TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「サボテンの花」



CACTUS FLOWER
監督:ジーン・サックス
脚本:I.A.L ダイアモンド
音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:ウォルター・マッソー、イングリッド・バーグマン、ゴールディ・ホーン、ジャック・ウェストン、リック・レンツ

☆☆☆★ 1969年/アメリカ/103分

    ◇

 ニューヨーク五番街で開業している独身でプレーボーイの中年歯科医ジュリアン(ウォルター・マッソー)は、レコード・ショップで働く若い恋人トニー(ゴールディ・ホーン)と付合っているが、結婚を迫られないように自分には妻子がいると嘘をついている。ある日、トニーが自殺未遂を起こしたことをきっかけに、ジュリアンはトニーと結婚をすることを決意する。しかし、律儀なトニーは奥さんが可哀想だから一度会いたいと言い出す。驚いたジュリアンは、看護助手のステファニー(イングリッド・バーグマン)に妻の役を頼むのだが……。

    ◇

 「おかしな二人」のジーン・サックス監督とウォルター・マッソーのコンビが、ビリー・ワイルダーのコメディ映画で共同脚本を努めるI.A.L ダイアモンドのブロードウェイ舞台劇を映画化したロマンティック・コメディである。

 大好きなゴールディ・ホーンのデビュー作で、苦労人ウォルター・マッソーと美しき大女優イングリッド・バーグマンの共演を完全に喰ってしまい、その年のアカデミー賞助演女優賞を獲得した記念作品だ。
 まさに無敵のコメディエンヌである。
 オープニング、サラ・ヴォーンの歌声に乗せてアパートの玄関に登場。ピンクのふあふあボアのスリッパとコートを羽織っただけの姿で、道の向こう側のポストに手紙を投函するだけで目は釘付け。部屋のなかではピンクのキャミソール姿でウロウロ。
 若い頃の加賀まりこに似て、コケティッシュで、アンニュイで、大きな目にキュートな笑顔とすまし顔の可愛いこと。わがままな子娘でも、人形のようにカワイイんだから何でも許せるってもの。
 今年、第81回アカデミー賞で見せたナイスボディ………60歳を過ぎた今も、その可愛らしさは変わらないのだから、恐るべし永遠のヤンキー娘である!

 そのゴールディ・ホーンと恋のライバルになるイングリッド・バーグマンの演技も見もの。登場は、笑顔を見せない、色気もない、“軍曹”とからかわれるお堅いオールドミスだが、後半の大変貌ぶりが実に楽しいのだ。
 タイトルの「サボテンの花」は“乾いた花”の彼女のことを指していて、若いゴールディ・ホーンに張り合ってブーガルーを踊る弾けた大女優の姿は、見ていてとても可愛いらしくて素敵だ。
 そこまでやるか、って。

 ホーンが演じるトニーって少しヘン。ジュリアンを妻子ある男と信じながら、いざジュリアンが妻と別れると云うと、奥さんの心配をしたり、ジュリアンからもらった高価なミンクのコートを奥さんに贈ったり、いつのまにか、ステファニーのジュリアンに対する仄かな恋心に火をつけることになってしまったりと。振り回されるのはジュリアンばかりだけど、案外真面目でしっかりもんの女の子なわけで、ニューヨークにひとりで生きてる女の子って感じを、ゴールディ・ホーンが表情豊かに見せてくれる。

 バーグマンとホーンが初めて顔を合わせるレコード・ショップでの会話が、ふたりの心情を表しているいいシーンになっていて、バーグマンが去った後のホーンの表情はたまらなく好きになる。
 自分がついたひとつの嘘がウソを呼び、右往左往するウォルター・マッソーの慌てぶりも可笑しいが、やはり、絶世の美人女優と可愛い子ちゃん女優のふたりの魅力が一番だろう。

 レコード・ショップ“STEREO HEAVEN”の店内で、お客が「モノラル盤ある?」と云っているのには時代を感じられ面白いし、グッゲンハイム美術館独特のユニークな構造を使ったくすぐりも効いている。
 オープニングとクロージングでのサラ・ヴォーンの歌声も、お洒落なクインシー・ジョーンズのスコアも、どれも満足できた作品である。
 

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Comment

Iris says... "バーグマン"
バーグマン大好きでした。グレース・ケリーの華やかな美しさも
良いですが、バーグマンの知的な美しさが素敵です。この映画での弾けっぷり
はちょっと驚きでした。私の中にあるイメージではなかったので・・・

私はヒッチコック作品の「汚名」「白い恐怖」が好きでした。そういえば
「汚名」撮影の頃はあのロバート・キャパと愛し合っていたんですよね。
(突然、思い出しました。)あと「オリエント急行殺人事件」も最高でした。
地味な役柄ながらオールスターの中でも群を抜いていました。
2009.03.15 21:48 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: バーグマン"
Irisさん

イングリッド・バーグマンは、ぼくも「白い恐怖」が大好きです。
最初は眼鏡をかけたお堅く野暮ったい姿で登場して、グレゴリー・ペックと恋に落ちてからの変貌でその美しさを際立たせていました。
知的で、美しく、演技力があるのがバーグマンですよね。
「オリエント急行殺人事件」には、こちらも大好きなローレン・バコールも出演していましたが、上品さで3度目のオスカーを獲得しちゃいましたもん(笑)。

「サボテンの花」でのバーグマンは、たしかにやり過ぎではないかと思えるところもあるし、弾けたダンスの時の衣装はいただけないです。
この作品は、ゴールディ・ホーンを見ているだけでいいのです(笑)。

2009.03.16 13:10 | URL | #- [edit]

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