TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「やくざ観音 情女仁義」*神代辰己監督作品



監督:神代辰己
脚本:田中陽造
撮影:安藤庄平
音楽:あがた森魚
出演:岡崎二朗、安田のぞみ、松山照夫、絵沢萠子、高橋明、坂本長利、丘奈保美

☆☆☆★  1973年/日活/84分

 本文はHotwax誌 [vol.6]に掲載した作品紹介を一部修正して転載したものです。

    ◇

 旅の僧侶・嵐雪(松山照夫)は川で釣りをしていた。釣れたのは、女の死体。引き上げると腹が揺れている。中に赤子がいるのだ。嵐雪は取り出すとその子を阿弥陀寺に預けた。
 23年の月日が流れ、その子は清玄(岡崎二朗)という名の僧として仏の道に精進していた。ある日、寺の檀家であるヤクザの斉田組組長の娘・美沙子(安田のぞみ)が、死んだ母を供養するために寺を訪れたところ、敵対する組のヤクザに誘拐されそうになる。そこに通りがかった清玄が、彼女を助け一緒に川へと逃げる。美沙子は清玄を誘惑すると岩の上で裸体をさらし結ばれる。そこで、彼女の父親が自分の父親でもあることを知る。ふたりは異母兄妹だったのだ。
 美沙子と別れ寺に戻った清玄は、追ってきたヤクザたちを圧倒的な強さで倒し、寺を出ていくのだった……。

     ◇

 寺の僧として全ての煩悩を仏に捧げる身として生きてきた岡崎二朗が、初めて交わった美しい女が異母妹と知り、生まれてくるはずのなかった身の怨みでやくざの父親を殺し、ひたすら妹に取り憑かれながら修羅の世界へと堕ちていく話。

 冒頭、見世物小屋の口上からはじまり、女の死体を釣り上げた松山照夫が、死体の腹から赤子を取り上げるおぞましくもコミカルな幕開け。田中陽造の脚本はやくざ映画の展開を基に、禁断の愛に翻弄される男の情念をバイオレンスで昇華させている。

 地獄絵図の殺戮シーンや、滝の上での情交シーンを、ハイスピード撮影で美しく切り取るカメラマン安藤庄平のセンス。魅了させられる画面だ。
 岡崎二朗の赤い褌姿と背中に彫られる菩薩の刺青の色気も、仏を背負い鬼になる凄まじい姿として官能的だ。
 また、岡崎二朗に絡む絵沢萠子の肉体も、さすがに日常的色香の濃厚さに溢れている。

 随所に挿入される無音のイメージショットや、あがた森魚の歌に読経が被さる異質な効果など、特異な神代演出が因果な世界を構築し、陰惨で血みどろな終幕に突き進んでいく。そして至福極楽に生きることを決めた岡崎二朗は、ラストで有無も云わせず観客を突き放す。

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