TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

永遠のフィルモア・ウエスト

 さて、クリスマス・イヴにSTONES BOXという大物が届いたと云っても、勇んで音を聴くわけでもなく、ただただ日本盤アナログ・レコードのレプリカを眺めるだけのような気がする年末。
 先週末からはずっとアナログ・レコードを聴いていた。

 聴き詰めのレコードたちは、1969年高校1年のころに買ったものばかり。
 ほとんどCDで聴くことができるのだが、レコード・ジャケットを眺めながら、ジャケや中袋の匂いを嗅ぎながら、あの時代の空気を感じるにはレコードでしか叶わない。



 例えば「チープスリル」の日本盤なら、ジャケット面のコミックの日本語訳がライナーノーツに印刷されており、それを眺めていると友人宅で一緒に聴いた情景が甦る。



 そして連想は、友人Wが買ったアル・クーパー、マイク・ブルームフィールド&ステイーヴ・スティルスの「スーパーセッション」に触発され「フィルモアの奇跡」を思いきって買い、飽きるほど繰り返し聴いていた日々に繋がる。当時このアルバムは3600円で、高校生の身分にはかなりの出費だった。

 その孤高のブルース・ギタリスト、故マイク・ブルームフィールド(享年37・ジョン・レノンが亡くなって2ヶ月後の悲報だった)に関連した作品が紙ジャケ仕様のCDで甦った。
 いままでレコードを聴いて思い出に浸っていた先にCD化の話もないだろうが、今回の復刻、世界初のCD化作品と極上のボーナストラックが含まれているとあらば、マイク・ファンには至高の喜びだからしょうがない。
 
発売された紙ジャケ・アルバムはコロンビア時代の8枚。
◆ア・ロング・タイム・カミン/エレクトリック・フラッグ
◆スーパーセッション
◆フィルモアの奇跡
◆永遠のフィルモア・ウエスト
◆マイケル・ブルームフィールドの冒険
◆マイ・レイバー/ニック・グレイヴナイツ
◆三頭政治/M.ブルームフィールド、J.ハモンド、Dr.ジョン
◆ヘイ!ブルームフィールド!

 それにしてもソニーの紙ジャケ復刻シリーズは安くて助かる。
 最近はSHM-CDの美名のもと再発紙ジャケが数多くリリースされているが、そのほとんどが2,500~2,800円もする。ソニーさんはSHM-CDじゃないけれど、レプリカ細部(中袋にいたるまで)のこだわりもキチンと叶えてくれて1,989円(2枚組で2,835円)! 格段に音質が変わるわけでもないんだから、どっち選ぶ?

 さて、「スーパーセッション」と「フィルモアの奇跡」は、5年前のアル・クーパー来日記念で発売された紙ジャケを所有しているため今回は見送った。





 購入したのはこの3枚。
 何と云っても「永遠のフィルモア・ウエスト LIVE AT BILL GRAHAM'S FILLMORE WEST」のCD化には狂喜乱舞だ。
 ファンの熱望が一番高いこの作品はマイクの全盛期のパフォーマンスを録音したもので、これまでCD化されなかったのが不思議なほど。今回、世界初CD化に伴ってボーナス・トラックとして2曲のアウトテイク未発表ライヴが収録されているのだから、これは待った甲斐があったと云うもの。

 「永遠のフィルモア・ウエスト LIVE AT BILL GRAHAM'S FILLMORE WEST」への思い入れはサウンドばかりでなく、ジャケ裏に掲載されたフィルモアの外観にもある。
 60年代後半のロックを語るには不可欠なフィルモア・オーディトリアム。
 フィルモア・ウエストとはサンフランシスコのダンスホール、いわゆるボール・ルームと呼ばれるクラブを、プロモーターのビル・グラハムが1965年12月にライヴ会場としてオープンさせたもので(最初の出演はジェファーソン・エアプレイン)、ヒッピー文化台頭のなかニューヨークに開館したフィルモア・イーストとともに1971年7月4日の閉館まで、多くのミュージシャンと若者たちのコミュニティの場として親しまれたロックの聖地である。
 クリームやジャニスやジェファーソン・エアプレインらの名ライヴ盤がこのフィルモアから生まれ、その外観、堂々たる雄姿を初めて目にしたのがこの写真だった。



 マイク・ブルームフィールドの流麗なギターワークに度肝を抜かれたのは、15歳のころ聴いたポール・バターフィールド・ブルース・バンドのアルバム「イースト・ウエスト」。そして「スーパーセッション」でのジャム・セッションの中で行われたインタープレイ、さらにライヴ演奏においての際立つテクニックに文句なく魅了させられたわけであって………。

 このアルバム1曲目の「IT TAKES TIME」では、イントロのギターが始まった途端にマイクがピックを落としてしまい、演奏をやり直したそのままが収録されており、当時こんなにもステージでの生々しさと緊張感を感じたライヴ音源は初めてで、この1曲でこのアルバムの素晴らしさが決まったようなもの。ロック史に残る最高のイントロダクションである。
 そして、表現力豊かなギターを聴くことができる長尺のスロー・ブルース「BLUES ON A WESTSIDE」「ONE MORE MILE TO GO」は必聴。全編、マイクの独断場である。

 1969年1月30・31日&2月1・2・6・7・8・9日の8日間、フィルモア・ウエストに名を列ねたマイク・ブルームフィールド、ニック・グレイヴナイツ、マーク・ナフタリンらの演奏がピックアップされた「永遠のフィルモア・ウエスト 」。
 今回ボーナス・トラックに収録された2曲も同じ音源からの未発表ライヴで、14分を超える「IF I EVER GET LUCKY」では、タジ・マハールのダルなヴォーカルに絡むマイクの叙情的ギターの音色を存分に堪能できる。
 至福の時間を感じること間違いない。
 
 もう1枚、ニック・グレイヴナイツ名義の「マイ・レイバー」も凄いアルバム。



 ニック・グレイヴナイツは、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドの「BORN IN CHICAGO」やジャニス・ジョプリンの「WORK ME LORD」などの作者で、このアルバムの名義はニックのソロ・アルバムなのだが、実質は「永遠のフィルモア・ウエスト 」にピックアップされなかった楽曲を収めた続編的アルバムだった。
 マーク・ナフタリンの静かなピアノからはじまるスロー・ブルース「WINTRY COUNTRY SIDE」は、マイクの凄まじいチョーキング・プレイを聴くことができる。

 ボーナス・トラックはやはり「永遠のフィルモア・ウエスト 」のアウトテイクで、最終日の2月9日に演奏された「BORN IN CHICAGO」と「WORK ME LORD」の2曲が収録されている。
 2曲とも既にブートレグを所有しているが、バランスのいい音で聴くことができるのは嬉しい。



 そして、ソウルフルなニックの歌声にも酔うことができる好アルバムである。
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