TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「恐怖女子高校 女暴力教室」*鈴木則文監督作品



監督:鈴木則文
脚本:掛札昌裕、関本郁夫、鈴木則文
音楽:八木正夫
主題歌:「冷えた世代〈女高生哀歌〉」須藤リカ
出演:杉本美樹、三浦夏子、碧川ジュン、須藤リカ、丘ナオミ、衣麻遼子、女屋実和子、一の瀬レナ、三原葉子、名和宏、金子信雄、成瀬正孝、池玲子

☆☆☆ 1972年/東映/79分

    ◇

 東映ピンキーヴァイオレンスのひとつで、女子学園を舞台にしたセーラー服スケバン・シリーズの第1作。

 神戸にある私立女子高校“聖光学園”は、3年4組の中田迪子こと“嵐線会のおみち”(杉本美樹)が率いるグループと、理事長の妾の娘で3年2組の澄子(衣麻遼子)をボスとするグループが対立していた。事勿れ主義の教師たち。学力優秀な優等生洋子(三浦夏子)はアルバイトでホステスをしている。熱血教師は同僚教師(女屋実和子)がリンチを受け自らの力のなさに萎えていく。そして、一匹狼の“乱れ菊のお由紀”(池玲子)が転向してきたことで、新たな火種をかかえるのだった……。

    ◇

 杉本美樹はまだしも、とても高校生には見えない池玲子を筆頭に、衣麻遼子、須藤リカ、碧川ジュンらの濃いメイクでセーラー服姿というのは、いわばキワモノ。倒錯的な面白さがあるプログラム・ピクチャーである。

 主演の杉本美樹が劇中で何度も「世の中、しっちゃかメッチャかさっ!」と吐き捨てるが、ストーリーもムチャクチャ。それでも、娯楽に徹するサービス度は満点で十分に楽しませてくれる。
 スケバン・グループの抗争劇から池玲子の復讐劇となり、ラスト杉本と池が団結し、私利私欲に走る理事長親子(金子信雄と名和宏)の野望を砕く痛快さ。
 セーラー服姿で学校内に蔓延する悪に立ち向かう彼女たちが、最後には制服を脱ぎ、燃やすことでおとしまえをつける潔さ。
 ライフル片手の池玲子も、アジ看板の前で裸で仁王立ちする杉本美樹も、カッコ良さを優先する絵づくりで、じつに楽しい。

 「なんだい、ありゃあ。皆殺しの唄じゃないか」

 池玲子の登場シーンに、ハワード・ホークスの西部劇『リオ・ブラボー』の挿入曲「皆殺しの唄」をピアノで流すのもご愛嬌。池玲子の過去に絡む行動を示唆するテーマになっていて、なるほどスケバンものって、パターンはウエスタン。ヴァイオレンスの残虐さはマカロニ・ウエスタンに近いのだ。

 また、劇中のいたるところに「革命」とか「総括」とかのアジテーションの文字が写るのも時代を反映。中学や高校の校内暴力が社会問題として騒がれるは、まだまだ何年も先の話なのだ。

 この作品でデビューした碧川ジュンは、学習院中等科から宝塚音楽学院を卒業して東映のスケバン女優になった異色の経歴。序盤で意味なく教室の机の上でストリップするのも、衣麻遼子のグループに強烈なリンチを受けライターや煙草の火で身体を焼かれるといった体当たり演技も、新人として顔を売るステージなわけだ。東映では9本の映画しか出なかったが、結構好きな顔だちなので少ない出番を探したりしていた。最後は、1本だけ日活ロマンポルノ『秘本 乱れ雲』で主役を演じて映画界を去った。

 杉本と池のタイマン勝負のバックに流れる主題歌「冷えた世代」は、哀愁あるメロディと須藤リカの上手い歌声で聴き応えあり。Hotwax*traxとしてリリースされている「やさぐれ歌謡最前線 女番長《スケバン》ゲリラ」で聴くことができる。
 彼女はのちの“すどうかづみ”。70年代後半のTV番組『ウィークエンダー』で、泉ピン子、桂朝丸(現・ざこば)と共にやかましキャラで人気が出たひとりだが、東映映画出演はこれが最初で、このシリーズと『女番長』シリーズでも印象を残している。

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