TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「クライシス・オブ・アメリカ」*ジョナサン・デミ

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The MANCHURIAN CANDIDATE
監督:ジョナサン・デミ
脚本:ダニエル・パイン、ディーンジョーガリス
原作:リチャード・コンドン
出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーヴ・シュライバー
   ジョン・ヴォイド

☆☆☆ 2004年/アメリカ/130分

    ◇

 政治を意のままに操ろうとする人間たちの暗躍を描いたポリティカル・スリラー。 

 湾岸戦争からの帰還兵で陸軍広報部に勤めるマルコ少佐(デンゼル・ワシントン)は、砂漠の嵐作戦において敵の激しい攻撃の中、自分と仲間を救出したとして名誉勲章を得たレイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュライバー)の英雄的行為のスピーチをする毎日を過ごしている。ある日、毎晩見る夢の記憶が、実はコントロールされているのではないかという疑問に変わってくる。
 一方ショーは、財界の名門の出身で自ら上院議員の母親エレノア(メリル・ストリープ)の後押しで下院議員を勤め政界の中枢におり、今回の大統領選挙において副大統領候補という表舞台に出てきた。
 ショーが洗脳されているのではないかと疑うマルコは、軍当局から目をつけられながらも、ショーを助けようと動き出すのだが………。裏に隠された巨大な陰謀の渦がマルコの前に立ちふさがる。そして………。

 原作は、朝鮮戦争での共産主義者によるマインド・コントロールをテーマにしたリチャード・コンドンの「The MANCHURIAN CANDIDATE」(満州人の候補者)。ジョン・フランケンハイマー監督が、1962年にフランク・シナトラ主演で撮った「影なき狙撃者」のリメイク版でもある。
 「影なき狙撃者」は当時、赤狩りを描いた最初の映画としてかなり評価が高く、公開年にはケネディ大統領暗殺のため自粛され、再公開が87年になってからと云う逸話もある。

 今回は、背景を朝鮮戦争から91年の湾岸戦争に変更している。当然と云えば当然なのだが、原作タイトルManchurian=満州人をどうしているのかと思ったら、敵役となる大企業の名前を“マンチュリアン・グローバル”としている。そのため、これはイラク戦争でのブッシュ大統領と某企業との黒い繋がりを連想させ、去年のアメリカ大統領選の年に公開した意図は考えるまでもないだろう。
 政治陰謀ものは結構好きなのでそんな事を考えながら見るのも面白い。

 情報操作とマインドコントロール……映画の中での一見荒唐無稽に見える方法も、科学の世界では実験段階で成功をしているというだけに、小説の中だけではなく現実の世界でも起こり得る恐怖は戦慄をおぼえる。
 アクションシーンはほとんどなく、「羊たちの沈黙」のデミ監督はじわじわと迫る恐怖をじっくりと描いている。湖水でのジョーダン上院議員(ジョン・ヴォイド)のシーンは背筋が寒くなる。
 エレノアの無気味なサイコティックさも、メリル・ストリープの大芝居でなければ出来ないだろう見事なキャスティング。Dr. ハンニバルに匹敵するほどのキャラクターを創りあげている。

 オリジナルの「影なき狙撃者」も、ぜひ観てみたい。
 

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