TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「氷の華」天野節子



 テレビ朝日開局50周年記念ドラマとして9月6日7日の2夜連続で放映されるということで早速読んでみた。

 いやぁ驚いた。齢60歳にしてのデビュー作とは思えない傑作ミステリーで、しっかりしたプロットで固められた謎解きとサスペンスの充実度は満点。大長編だが無駄な箇所もなく、読み始めたら止まらなくなり、一日で読了した。

    ◇

 結婚12年を迎える恭子は、美貌と財産に恵まれた女性でありプライドの高さも人一倍。周りからの賛辞を受けるための同窓会への出席に心を弾ませていた。
 そこに、夫の愛人を名乗る女から電話が掛かってきた。
 女が発した言葉に動揺し打ちのめされる恭子は、不倫相手を毒殺することを計画し、実行する。
 しかし、恭子が殺した女は本当に夫の愛人だったのか?
 疑心暗鬼になった恭子は真相を探り、反撃に出る。
 そして、執拗に恭子を追い詰めるベテラン刑事の戸田と恭子の知的対決が始まる………。

 ノンストップで疾走する展開は、第4章での戸田と恭子の対決でまずピークを迎える。張り巡らされた伏線の中で浮き彫りになる人間模様と、執拗に真相に近付いていく刑事とヒロインとの攻防。
 罠に落ちた恭子が仕掛けたわな。そのスリリングさは実に面白い。
 
 女の“性”か“業”なのか。“悪”に堕ちていく殺す女も殺される女も、そして傍観する女も、みんなクールだ。そして、氷柱のなかにひと際鮮やかに咲く“氷華”の如く凛としたヒロインの生き様が、ラストに大いなる余韻を残す。この最後の一行がいい。
 ミステリーとして斬新さがなくても、対立する人物像が丁寧に描かれているから完成度は高い。

 さて、ドラマ化は設定をがらりと変えているが、キャスティングは米倉涼子、葉月里緒奈、高岡早紀、鈴木杏樹、中島ひろ子、南野陽子、前田美波里といった豪華な女優陣に、舘ひろし、堺雅人、渡哲也らならば大いに期待したいところ。
 原作と異なるドラマ独自のラストもありか…………?

    ◇

氷の華/天野節子
【幻冬舎文庫】
定価 686円(税別)


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