TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ラストラン」志水辰夫



 志水辰夫の初期短編集が発売された。
 氏は、2005年に発刊された『うしろ姿』のあとがきで「現代物の短編はこれが最後」と述べており、以後、時代劇の執筆に情熱を注いでいるのだが、これは氏も半分は忘れていたという1988年から2000年にかけて『ミステリーマガジン』等に発表された古い作品ばかりで、本当に最後の短編集といえるだろう。
 ファンにとって思いがけない、スゴい贈り物である。

    ◇

A列車で行こう「ミステリーマガジン」1988年
石の上「ミステリーマガジン」1989年
カネは上野か「ミステリーマガジン」1990年
ジャンの鳴る日「ミステリーマガジン」1991年
やどり木「ミステリーマガジン」1991年
愚者の贈物「ミステリーマガジン」1992年
わけありごっこ「問題小説」2000年
見返り桜問題小説」1997年
狙われた男「小説コットン」1989年
ぼくにしか見えない「小説Non」1989年
 
    ◇

 アンソロジーで既出の「A列車で行こう」と「石の上」以外は未読だったので、この作品集で一応は発表作品の完全読破を進行中ということになる。

 氏が単行本化する場合は初出誌から加筆作業を行うのが通例なのだが、今回の場合、20年も前の情熱や熱気で書き上げた足跡を見てもらうということで、最低限の修正だけで余計な手を入れない、発表当時に近い姿で収められている。
 封印されていた“シミタツ節”は、『深夜ふたたび』から代表作「行きずりの街』や傑作『夜の分水嶺』を書いていたころのものが多く、まさに、まぎれもなく初期の志水辰夫の足跡であり、その妙技を堪能できる。

    ◇

ラストラン/志水辰夫
【徳間書店】
定価1,680円(税込)
2009年3月初版

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