TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

歌謡曲外伝【サンとロペ】

 70年代初め、他のデュオとは一線を画するあばずれ歌謡の女性デュエットとして、知る人ぞ知るサンとロペ。
 2枚のシングル盤を残して何処へか消えたふたりである。

 一切のデータが不明なデュエット(どちらの女性がサンなのかロペなのかさえ判からない)で、Hotwaxから刊行された「歌謡曲番外地」に取り上げられた時には、経歴やレコード・リリースなど何か判明するのかと期待を寄せたが、高護氏においてもそのデータを記することはできなかったようだ。
 今の時代、インターネットで検索すれば可能かと思いきや、やはりサンとロペは謎のままである。

    ◇



サンとロペ◆ 夜泣き女/あなたはうそつき 1970年

 サンとロペのファースト・シングル。
 当時、これを購入した経緯は忘れてしまったが、テレビで観たとも思えないのでラジオで聴いたのかもしれないが、きっとふたりのいかにも妖しげな風貌、その、ちょっと“いしだあゆみ似”と“悠木千帆(現・樹木希林)似”に見えたジャケットに惹かれたのかもしれない。

 ひとこと一言のフレーズに、独特なグルーヴ感のあるハーモニーとあばずれ感を醸し出すユニゾンで、一度聴くと暫く耳から離れない。まさに、あばずれ歌謡曲の傑作である。

    ◇

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サンとロペ◆ 偽りの女/サンとロペの数え歌 1971年

 2枚目のシングル「偽りの女」は、裏社会に棲みついた報われない女と男のララバイ。厭世感に満ちたやさぐれ歌謡である。

  昔々は捨てました 明日もついでに捨てました
  今日という日があるだけの 男と女は 男と女は あゝ 部屋の中

 副題に《「男と女の部屋」より》と記されている。これは、阿久悠原作で絵師上村一夫の作品『男と女の部屋』の中に書かれていた詞に曽根幸明が曲を付けたもので、11編の短編劇画の第四話「偽りの女」のタイトルをそのまま引用している。劇画に登場するオリジナルの詞は5番まであるが、サンとロペの歌は4番までで詞の順番もバラバラ、歌詞の一部も微妙に変わっている。

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 1970年に『漫画アクション』に連載されていた『男と女の部屋』。73年に単行本化されてから長い間絶版になっていたが、2007年に故・阿久悠氏への追悼として復刊されている。

 赤線、花街、淫売宿を舞台に、堕ちた女の狂おしいまでの生き様が描かれ、あきらめながら生きる女たちがしたたかに生きることで希望が見えてくる11話。すべての話に阿久悠の5編の詞が書きこまれ、作品世界に流れる歌謡曲として“体は売るが心は売らない女たち”を見つめつづけるメルヘンとなっている。
 
 ところで復刻本には山崎ハコが歌う「男と女の部屋」のCDが付録になっている。山崎ハコはデビュー前に、この詞に曲をつけてデモテープとして吹き込んでおり、CD『飛びます』のボーナス・トラックで聴くことができるのだが、この単行本のCDは新たにレコーディングされたもの。

 同じ阿久悠の詞が、違う曲として存在するのが昭和の歌謡曲である。

 さて、サンとロペのB面の「サンとロペの数え歌」も興味深い。
 ブッカーT&ザ・MGズの「グリーン・オニオン」風のイントロで始まる、淫靡なレズビアンの世界を歌うR&B歌謡は、昭和の歌謡曲の猥雑さが見えてくるような歌詞と歌声である。

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