると、最愛の亡き伴侶とともに“うた”を封印した彼女に、もう一度マイクの前に立って欲しいとは云えない。

 地球の夜更けは淋しいよ……そこからわたしが見えますか
 この世に私を置いていった あなたを怨んで呑んでます

 『喝采』でも、『劇場』でも、『冬隣』でも、彼女の“うた”は彼女自身だ。

 紅い花 
 想いをこめてささげた恋唄
 あの日あの頃は今どこに
 いつか消えた夢ひとつ
 
 こうしてしみじみと、膨大に残っている“うた”の数々から、あの頃のちあきなおみに浸る………それ以上を望まない。そんな気にさせてくれた一夜だった。

 さて、今回の生放送『BSまるごと大全集/ちあきなおみ』では27曲の映像に触れることができた。『歌伝説 ちあきなおみの世界』で放送された映像と同じものは、「紅い花」「四つのお願い」「星影の小径」「喝采」「紅とんぼ」の5曲で、それ以外は、あらたに発掘されたアーカイヴ映像や視聴者から提供された映像が多く含まれており、NHKの底力を見せつけられた。

   ☆   ☆   ☆

01 紅い花 愉快にオンステージ'92
02 黄昏のビギン ちあきなおみコンサート'92
03 夜間飛行 歌のゴールデンステージ'73
04 かなしみ模様 ビッグショー'77
05 かもめの街 歌謡パレード'88
06 雨に濡れた慕情 ビッグショー'77
07 四つのお願い ふるさとの歌まつり'70
08 私という女 第22回NHK紅白歌合戦'71
09 港が見える丘 歌謡パレード'88
10 上海帰りのリル 歌謡パレード'88
11 すみだ川 第6回思い出のメロディ'74
12 柿の木坂の家 歌謡パレード'88
13 さだめ川 第26回NHK紅白歌合戦'75
14 酒場川 第27回NHK紅白歌合戦'76
15 矢切りの渡し ちあきなおみコンサート'92
16 それぞれのテーブル '85コンサート
17 ラ・ボエーム ちあきなおみコンサート'92
18 霧笛 TBS TV『地球浪漫』'86
19 秘恋 '85コンサート
20 星影の小径 歌謡パレード'88
21 冬隣 加山雄三ショー'88
22 うかれ屋 ビッグショー'77
23 夜へ急ぐ人 ビッグショー'77
24 朝日のあたる家 ちあきなおみコンサート'92
25 劇場 ビッグショー'77
26 喝采 第23回NHK紅白歌合戦'72
27 紅とんぼ 第39回NHK紅白歌合戦'88

   ☆   ☆   ☆

 番組のセットリストは、オリジナル・ヒット曲が8曲つづき、昭和の名曲カバー、ちあき演歌、シャンソン、ファド、そしてポップス的許容範囲にひろがった新しいちあきの歌声をはさみ、ドラマチック歌謡に帰結した構成。

 昭和の名曲でリクエストした「夜霧のブルース」は取り上げられなかったが、「上海帰りのリル」やジャジーな「港の見える丘」を聴くことができたし、「私という女」は滅多に見聞きしない隠れたヒット曲。
 大好きな「秘恋」も、しっとりといい感じで聴かせてくれた。
 「冬隣」は、以前『たけしの誰でもピカソ』で流されたものと違い、生バンドをバックに、静かに、そして震えて歌う姿は絶品。
 中島みゆき作詞作曲の「うかれ屋」も珍しい映像。ワンコーラスだったのが惜しいが、つづく「夜へ急ぐ人」は、これまた必見映像だった。間奏部にモノローグがあるシングル・ヴァージョンの完全版で、ぶつぶつと聞き取りにくいところが異様な狂気を含み、最高のパフォーマンスとなっていた。
 「朝日のあたる家」にも、聴き手は震える。
 はじめのワンコーラスは若い蓮っ葉な娘の声で力強く叫び、静かに主題へと演じたあと、最後のワンコーラスも同じように力強く叫ぶのだが、明らかに最初の声質とは変えて歌う。堕ちた女のあきらめや覚悟を声に乗せ叫ぶ。ちあきなおみの本領発揮である。

 今回見逃した方々、12月31日に再放送の予定があるので是非とも、この稀代の歌姫ちあきなおみの歌声に浸ってくだされ。

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Comment

路傍の石 says... "No title"
期待にたがわぬ素晴らしい特番でしたね。スタジオは司会者とアシスタントだけのシンプルな進行で余計な雑音も入らずに、そのおかげでちあきなおみの世界にどっぷりと浸ることができました。そんな配慮もまたNHKならではだと感じました(芸能プロダクションとのしがらみで番組が作られる民放ではまず無理でしょう)。

それにしても80年代の休業から復帰後のちあきさんはどれも素晴らしく、当時女優業も盛んにこなしていたはずなのにそれでもその歌へ向かう集中力の凄さるや驚嘆いたします。拙はこれから録画をもう一度観てさらに深く味わうことにします。
2009.11.22 15:42 | URL | #3UG7ZRW. [edit]
emmaっち says... "No title"
初めて聴いた冬隣。
気がついたら涙がとうとうと流れていました。
ソウルだな~~~
日本人のソウル。
全編に渡って素晴らしい番組でした。
12月31日はもう一度見ます。
2009.11.22 23:15 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: No title"
路傍の石さん

〈うた〉に集中するちあきさんの姿勢を倣って、すべてにシンプルさを通した番組作りは、番組を見ていたであろうちあきさんへのラヴレターとしての役目でもあったのでしょう。
好感を持てるものでしたね。

80年代に入りシャンソンやファドに出会ってから、より演技者として映画やドラマが楽しくなったのかもしれませんね。
その演技の、どこにでも〈うた〉があったのだと思います。
2009.11.23 00:44 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: No title"
おお、emmaっち

見ていましたかぁ。感動しましたか。
「冬隣」のサビには、ホント震えるよね。
ウン、そう……彼女はソウル・レディです………。

レイラにはCD作ってあげたけど、見てたかなぁ。
2009.11.23 00:44 | URL | #- [edit]
sugarmountain says... "はじめまして"
路傍の石さんのブログ経由でたどり着きました。ねぇあんたに関しての素晴らしい一文を拙ブログに引用させていただきました。よろしくお願いいたします。
BSみてから「ねぇあんた」BOX三昧の日々です。
2009.11.24 10:34 | URL | #DwedhBzk [edit]
mickmac says... "Re: はじめまして"
sugarmountainさん はじめまして

お越しいただきありがとうございます。

“うた”を歌うのではなく、“うた”を魅せるちあきなおみさんですよね。
そして“心に響く”うた唄い、まさにソウルシンガーでしょう。

>ねぇあんたに関しての素晴らしい一文を拙ブログに引用させていただきました。

引用、リンク、構いませんよ。
さきほど「鳥肌音楽」に寄らせてもらいました。
“音楽の魔法を信じる”なんて、いい言葉です。
2009.11.24 20:15 | URL | #- [edit]

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