TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「スリーピング・ドール」ジェフリー・ディーヴァー



 カルトを率い、8年前に一家惨殺した終身刑犯ダニエル・ペル。
 他人をコントロールする天才が、大胆かつ緻密な計画で脱走した。
 巧みに警察の裏をかいて逃走をつづけるペルを追うのは、
 人間の所作や表情を読み解くキネシクス~ボディランゲージ分析の天才、
 カリフォルニア州操作局捜査官キャサリン・ダンス。
 ペルの脱獄には隠された動機があるらしかった。
 やつはどこを目指し、何をやろうとしているのか?

 ハイスピードで展開される逃亡と追跡。
 ドンデン返しの魔術師ディーヴァーの超絶技巧がまたも冴えわたる。

    ◇

 希代のトリックメイカーであるジェフリー・ディーヴァーの新作である。
 今回は、前作の“リンカーン・ライム・シリーズ”『ウォッチメイカー』で活躍した尋問の天才キャサリン・ダンスをヒロインにした長篇サスペンス。

 “リンカーン・ライム・シリーズ”は、その第1作『ボーン・コレクター』がデンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリーで映画化もされたから観た人も多かろう。
 映画のシリーズ化はされなかったが、映画より小説の醍醐味を楽しんで欲しいこのシリーズは、とにかくエンターテインメントでスピーディなストーリー展開に尽きる。
 ストーリーが二転三転するのは当たり前で、最後の1頁まで目が離せない。その予測不可能な展開と、常に読者を欺くプロットが小気味良い読後感に繋がるのだから、彼の小説を一度でも読んだら病みつきになるのは必至だ。

 ディーヴァー小説のもうひとつの面白さは、魅力ある登場人物たち。
 元FBI化学捜査官で文書検査士パーカー・キンケイドやロケーション・スカウトのジョン・ペラムらが活躍する作品もあるが、何といってもキャラクター造型が一際抜きん出ているのが、四肢麻痺の化学鑑識官リンカーン・ライムであり、手足となって動くアメリア・サックス、そしてニュ-ヨ-ク市警察の面々……当然ライムと対峙する犯人たちも実に魅力にあふれている。

 そして新たに登場したのが、キャサリン・ダンス。
 7作続いた“リンカーン・ライム・シリーズ”のマンネリを防ぐためにか『ウォッチメイカー』に初めて登場したダンスは、証言といったあやふやなものを信用しない徹底した物証主義であるライムに対して、証人や容疑者の言葉づかいや言動を観察し分析するスペシャリストとして事件解決に手を貸しており、読後もこのままで終るには惜しいキャラクターであっただけに、このダンスをヒロインにした新作はファンへの新たなプレゼントであり、当然ながら十二分に楽しめる作品となっている。

    ◇

スリーピング・ドール/ジェフリー・ディーヴァー
訳:池田真紀子
【文藝春秋】
定価 2,500円(税込)


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