TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「20世紀少年/最終章・ぼくらの旗」



20th Century Boys : Final
監督:堤幸彦
脚本:長崎尚志、渡辺雄介、浦沢直樹
原作:浦沢直樹(「20世紀少年」小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
音楽監督:白井良明
主題歌:T.REX 「20th Century Boy」
出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、平愛梨、香川照之、木南晴夏、石塚英彦、宮迫博之、佐々木蔵之介、山寺宏一、藤木直人、石橋蓮司、古田新太、佐野史郎、中村嘉葎雄、黒木瞳、ARATA 、森山未來、小池栄子、福田麻由子、研ナオコ、高橋幸宏、遠藤賢司 …

☆☆☆ 2009年/日本・東宝/155分

    ◇

 “ともだち”が復活し、殺人ウィルスが世界中に撒かれて2年が経った“ともだち暦3年”(西暦2017年)、“ともだち”は世界大統領に君臨していた。
 “ともだち”の次なる予言は「8月20日正午、人類は宇宙人によって滅ぼされる。わたしを信じる者だけが救われる。」と、人類滅亡計画を宣言。
 立ち向かうのは“ゲンジ一派”を率いるヨシツネ(香川照之)と、方や、より過激な武力組織を率いる“氷の女王”ことカンナ(平愛梨)だった。
 逃走中のオッチョ(豊川悦司)は東京に潜り込み、カンナにケンヂ(唐沢寿明)は生きていると告げ、カンナは8月20日の武力闘争の代わりに万博広場でロック・コンサートを行うことを決意する。その日はケンヂの誕生日だった。
 春波夫(古田新太)のマネージャーをしながら“ともだち”暗殺を窺っていたマルオ(石塚英彦)は、行方不明になっていたケンヂの姉キリコ(黒木瞳)が同級生のケロヨン(宮迫博之)の下でワクチンの製造研究をしていることを突き止めた。
 同じころ東京の街に、オートバイに跨がりギターを背負った“矢吹丈”と名乗る男がやって来る。
 そして運命の8月20日、野外ロック・コンサートの幕が下ろされ………

 「やめろ! 終わっちゃうじゃないか!」
 “ともだち”の声が響く…………

    ◇

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 荒唐無稽、空想科学冒険映画3部作の完結編。
 子供の空想話に付き合って1年。最後の2時間35分は飽きることなく楽しむことができた。

 “ともだち”が2017年の東京の一部を、箱庭のように1969年から70年の街並に変貌させる。ミニチュア・セットとCGがよりリアルに迫ってくる近未来の都市と、貧しい木造家屋が集まる画面に、前2作以上のディテールで“昭和への郷愁”を満喫。
 「冒険王」とか「少年」などの雑誌で、小松崎茂が描く冒険科学物語の挿し絵を、まるで映画を見るように楽しんだ世代には、二足歩行ロボットと空飛ぶ円盤までもが懐かしく感じるのだった。

 その昔、ROCKは「反権力」であり「平和」「反戦」の旗印だった。あの時代、世界を変えるために歌は絶対的なものだった。
 だから映画のクライマックスは、1969年8月に行われたウッドストック・フェスティバルへのオマージュとも云える野外ロック・コンサート。
 ギブソン・レスポールを弾く唐沢寿明とドラムス古田新太、ベース高橋幸宏による3ピース・バンドが、結構イカした音を出していたのにはまいった。

 3作通じてヒーローぶりが格好良すぎる豊川悦司。木南晴夏は前作から気になる若手女優のひとりとなり、眼ぢからいっぱいの平愛梨にはもっと見せ場を作って欲しかった。
 一瞬、渡辺文雄かと見間違うくらいに変貌した佐野史郎の存在、古田新太のノリもさすがに可笑しい。そして遠藤賢司(!)……本物と出会うまでのケンヂの放浪は、そのまんま角川映画『復活の日』('80)のパロディ。

 さて、過去2作で広げた伏線はとりあえずは納得がいくように回収され、観客の一番の興味である“ともだちの正体”も想像通りに明かされクライマックスを迎える。
 しかしお楽しみはここから。エンドロールが流れた後、とどめの“真実”が語られる。
 だから、最後の最後まで席を立っては絶対にダメ。席を立てないようなライブシーンを交えたエンドロールなのに、それでも2組のカップルが帰っていった。もったいない観客である。

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 この最後の10分間、ヴァーチャルな世界だとしても、ケンヂのけじめがつき、幸福感に包まれた終り方。大きなパラドックスに陥ってはいるが、少年時代の“ともだち”として登場する某俳優の切ない演技と、主題を“友だちって何”にシフトチェンジした結末は正解だ。
 オッチョを助ける福田麻由子同様、この若手実力俳優も見事な表現力と存在感を兼ね備えている。キャスティングの成功である。

 ところで“ともだちの正体”は、第1章において分かりやすく観客の目の前で明かされている。写るべきところに登場しないことで確信を持てたはず。
 ひとの記憶の曖昧さをトリックにしたことで「そんなバカな」と突っ込みどころは多いが、このもうひとつのツイストで、ある程度の納得と満足が得られたのではないだろうか。


「20世紀少年/第1章・終わりの始まり」

「20世紀少年/第2章・最後の希望」



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