TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「大阪ハムレット」*光石富士朗監督作品



監督:光石富士朗
原作:森下裕美
脚本:伊藤秀裕、江良至
主題歌:倉木麻衣「会いたくて…」
出演:松阪慶子、岸部一徳、森田直幸、久野雅弘、大塚智哉、本上まなみ、白川和子、加藤夏希、間寛平

☆☆☆★ 2008年/日本・アートポート/107分

    ◇

 大阪の下町。お父ちゃん(間寛平)が突然亡くなって、働き者のお母ちゃん(松坂慶子)と3人の息子たちと、お父ちゃんの弟と名乗るおっちゃん(岸部一徳)が、ひとつ屋根の下で暮らす久保家。
 シェイクスピアの“ハムレット”のような複雑な家庭環境に加えて、3人の息子たちはそれぞれに問題を抱えていた。
 高校受験を控えた中学3年生の長男(久野雅弘)は、見た目が老けている自分を大学生と偽りファザコン女性(加藤夏希)と恋に落ちる。ヤンキーの次男(森田直幸)は自分の出生に疑問を抱き、家族と人生に悩みだす。小学生の三男(大塚智哉)は、授業で将来の夢を聞かれ「女の子になりたい」とカミングアウト。
 そんなある日、お母ちゃんの妊娠が発覚………。

    ◇

 悩める3兄弟と、のんきなお母ちゃんと、へたれなおっちゃんの、不器用な5人の奇妙な家族生活が、大阪を舞台にコミカルにほのぼのと描かれている。

 家族の間に流れる空気感がとてもよく、下町の路地という空間が昭和の香りを漂わしているかのように、何だかしみじみとさせてくれる。
 その空間で営まれる家族関係がベトつかず、それでいてよそよそしくなく、親と子、子供と大人の思いが、すっと寄り添っている雰囲気がとてもいい。
 お母ちゃんも、3人の子供たちも、おっちゃんも、お母ちゃんの年の離れた妹(本上まなみ)も、ばあちゃん(白川和子)も、この家族のキャパシティの広さ。否定的なことも受け入れ、すべてに肯定的な姿が気持ちいい。唯一お母ちゃんが怒るシーンも、言葉のない無言の行動が強い印象を残しているが、その時の岸部一徳が可愛いんだなぁ。

 松阪慶子の天真爛漫で笑顔を絶やさないお母ちゃんぶりは、そのまま男性にとっては愛すべき女神でもある。どっしりした貫禄で、息子3人とおっちゃんたち“男家族”ばかりではなく、街中のおとこたちを束ねていくような存在だ。

 “シンプルでナイスな幸せ”を運んできた謎のおっちゃん岸部一徳は、ほんわかとした存在感が秀逸。
 神社の階段でお母ちゃんの手をとり優しく導くシーンをはじめ、お揃いのTシャツを買って来た時の子供のようなはしゃぎようや、松阪慶子とサンドウィッチダンスをするときの笑顔やら、悩んでいるより楽しく生きている喜びを示す温もりをいっぱい与えてくれる。
 映画の冒頭タイトル前に、ぼんやりと玄関先に立った岸部が、最後にはしっかりと家族の一員となっている姿に幸福感が漲っている。

 ばあちゃんの住んでいる島でのエピソードもいい。ほろりと爆笑させてくれる。

 フェイドアウト後のエンドロールが終わってもドラマは続いているから、最後の最後まで席を立たないように。

 せっかく生かせてもろおてんだから
 死ぬとか生きるとか考えんで
 生きとったらそれでええやん


 どんな状況も、活力に満ちたものに変えてくれる大阪弁の力って凄い。

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Comment

キリヤン says... ""
観ましたかあ!
岸部さんは好い役者ですねえ。
脚本家も監督もよく知ってます。
今年も言い邦画に出逢えることを!(ハート)
2009.01.25 07:21 | URL | #- [edit]
シリウス says... "大阪の下町を舞台の映画"
面白そうな映画のようですね。

松坂慶子ならば、大阪のしっかり者のおばちゃんの役にピッタリだと思います。
(大阪の美人のおばちゃんとして)
岸部一徳もひょう・ひょうとした感じの役を好演していたようですね。
「顔」藤山直美主演のときの彼を思い出します。

下町の大阪弁は、言葉のやりとりの中で駄洒落が多く、楽しくなる会話が多いようです。

最後に、
大阪を象徴する風景として、新世界の通天閣が正面に写っている写真が、全国的に最も知られている「大阪の風景」なのだと思っています。
2009.01.25 12:40 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: タイトルなし"
キリヤンさん

お約束どおりに観てまいりました。
いやぁ、ホンマに気持ちええ映画でした。
お勧めしてくださり、感謝です。

光石監督の作品は『おぎゃあ。』を観ています。
『おぎゃあ。』も人間賛歌に満ちた爽やかな作品でしたね。
2009.01.26 00:14 | URL | #- [edit]
mickmac says... "Re: 大阪の下町を舞台の映画"
シリウスさん

ご地元の映画ですよね。大推薦いたします。
松阪慶子さんの大阪のおばちゃんぶりは、京都生まれの岸部さんとのやりとりに何の違和感もなく、このふたりを見ているだけで幸せな気分になります。
ぜひご覧になってください。

大阪人の強烈さ、ぼくは好きですね。
2009.01.26 00:15 | URL | #- [edit]

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