TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「俺にさわると危ないぜ」*長谷部安春監督作品

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BLACK TIGHT KILLERS
監督:長谷部安春
原作:都筑道夫「三重露出」
脚本:中西隆三、都筑道夫
音楽:山本直純
タイトル・ソング:「アリペデルーチ・レオパルーダ・カリーナ」小林旭
エンディング・ソング:「泣くなさすらい」小林旭
挿入歌:「わが愛の詩」 高見アリサ
出演:小林旭、松原智恵子、北あけみ、西尾三枝子、加茂こずえ、浜川智子、可能かづ子、斎藤仁子、高品格、郷えい治、左卜全、二本柳寛

☆☆☆ 1966年/日活/86分

    ◇

 “日活ニューアクション”の旗手で、『野良猫ロック』シリーズや“日活ロマンポルノ”においてのアクションある作品で魅了させてくれた長谷部安春の、監督デビュー作品である。

 ベトナム戦争の従軍カメラマン本堂大介(小林旭)は、休暇で日本に帰って来る飛行機の中でフライトアテンダントのヨリ子(松原智恵子)をナンパ。デート中のナイトクラブでヨリ子が怪しい外国人に狙われ、その外国人は謎のブラックタイツの女性グループ(西尾三枝子、加茂こずえ、浜川智子)に殺された。本堂が警察に電話をしているスキにヨリ子は何者かに誘拐され、本堂は殺人の容疑で捕まってしまう。容疑が晴れヨリ子を探し始める本堂は、戦時中に隠された10億の金塊をめぐるギャング一味とブラック・タイツの美女軍団の争奪戦に巻き込まれていく……。

    ◇

 めちゃ面白い! 
 鈴木清順に師事していた長谷部監督の腕前は、スタイリッシュな映像美とコミカル・アクションが入り交じり、面白さを存分に堪能できる出来映え。エンターテインメントな遊び心に満ちた、オシャレで痛快な傑作である。

 オープニングの戦場シーンは、いきなり大量の火薬を使った爆破アクション。そのサービスぶりは、普通ならクライマックスに使うような大技を、巻頭で惜しげもなくさらしてしまう長谷部監督の意気込みといったところだろう。

 お揃いのウィッグとブラック・タイツで黒い目隠しの仮面をつけた6人の女性たちが、それぞれ色分けされたブラジャー姿で踊りまくるタイトルバックは、当時流行の007映画のタイトルバックを倣した洒落っ気で、美女軍団の色とりどりさが映画全体のトーンを作り上げていて面白い。そして、タイトル・ソングとして流れる旭のイタリア語のエレキ歌謡も聴きものだ。
 スポーツカーを走らせた背景や、街なかのライティングは鮮やかな色彩が効果的で、旭が松原智恵子を夢見る妄想シーンでの大胆な色彩感覚も秀逸。色とりどりのホリゾントの空間で、凝った演出と縦横に動くカメラワークは必見。

 旭の敵として現れたブラック・タイツ団は、実は沖縄戦で軍部に一族を殺された生き残りで、一族の財産だった金塊を取り戻すために従姉妹同志が集まった“くの一軍団”。彼女たちが操る荒唐無稽な“忍法”が可笑しい。シングルレコード盤を手裏剣代わりにする「忍法空飛ぶ円盤」や、相手の目をガムで塞ぐ「忍法ガムガム弾」は可愛いもので、「忍法オクトパスポット」は色っぽい。北あけみとのベッドインでは旭のアソコに吸い付いて、動きがとれないところにほかの美女たちが襲い掛かるわけで、逃れ方は笑いガス弾で筋肉をゆるませるとは……。

 清楚で可憐なヒロイン松原智恵子は白い下着姿で縛られ、郷えい治によって全身に白色の塗料を吹き付けられる。この大胆なシーンはドキッとする。21歳、松原智恵子のエロティシズムである。
 このシーンは、会社側からのクレームはなかったが松原智恵子からは嫌われたと、後年、監督がインタビューで語っている。そうだよなぁ。
 マイトガイは、バーナーの火で敵を蹴散らし助けに入るが、いつのまにかどこかに連れ去られているお間抜けぶり。その旭は何かとブラック・タイツ団の美女たちに助けられるのだが、一人ひとり旭の腕のなかで死んでいく展開はシリアスだ。 

 クライマックスは孤島での銃撃戦。
 1967年に公開されたフランス青春映画の傑作『冒険者たち』のラストを思い出すのだが、ヘリコプターとの撃ち合いは『007/ロシアより愛を込めて』の完全パロディである。
 原作者の都筑道夫は東宝のカルト映画『100発100中』シリーズで脚本を書いているが、こちらはフランスのアクション映画『ファントマ』シリーズに似たドタバタ・コメディ・アクションだった。
 60年代は、和製スパイ・アクション映画の花盛りだったのだ。

 さて長谷部監督はこの後、大掛かりなアクションとカット数の多さで大幅に予算をオーヴァーしたため、1年以上干されていたという。


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