TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「哀愁の花びら」



VALLEY OF THE DOLLS
監督:マーク・ロブソン
原作:ジャクリーン・スーザン「人形の谷」
脚色:ヘレン・ドイッチュ、ドロシー・キングスリー
撮影:ウィリアム・ダニエルス
音楽:ジョニー・ウィリアムス
主題歌:ディオンヌ・ワーウィック
主演:バーバラ・パーキンス、パティ・デューク、シャロン・テイト、スーザン・ヘイワード、リー・グラント、ポール・バーク、トニー・スコッティ

☆☆☆ 1967年/アメリカ/123分

    ◇

 華やかなショービジネス界の裏側で、嫉妬や駆け引き、傲慢と挫折、そして性と酒と薬にまみれ壊れていく3人の女たちを描いたドラマで、原作はジャクリーン・スーザンの世界的ベストセラー小説「人形の谷」。


 大学を卒業し、ニュー・イングランドの片田舎ローレンスビルからニューヨークへ出てきたアン・ウェルズ(バーバラ・パーキンス)は、ブロードウェイのマネージメント会社に秘書として雇われた。
 経営者が面談で「美人はすぐに辞めてしまうから雇えない。」といきなり下すのが面白い。女性差別やセクハラまがいなのも当たり前な時代で、ウーマン・リブが起こるのはほんの数年後だ。実際、アンは共同経営者のライオン(ポール・バーク)を振ったあと、クライアントの化粧品会社の社長に引き抜かれ、TVCMの人気モデルとなってしまう。

 アンの最初の仕事は、ブロードウェイの大女優ヘレン・ローソン(スーザン・ヘイワード)の契約更新。アンが楽屋で目の当たりにするのは、プライドの高い気性の激しい大女優の姿だった。自分の舞台に出る駆け出しの若い才能ある女優ニーリー・オハラ(パティ・デューク)を、自分の舞台から下ろすことを条件に契約を承諾するヘレン。 
 その後ニーリーは、TVのヴァラエティ番組やナイトクラブの歌手として頭角を現わしてくる。 

 ニーリーと親しいジェニファ・ノース(シャロン・テイト)はグラマラスだが売れない女優。ナイトクラブの人気歌手トニー・ポーラー(トニー・スコッティ)と結婚して、トニーの姉ミリアム(リー・グラント)と共に映画入りのためにハリウッドへ行く。人気スターになるジェニファだが、トニーはパッとせず契約を切られてしまう。
 
 大スターになったニーリーは日ごと我が儘になり、長年マネージャーをしていた夫とも離婚。いつとはなしに睡眠薬とピル(覚醒剤)を常用するようになり、深酒で映画出演も怠り、転落の道を辿り始める。
 ジェニファは、不治の病に倒れた夫の治療費のためにポルノ映画出演のため渡仏する。しかし自らも乳癌を患い、肉体美を売り物にしている彼女の決断は睡眠薬自殺だった。

 芸能界に巣食う薬物。
 映画のタイトルバックは、三色のピルからこぼれだした白い粉とニューヨークに降る雪をシンクロさせる象徴的な画だった。

 サナトリウムから退院し復帰したニーリーも、結局、ヘレン・ローソンと同じ道を歩むかのように、自分の作品に出る有望新人たちを次々と排除していくが、またしても酒と薬に耽溺し、舞台の初日すら出演できずに、遂には劇場裏の路地で意識を失ってしまう。

 芸能界に失望し故郷に帰るアン。追ってきたライオンが求婚するも、アンは故郷でひとり生きていくことを決心する。

    ◇

 芸能界の舞台裏に渦巻く人間たちの愛憎劇には、それぞれにモデルの姿が透けて見える。
 ヘレンのモデルは“ブロードウェイの女王”と呼ばれたエセル・マーマン。ニーリーは酒と薬物でサナトリウム入りしたジュディ・ガーランドで、ジェニファはマリリン・モンロー。ほかに、フランセス・ファーマー、フランク・シナトラ、ディーン・マーチン等らしい人生が巧みに織り込まれている。

 メロドラマであり、ソープドラマ(昼メロ)的内容が多分に下世話なゴシップ的裏話なので、映画の評価はあまり高くないのだが、面白い。
 カルト・ムービーとして名前を残している映画だ。

 ベテラン女優と若い女優との才能への脅威と嫉妬は、映画の終盤に「品性のない女だけど、才能はある」と認めるヘレンの姿によく表れていた。
 ここは、16歳で『奇蹟の人』('62)でアカデミー助演女優賞を受賞したパティ・デュークと、大ベテランのスーザン・ヘイワードとのバトルが見物である。
 
 バービー・ドールのようなシャロン・テイトは悲劇性が美しい。それだけに、2年後に起きた実際の悲劇は痛まし過ぎる。

 品の良い美貌の持ち主バーバラ・パーキンスは、タイトルクレジット的には主役だが、競演女優の多いなかでは目立たない存在になってしまった。代表作となっているだけに惜しい。

 またこの作品は、リチャード・ドレイファスの映画デビュ-作でもある。当時は大部屋俳優の彼の役柄は、リー・グラントに電報を届ける郵便配達人。ドア越しに顔がちらりと映り、台詞もあった。

    ◇



 この映画を初めて観たのは70年代以降なのだが、1968年の日本公開当時には父親が買ってきたサントラ盤をよく聴いていた。

 ♪思いきってここを立ち去ろう このレールから下りよう
   でも、これだけは守り通したい 私のプライドは決して捨てない♪

 中学生時分のこと、映画の内容を知らないのに「哀愁の花びらたち」というタイトルの華やかさと、ジャケットの3女優に惹かれお気に入りのシングル盤になっていた。曲としてはカップリングの「あなたに祈りをこめて」がお気に入りだった。



 主題歌を歌うディオンヌ・ワーウィックはバート・バカラックに見い出され、ディオンヌのために書き下ろされたヒット曲「I Say A Little Prayer(小さな願い)」('67)が、このサントラ盤のカップリングでは邦題が「あなたに祈りをこめて」になっている。
 日本でのヒット前のリリースだったのだろう。


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